アングル:丸腰の部隊を中国兵が襲撃か、国境衝突でインド側証言

ロイター / 2020年7月10日 7時44分

 中国への抗議中、警官に取り押さえられるヒンドゥー至上主義の民族義勇団体の男性。6月17日、ニューデリーで撮影(2020年 ロイター/Anushree Fadnavis)

Rupam Jain Sanjeev Miglani

[ニューデリー 6日 ロイター] - 6月に国境係争地で発生した中国とインドの軍事衝突。インド側関係者の話などから、衝突の詳しい内容が分かってきた。インド兵20人が死亡したこの衝突を巡っては、インド政府は中国側の行動が計画されていたように見えたと指摘。中国政府は、交渉に出向いた中国の高官と兵士らに対し、インド軍側が突然攻撃を仕掛けたと主張している。

インド軍の兵士らは丸腰のまま、切り立った狭い尾根で自分たちよりも大規模な部隊に急襲されたと、インドの政府関係者のほか、この地域に動員された兵士2人、死亡した兵士らの遺族がこのほど明らかにした。

死亡したインド兵1人の父親はロイターに対し、息子は暗闇の中で金属製のくぎで喉を切られたと語った。そばにいた1人の仲間の兵士から聞いた話だという。

ヒマラヤ山脈の西部を流れるガルワン川で、凍えるような冷たい水の中で命を落とした兵士もした。これも、犠牲者の親族が目撃者から聞いた話だ。

中国軍とインド軍の衝突は、両国の事実上の国境で6月15日に起きた。死亡したインド兵20人は全員、ガルワン地域の第16ビハール連隊に所属していた。

銃撃は伴っていないが、両国間の紛争としては1967年以来、最も多くの死者を出した。衝突は高度4267メートルの山岳地帯で夜間に起こり、6時間続いた。

ロイターは死亡した兵士13人の親族から話を聞いた。遺体が収容された軍病院にも接触したが、病院は死因についてコメントを拒み、遺体は死亡診断書と併せて遺族に返したと説明した。

インド防衛省にも15日の軍事衝突についてコメントを要請したが、回答は得られていない。

中国外務省の報道官はロイターの問い合わせに対し、インド側が国境を越え、中国側を挑発したとのこれまでの説明を繰り返した。

<首の動脈切断>

ロイターが閲覧した5件の死亡診断書によると、兵士のうち3人は「首の動脈が切断」されており、2人は頭部に「鋭利あるいは先のとがった物体」による傷があった。死亡診断書が入手できた5人は全員、首と額に目視できる傷があった。

インド政府高官は「乱闘状態だった。こん棒や棒切れなど手当たり次第の物が使われ、素手で戦った者さえいた」と説明。中国が約束通り係争地から撤退し建造物を解体したかを確かめるため、ビハール連隊の指揮官が小隊を率いてパトロール地点に出掛けた時に衝突が始まったと述べた。インド兵は、鉄の棒やくぎの付いた木の棍棒を持った中国兵に襲われたという。  

丸腰のインド兵が、自分たちの連隊よりも大きな部隊に制圧された可能性が示されたことで、インドでは中国への憎悪が一層強まるかもしれない。また、緊張必至の現場に、なぜ丸腰の兵士が出されたのかという疑問が高まる可能性もある。

インド野党、国民会議派のラフール・ガンジー党首は「中国はよくも丸腰の兵士を殺したものだ。わが兵士らは、なぜ丸腰で殉職させられたのか」とツイートし、インド政府に全面的な説明を要求した。

現場に居合わせた別の2人のインド兵士と話したという遺族によると、パトロールに出向いた小隊は少人数の中国兵に道をふさがれ、近くにあったテントや小さい見張り塔を巡って口論になった。

ロイターはそこで何が起きたのか、詳細を確認することはできなかったが、インド政府の公式発表によると、いったんインド兵側はテントや見張り塔を、インド側領土にあるという理由で占拠した。

生存者と話した遺族によると、すぐに中国兵が大挙して、投石や手にした鋭利な武器で反撃してきた。いったん退却したものの、行方不明になった指揮官を捜すうちに再び中国兵が襲ってきたという。

衝突のあった地域に動員されたインド兵士の1人は、ロイターに対し「中国側は数でわれわれを圧倒していた」と述べた。

死亡した兵士3人の家族は、遺体を届けに来た兵士らから聞いた話として、一部の戦闘員はもみ合いの中で急流のガルワン川に落ちたと述べた。

インド政府筋は、一部の遺体は翌朝、川から引き揚げられ、数人は低体温症で死亡していたと述べた。

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