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焦点:途上国債務の返済猶予、再延長で区切りも 救済措置巡りG20会合

ロイター / 2021年4月5日 14時47分

 4月5日、20カ国・地域(G20)は7日に開催する財務相・中央銀行総裁会議で、途上国向け公的融資の返済猶予期間を2021年末まで半年間延長する支援策を決める。写真はウクライナのキエフで2016年10月撮影(2021年 ロイター/Valentyn Ogirenko)

[東京 5日 ロイター] - 20カ国・地域(G20)は7日に開催する財務相・中央銀行総裁会議で、途上国向け公的融資の返済猶予期間を2021年末まで半年間延長する支援策を決める。併せて債務減免を含むより踏み込んだ国際合意の実行を促し、猶予措置については今回の再延長を最後に区切りを付けたい考え。G20では、SDRと呼ばれる国際通貨基金(IMF)の外貨調達枠拡充でも一致する見通しだ。

G20財務相・中銀総裁会議を開くのは2月26日以来となる。2月会合では新型コロナウイルスの感染収束が見通せず、回復に向けた「拡張的な政策の維持」を確認した。「支援の拙速な解消を回避することで合意した」と会合後、議長国イタリアのフランコ財務相は記者団に語った。

今回の会合では、コロナ対策に加えてアフリカやアジアの途上国を対象とする債務返済猶予イニシアティブ(DSSI)の再延長が議論となる。IMFは、週内にも世界経済見通し(WEO)を引き上げる構えだが、回復の度合いやワクチン接種にばらつきもあり、主要7カ国(G7)関係者の間では「再延長は不可避」との見方が多い。

昨年4月に導入したDSSIは、当初は対象期間を20年末までと想定していた。長引くコロナ感染拡大を受けて早々に21年6月までの延長を決め、6月以降の扱いは4月会合で決定することになっていた。

一方、DSSIを巡ってG7内には「今回の再延長で区切りを付けるべき」(別の関係者)との指摘もある。

G20各国が対象とする最貧国70カ国のうち、約43カ国がこれまでに57億ドルの返済猶予を受けた。世界銀行のマルパス総裁は6月末までに最大73億ドルの支援が見込まれると想定するが、一方で、日米欧などが参加するパリクラブ(主要債権国)以外の支援が限られ、「期待を満たすには至っていない」(マルパス世銀総裁)との見方が背景にある。

元本の返済猶予を容認するDSSIにとどまらず、G20で合意済みのDSSI後の債務措置の共通枠組みに沿って債務減免を含めた救済措置を実行に移せるかも、引き続き焦点となる。

「元本返済の先送りだけではコロナ回復後に立ち上がれない国が出てくる。いくら息継ぐ時間を与えても、根本的な債務問題の解決にはならない」(日本政府関係者)との声は根強く、債務危機の連鎖を断ち切れるかはなお見通せない。

<透明性になお課題>

3月23日にIMF理事会が非公式に協議した6500億ドルのSDR拡充に関しては、G20に先立ち6日に実施するG7財務相・中銀総裁会議や、8日に予定される国際通貨金融委員会(IMFC)でも議論を重ねる。

これらを踏まえIMFは6月までにSDR拡充に向けた具体案を示し、米当局者らによると8月にも配分を始める運びだ。拒否権をもつ米国のイエレン財務長官はSDR拡充を支持している。

課題に残るのが債務の透明性をどう担保するかだ。中国の途上国24カ国向け融資契約100件を精査した米民間調査機関エイドデータによると、多くの契約書に秘密保持や中国国有銀行への返済を優先するなどの条項が盛り込まれている。

「SDR調達したドルで優先的に中国向けの債務を返済する行為が仮に横行すれば、共通枠組みの国際合意に反する」と、先のG7関係者は言う。

複数の日本政府関係者によると、9日の世銀・IMF合同開発委員会では、先進加盟国からの出資金を原資に、途上国に低利融資する国際開発協会(IDA)の増資についても議題となる可能性がある。

(山口貴也、梶本哲史 編集:内田慎一)

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