英GDP、5月は前月比0.8%増に鈍化 自動車生産低迷
ロイター / 2021年7月9日 17時48分
[ロンドン 9日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が9日発表した5月の国内総生産(GDP)は前月比0.8%増と、予想を下回った。
新型コロナウイルス禍からの回復力の強さに疑問を投げ掛ける内容となった。ロイターがまとめた市場予想は1.5%増だった。
半導体不足の影響で、自動車生産が2020年4月以降で最大の落ち込みを記録した。
統計発表を受けて、ポンドは小幅に下落した。
4月のGDPも、2.3%増から2.0%増に下方修正された。新型コロナ検査サービスの寄与度が低下した。3月のGDPは上方修正された。
イングランド銀行(英中央銀行)は、今年の経済成長率が1941年以降で最高の7.25%に達すると予想している。
英国は4月、必要不可欠ではない商店、美容院、パブ、レストランに対する営業制限を緩和。屋外でのサービス提供が可能になった。5月には屋内でのサービス提供も再開された。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ポール・デールズ氏は「国内経済が危機前の水準に向けて回復するにつれて、回復ペースが鈍化するのは当然だが、これほど早く、大幅に鈍化するとは予想していなかった」と指摘。
英商工会議所の経済担当トップ、サレン・シル氏は「景気回復がやや失速している。経済活動再開直後の一時的な押し上げ効果が薄れてきている」と述べた。
5月のGDP伸び率は前月から鈍化したものの、新型コロナ流行前の典型的な水準を上回っている。
内訳では、サービス部門が前月比0.9%増。宿泊・食品サービスは37.1%増だった。
鉱工業部門は0.8%増。
建設部門は0.8%減。5月としては1862年以降で4番目に雨が多かったことが響いた。デールズ氏は、資材不足や人手不足を反映している可能性もあると指摘した。
5月末時点のGDPは、新型コロナ流行が始まる前の2020年2月の水準を3.1%下回っている。
5月のGDPは、最初のロックダウン(都市封鎖)が導入されていた前年同月との比較では約25%増加した。
ジョンソン英首相は、現在残っている新型コロナ関連の制限措置の大半を7月19日に解除する計画。
シンクタンクの国立経済社会研究所のエコノミスト、ローリー・マクィーン氏は、これについて、逆効果になる可能性があると指摘。
「7月のさらなる制限措置解除が、第3・四半期の力強い成長継続に寄与するのか、それとも新型コロナの感染拡大が続き、消費者の警戒感が強まるのか、場合によっては新たな全面ロックダウンにつながるのかは、まだ分からない」と述べた。
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