NY市場サマリー(9日)米株続伸、ドルは3週間ぶり安値
ロイター / 2020年10月10日 6時13分
[9日 ロイター] -
<為替> 米国の追加新型コロナウイルス経済対策で合意が得られるとの楽観的な見方を背景に、ドルが3週間ぶりの低水準を付けた。
追加対策を巡っては、民主党のペロシ下院議長とムニューシン財務長官はこの日も協議を継続。ペロシ氏は、民主党と政権側が間もなく合意できることを期待していると述べたほか、トランプ大統領は、民主、共和いずれの党の提案よりも大規模な支援パッケージになることを望んでいると述べた。
CIBCキャピタル・マーケッツ(トロント)の北米外為戦略部門責任者、ビパン・ライ氏は「少なくともホワイトハウス内で追加対策を巡る切迫感が高まっているようだ」と指摘。ただ「問題は上院共和党がこれに同調するかだ。団結しているようには見えない」とし、「追加策が先に進むのか、より明確になるまで膠着状態が予想される」と述べた。
主要6通貨に対するドル指数<=USD>は0.54%安の93.05と、9月21日以来の安値を付けた。50日移動平均も同日以来、初めて下回った。
ユーロは対ドルで
市場では、11月3日の大統領選で民主党候補のバイデン前副大統領が当選するだけでなく、民主党が上院で過半数を獲得する公算が大きいとの観測が高まっている。民主党が政権を奪還すれば、大規模な景気対策が策定される可能性が高まるため、ドルの下押し要因となっている。
バイデン氏勝利の観測は、トランプ政権下で始まった米中貿易戦争で売られた通貨の押し上げ要因にもなっている。中国人民元が最大の恩恵を受けており、オフショア取引
英ポンド
<債券> 国債利回りが小幅に上昇した。トランプ米大統領が9日、追加の新型コロナウイルス経済対策を巡り、民主、共和いずれの党の提案よりも大規模な支援パッケージになることを望んでいると述べ、リスク選好度が改善した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、ホワイトハウスが従来の1兆6000億ドルを上回る1兆8000億ドルの経済対策を策定していると報道した。民主党は2兆2000億ドル規模の対策を求めている。
トランプ氏は6日、民主党との協議を11月の大統領選後まで停止すると表明。その後、一転して協議を再開する考えを示していた。
先週行われた大統領選討論会を受け、市場は民主党候補のバイデン前副大統領が勝利するという見方を強めている。リスク市場は伝統的に左派寄り候補者の勝利で上昇しないが、バイデン氏の勝利すれば一段の財政刺激策と選挙後の安定化が期待できるとみられる。
この日の利回りは小幅に上昇したが、アナリストは当面の上昇が限定的になるだろうと指摘。BMOキャピタル・マーケッツのアナリスト、イアン・リンゲン氏とジョン・ヒル氏は、選挙が近いため、大きな上昇の可能性は限られるとし、「株式相場の堅調さは選挙結果の透明性が重要であることを浮き彫りにしている。このことは、どちらかの方向でも決定的な勝利になった場合に、さらなる上昇があることを示している」と述べた。
またヒル氏は、10年債利回り
終盤の取引で、10年債利回りは1ベーシスポイント(bp)上昇の0.777%。2年債利回り
<株式> 続伸。追加の新型コロナウイルス経済対策への期待が追い風となった。ナスダック総合<.IXIC>とS&P総合500<.SPX>は週間での上昇率が7月以来、ダウ工業株30種<.DJI>も8月以来の大きさを記録した。
ペロシ米下院議長とムニューシン財務長官はこの日、追加コロナ経済対策を巡る協議が物別れに終わったと明らかにした。しかし、協議は今後も継続する見通し。
インバーネス・カウンセルのチーフ投資ストラテジスト、ティム・グリスキー氏は、「トランプ大統領がコロナ対策巡るスタンスを翻し、以前よりも大規模な支援パッケージを提案したことを市場は好感している」と述べた。
また、11月3日に迫る米大統領選で野党民主党の大統領候補バイデン前副大統領が勝利する可能性を市場が消化し始めたとことも指摘された。
S&P情報技術<.SPLRCT>は1.5%高で、S&P総合の押し上げに寄与。一方、エネルギー<.SPNY>は1.6%下落した。
週間では、ナスダックが4.6%、S&Pは3.8%、ダウは3.3%それぞれ上昇した。
小型株で構成するラッセル2000指数<.RUT>も週間で6.4%高と、6月初旬以来の大幅な上昇率を記録した。
