中国人民銀、金融政策を慎重に緩和し景気を下支え=関係筋
ロイター / 2021年11月8日 20時5分
政策関係者やアナリストによると、中国人民銀行(中央銀行)は、スタグフレーションに対する懸念が浮上するなか、景気を下支えするため、金融政策を慎重に緩和する公算が大きい。北京の本部前で、昨年2月撮影。(2021年 ロイター/Jason Lee)
[北京 8日 ロイター] - 政策関係者やアナリストによると、中国人民銀行(中央銀行)は、スタグフレーションに対する懸念が浮上するなか、景気を下支えするため、金融政策を慎重に緩和する公算が大きい。
利下げの可能性は低いが、経済成長が低迷すれば、預金準備率を引き下げる可能性があるという。内部の政策協議に関与している複数の関係筋が明らかにした。
ある関係筋は「利下げと預金準備率引き下げの余地はあるが、生産者物価の上昇で、そうした余地は限られるかもしれない」と指摘。
シティのアナリストはリポートで「計画停電とそれに関連する供給制約の結果、スタグフレーションの特徴が以前より目立ってきており、政策の短期的な選択肢が限られるだろう」と述べた。
シティは第4・四半期の国内総生産(GDP)伸び率が4%に鈍化すると予想。ノムラは需給両サイドのショック要因を理由に3.0%前後への減速を予想している。
ただ、中国の一部のエコノミストは、1970年代の米国のようなスタグフレーションとは状況が全く異なると主張。中国経済の複雑さを表すために「準スタグフレーション」という用語を使っている。
交通銀行のシニアエコノミスト、Tang Jianwei氏は「人民銀行が年内に利下げや預金準備率引き下げに踏み切る公算は小さい。来年は、生産者物価が下落するかどうかや、米連邦準備理事会(FRB)の政策に注目する必要がある」と述べた。
中国政策科学研究会の幹部Xu Hongcai氏は、ロイターに「資金供給を増やし、経済成長を支援するため、第4・四半期に広範な預金準備率の引き下げを検討すべきだ」と主張した。
複数の政策関係者は、共産党が新指導部を発表する来年のモットーは安定となる可能性があると指摘している。
Xu氏も「安定が来年の最優先課題になる」とし、来年の経済成長率が今年の8%前後から5─6%に鈍化するとの見通しを示した。
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