FRB当局者、年内利上げで見解一致 引き締めペースが焦点に
ロイター / 2022年1月7日 8時13分
最もハト派的な米連邦準備理事会(FRB)当局者を含め複数の当局者が持続的な高インフレに警鐘を鳴らし、年内に金融政策を引き締めるべきとの見解で一致している。2018年8月撮影(2022年 ロイター/Chris Wattie)
[ワシントン/サンフランシスコ 6日 ロイター] - 最もハト派的な米連邦準備理事会(FRB)当局者を含め複数の当局者が持続的な高インフレに警鐘を鳴らし、年内に金融政策を引き締めるべきとの見解で一致している。議論の焦点はもはや「引き締めるか否か」ではなく「どれだけ速いペースで引き締めるか」に移っている。
米セントルイス地区連銀のブラード総裁は6日、FRBは早ければ3月に利上げする可能性があるとしたほか、必要に応じてインフレに対して一段と積極的な措置を講じる「良い状況」にあると述べた。
タカ派のブラード総裁に対し、ハト派だった米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁も6日、米労働市場は「非常に堅調」であるほか、高インフレは「抑圧的な税」として貧困層を中心に負担をかけるため、FRBは年内に利上げすべきと述べた。
また、4日には米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁が、FRBは2022年に2回の利上げを実施する必要があるという見通しを示した。
FRB当局者は現在、事実上2つのグループに分かれているという。元FRBエコノミストでバンク・ポリシー・インスティテュートのチーフエコノミスト、ビル・ネルソン氏はこの2つのグループを「政策引き締めを望む人」と「より迅速な政策引き締めを望む人」に分けている。
ネルソン氏によると、大半の当局者は前者のグループに属しているが、大きな経済的サプライズがない限り、前者のグループから後者のグループに移行することはあってもその逆はないだろうという。
数カ月前には迅速な引き締めを支持する人、緩やかな引き締めを支持する人、少なくとも1年は利上げに反対する人の3グループに分かれていたため、現在のように2グループになったのは大きな変化と言える。
FRBが5日に公表した2021年12月14─15日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、当局者が労働市場は「非常にタイト」で、高インフレへの対応に向け、予想よりも早期の利上げに加え、保有資産全体の縮小が必要になる可能性があるという見解を示していたことが分かった。
ブラード総裁は6日の講演で「FRBはパッシブ(受動的)なバランスシート縮小や利上げ、その後の利上げペースやタイミングの調整などインフレ抑制に向けた追加措置を必要に応じて講じることができる状況にある」と指摘。最初の利上げは「早ければ3月の会合で」決定される可能性があるとし、「その後の2022年中の利上げはインフレ動向次第で前倒しにも後ろ倒しにもなり得る」と語った。
自身を含む当局者らがインフレの広がりに驚いていると述べ、より積極的な対応が必要だと主張。講演後に記者団に対し「比較的早期に行動するのが理にかなっており、現在のデータに基づけば、3月(の利上げ)は明らかに可能性の1つだ」と述べた。
また「インフレがどこに向かうかにFRBが影響を及ぼさねばならない局面だ」との見方を示し、自身がFRBで勤務してきた30年の中で「現在ほどFRBの信頼性が脅かされている時はない」と述べた。
一方、デイリー総裁は年内に利上げすべきとの見方をしめしつつも、雇用者数は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前に比べ数百万人少ないため、FRBはデータに基づく「慎重な」アプローチをとるべきと主張。
「需給の不均衡で生じた高インフレを相殺するため過度に積極的に行動すれば、供給網の問題の解決にはほとんど寄与しない一方で経済を間違いなく抑制し、将来の雇用創出を減らすことになるだろう」と指摘した。
その上で、FRBは20年3月以降、政策金利をゼロ近辺に据え置いており、このような低金利環境下ではわずかな利上げで経済を抑制することはないとしたほか、バランスシートの縮小は金利正常化の開始後になるため「全く異なる話」だとした。
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