個別銘柄では半導体ザイリンクス
ゼネラル・エレクトリック(GE)
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.30対1の比率で上回った。ナスダックでも1.42対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は89億2000万株。直近20営業日の平均は97億6000万株。
<金先物> 対ユーロでのドル安を背景に買われ、続伸した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は、前日比31.10ドル(1.64%)高の1オンス=1926.20ドル。外国為替市場では、対ユーロでドル安が進行。ドル建てで取引される金塊などの商品に割安感が生じ、金が買い進まれた。米大統領選で民主党のバイデン候補が勝利すれば大規模な財政出動が打ち出されるとの思惑からドルが売られ、金利を生まない資産である金に買いが集まったとの見方もあった。
市場関係者によると、金相場はテクニカル的にも勢いがあり、8月につけた史上最高値を間もなく更新する可能性もあるという。
金塊現物相場は午後1時35分現在、31.550ドル高の1922.245ドル。
<米原油先物> ノルウェー沖石油・ガス田でのストライキ収拾の報を受けて、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月11月物の清算値(終値に相当)は前日比0.59ドル(1.43%)安の1バレル=40.60ドル。12月物は0.56ドル安の40.91ドルとなった。
ロイターによると、ノルウェーの石油各社との労使交渉は9日に妥結した。ストが継続されれば、同国の石油・ガスの生産停止は14日までに日量96万6000バレルに拡大するとされ、朝方までは相場の下支え要因となっていた。石油輸出国機構(OPEC)が、世界の石油需要は2030年代後半に頭打ちになり、その後は減少し始める可能性があるとの予想を発表したことも相場の重しとなった。
一方、米メキシコ湾地域では、ハリケーン「デルタ」の襲来を受けて、石油各社が279カ所の沖合施設から作業員を避難させた。沖合生産全体の92%に相当する日量169万バレルの生産が停止しており、米国の新型コロナウイルス経済対策への期待と相まって、相場はプラス圏に浮上する場面もあった。
ドル/円 NY終値 105.59/105.62
始値 105.84
高値 105.94
安値 105.59
ユーロ/ドル NY終値 1.1824/1.1828
始値 1.1801
高値 1.1831
安値 1.1794
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 95*06.50 1.5771%
前営業日終値 95*14.50 1.5660%
10年債(指標銘柄) 17時05分 98*17.50 0.7787%
前営業日終値 98*21.00 0.7670%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*17.75 0.3405%
前営業日終値 99*20.00 0.3260%
2年債(指標銘柄) 16時29分 99*30.00 0.1569%
前営業日終値 99*30.63 0.1470%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 28586.90 +161.39 +0.57 <.DJI>
前営業日終値 28425.51
ナスダック総合 11579.94 +158.96 +1.39 <.IXIC>
前営業日終値 11420.98
S&P総合500種 3477.14 +30.31 +0.88 <.SPX>
前営業日終値 3446.83
COMEX金 12月限 1926.2 +31.1
前営業日終値 1895.1
COMEX銀 12月限 2510.8 +123.2
前営業日終値 2387.6
北海ブレント 12月限 42.85 ‐0.49
前営業日終値 43.34
米WTI先物 11月限 40.60 ‐0.59
前営業日終値 41.19
CRB商品指数 151.7392 +0.5224 <.TRCCRB>
前営業日終値 151.2168
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