情報BOX:ロシアによる核使用の可能性巡るQ&A
ロイター / 2022年10月5日 15時38分
果たしてプーチン氏は核を使うのか。また実際プーチン氏の手にある核兵器はどのぐらいの数なのか。米国とNATOはロシアが核を使用した場合にどう対応するのか――。これらの疑問とその答えをまとめた。写真はプーチン氏。モスクワで9月30日撮影。提供写真(2022年 ロイター/Sputnik/Grigory Sysoyev/Pool via REUTERS)
[ロンドン 4日 ロイター] - 世界最大の核戦力を持つロシアのプーチン大統領は西側諸国に対してこれまで、ロシアへのいかなる攻撃も核による反撃を呼ぶ可能性があると繰り返し警告している。
果たしてプーチン氏は核を使うのか。また実際プーチン氏の手にある核兵器はどのぐらいの数なのか。米国と北大西洋条約機構(NATO)はロシアが核を使用した場合にどう対応するのか――。これらの疑問とその答えを以下にまとめた。
◎プーチン氏は核を使うか
それはプーチン氏がロシア国家と自身の統治体制が受ける脅威がどの程度大きいとみなしているかに左右される。
プーチン氏の定義に基づくと、ウクライナにおける戦争はロシアの存続を賭けた西側との戦いであり、西側はロシアを破壊して広大な資源を支配したいのだという。
これまでプーチン氏は、核兵器使用の準備は整っているという自身の発言は決して言葉だけの脅しではないと西側に警告してきた。一部の専門家は「はったり」だと考えているが、米政府は深刻に受け止めている。
既にロシアがウクライナの18%を一方的に自国領に組み入れたことで、核が使われる余地は高まった。プーチン氏は、これらの地域への攻撃をロシア自体に向けられたものだととらえる可能性があるからだ。
ロシアの核戦略の基本原則(ドクトリン)では、通常兵器による先制攻撃であってもロシアの国家的存続が真に脅かされたならば、核での反撃が認められている。
プラハを拠点に活動する軍事専門家ユーリ・ヒョードロフ氏は「プーチン氏は今のところ口だけで脅している。しかし1週間ないし1カ月経過し、彼が戦争は負けだと分かった時点で、何が起こるかは断言できない」と述べた。
米中央情報局(CIA)のバーンズ長官はCBSテレビで、プーチン氏が核攻撃に動きつつあるか聞かれると「全てが危険にさらされる以上、彼のこの種のどう喝は非常に真剣に受け止める必要がある」と語った。
ただバーンズ氏は、米国の情報機関はプーチン氏が即座に戦術核を使う流れに向かっているという「実際的な証拠」は持ち合わせていないと説明した。
◎使われる可能性がある核兵器
米国やロシア、欧州、アジアの各都市を破壊できるような戦略核兵器について、ロシア政府内から使用を促す声は全く聞かれない。
チェチェン共和国のカディロフ首長は、ロシアは低出力の戦術核をウクライナで使うべきだと発言した。
戦術核はあくまで戦場で「戦術的」な標的に投入されるもので、モスクワやワシントン、ロンドンといった大都市を壊滅させる目的を持つ戦略核に比べるとその威力はずっと小さい。運搬発射手段は航空機から地上プラットフォーム、水上艦、潜水艦、陸上部隊まで多岐にわたる。
ロシアはこうした世界の終わりのようになる戦場で任務を遂行する訓練を受けた特殊な核戦力部隊を擁しているが、通常の部隊や契約軍人、徴集兵らが対応できるかどうかは分からない。
◎米国の対応
米国はナンバー1の超大国として、ロシアが核攻撃を実施した際には事実上、対応策を決めることになるだろう。
ロシアと米国の合計保有核弾頭数は世界全体の9割に上る。これらは冷戦期に蓄積され、ロシアは旧ソ連から核戦力を継承している。
バイデン大統領が持つ選択肢としては(1)非軍事的な対抗措置(2)核兵器での反撃(3)通常兵器での反撃――などが挙げられる。ただ(2)は核使用をエスカレートさせる危険があり、(3)は米国とロシアの直接的な全面戦争につながる可能性がある。
デビッド・ペトレイアス元米中央情報局(CIA)長官は、ロシアが核を使えば米国とNATO諸国はウクライナに展開されているロシアの部隊と装備を破壊し、黒海艦隊を壊滅させると述べた。
◎核弾頭保有数の比較
米国科学者連盟(FAS)によると、世界で核弾頭を最も多く保有するのは5977個のロシアで、次が5428個の米国だ。
これらには貯蔵分や既に現役を退いた分も含まれるが、米ロ両国とも世界を何回も破壊できるだけの規模の弾頭を抱えている。
大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機などですぐに発射できる配備弾頭は、ロシアが1458個で米国は1389個。
一方戦術核弾頭数はロシアが米国の約10倍。米国は保有する200個のおよそ半分を欧州の基地に配備している。
米国の戦術核の破壊力はTNT換算で0.3─170キロトンまで調節可能。1945年に広島へ投下された原子爆弾は約15キロトン相当だった。
*システムの都合で再送します。
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