年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる=植田日銀総裁
ロイター / 2023年12月7日 12時16分
日銀の植田和男総裁は7日、参議院財政金融委員会で、現時点で物価安定目標の持続的・安定的な実現を「十分な確度を持って見通せる状況にはなお至っていない」と指摘した。写真は、2023年10月13日にモロッコ・マラケシュで会見する同総裁。(2023年 ロイター/Susana Vera)
Kentaro Sugiyama Takaya Yamaguchi Takahiko Wada
[東京 7日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は7日、参議院財政金融委員会で、「チャレンジングな状況が続いているが、年末から来年にかけ一段とチャレンジングになるというようにも思っている」と述べた。その上で、情報管理を徹底しつつ、丁寧な説明、適切な政策運営に努めていくとした。市場でマイナス金利解除観測が浮上する中、今後の政策運営について問われ答えた。
「通貨および金融の調節に関する報告書」(半期報告)の概要を説明した後、委員の質問に答えた。
植田総裁はマイナス金利解除後の政策金利について、日銀当座預金への付利か翌日物コールレートか現時点でどちらが適切か判断していないとしたほか、マイナス金利解除で政策金利をゼロ%にするかプラス圏の金利にするか、どの程度のスピードで利上げしていくかは「その時の経済・金融情勢次第」と述べた。
金利引き上げ時の当預3層の扱いについても、「現時点で決めている段階ではない」とした。
半期報告で総裁は、現時点で物価安定目標の持続的・安定的な実現を「十分な確度を持って見通せる状況にはなお至っていない」とし、粘り強く金融緩和を継続することで「経済活動を支え、賃金が上昇しやすい環境を整えていく方針だ」と述べた。
日本経済の先行きについては、ペントアップ需要の顕在化や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果などの支えもあり、緩やかな回復を続けるとの見方を示している。ただ、日本経済や物価を巡る不確実性は極めて高い状況であり、金融・為替市場の動向やその日本経済・物価への影響を十分注視する必要があるとした。
(杉山健太郎、山口貴也、和田崇彦 編集:田中志保)
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