焦点:「量的引き締め」に身構える投資家、FRBのタカ派シグナル受け
ロイター / 2022年1月6日 18時10分
[6日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)がタカ派メッセージを送る中、投資家は「量的引き締め」に身構えている。
FRBが5日に公表した2021年12月14─15日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、当局者はFRBの全体的な保有資産縮小や、インフレ対応のために予想よりも早く利上げすることについて議論。「多く」はFRBのバランスシート縮小の適切なペースが今回もっと早くなると判断している。
このタカ派的なシグナルについて、投資家はインフレ抑制のためにFRBがより断固とした行動を取る必要があると考える人々の主張を後押しすると指摘。昨年のダイナミックな株高の原動力となった成長株やテクノロジー株を引き続き動揺させる一方、利回り上昇観測を強める可能性があるとしている。
BMOグローバル・アセット・マネジメントの米国債券部門共同責任者、スコット・キンボール氏は「FRBがここにきて積極的になりすぎているという現実的なリスクがある」と指摘。「FRBの政策が成長を阻害する可能性があるのと同時に、FRBが市場での存在感を低下させるとすれば、それはかなり大きな打撃となる」と述べた。
同氏は昨年終盤、ハイイールド社債とプライベート・デットのポジションを減らした。これは金利が上昇するとアンダーパフォームになると考えたためだ。
FRBは11月、毎月1200億ドルの国債購入の縮小を開始。その1カ月後には、年央ではなく、3月までにテーパリング(量的緩和の縮小)を終えることを目指すとし、「ドットチャート」では、投資家の予想よりも積極的な利上げの道筋を示した。これを受けて、高まるインフレに対抗するためのもう一つの手段として、FRBがバランスシート全体の縮小を検討し始めるのではないかと見なす向きもあった。
パウエルFRB議長は12月の会合後、バランスシートの縮小をいつ開始するかは決めていないが、「今後の会合で検討する決定事項だ」と述べた。
一部アナリストはこの動きを予想していた。TDのアナリストはリサーチノートの中で、市場がバランスシートの縮小を織り込み始めたため、10年物実質金利をショートにしていると明らかにし、現在のマイナス1%近くの金利はFRBの利上げやバランスシート縮小と矛盾すると指摘した。
期待インフレ率で調整した国債利回りである10年物実質利回りは、5日にマイナス0.8%に急上昇した。
一方、過去2営業日にスティープ化していた米国のイールドカーブは、議事要旨を受けてフラット化。短期金利を押し上げる利上げに投資家が備えていることを示している。
しかし、シティのアナリストは、バランスシート縮小が加速すれば、「バランスシート対利上げペースの議論が活発化するため」、中期的にはカーブがスティープ化する可能性があると指摘している。
2014年にテーパリングを開始してから約3年間、FRBはバランスシートを安定的に維持していたが、現在の消費者物価の高騰は、8兆ドルを超えるバランスシートをより積極的に縮小する必要が今回はあることを意味するかもしれない。
議事要旨の公表を受け、5日午後の先物市場では、FRBが3月の会合で0.25ポイントの利上げを行う可能性は約80%とされた。
アクション・エコノミクスのグローバル債券分析担当マネジングディレクター、キム・ルパート氏は「バランスシートについて思っていたよりも詳細に議論されたことで、市場は今年4回の利上げを想定しており、おそらく早ければ3月にも始まるだろう」と指摘。「彼らはインフレが手に負えなくなることを非常に恐れている」と述べた。
アルビオン・フィナンシャル・グループのパートナー兼最高投資責任者、ジェイソン・ウェア氏は、よりタカ派的なFRBの下で、株式市場全体はまだ上昇する可能性があると考えているものの、ボラティリティーが高まり、景気敏感株へのローテーションが起きると予想した。
(David Randall記者、Additional reporting by Karen Brettell and Megan Davies)
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