性別適合手術や代理出産「人間の尊厳脅かす」、バチカンが新文書
ロイター / 2024年4月9日 13時50分
ローマ教皇庁(バチカン)は8日発表した文書で、性別適合手術やジェンダー論、代理母出産について人間の尊厳を脅かすとして反対する見解を表明した。写真はフランシスコ教皇。バチカンで2月撮影。(2024年 ロイター/Remo Casilli)
Alvise Armellini
[バチカン市国 8日 ロイター] - ローマ教皇庁(バチカン)は8日発表した文書で、性別適合手術やジェンダー論、代理母出産について人間の尊厳を脅かすとして反対する見解を表明した。
教理省のフェルナンデス長官(枢機卿)がまとめた新文書は、ジェンダー論を「極めて危険」とし、「生きとし生けるものの間に存在する最大の差異である性的差異を否定しようとしている」と批判。
代理母出産については、代理母、子ども双方の尊厳を侵害するとし、フランシスコ教皇が1月に代理母出産を「卑劣」と呼び世界的に禁止するよう訴えたことを挙げた。
性別適合手術については、「性転換の介入は、その人が受胎の瞬間から受けている固有の尊厳を脅かす危険がある」と指摘。「性器の異常」を治す手術の可能性は認めたが、「そのような医療処置は、ここで意図される意味での性転換に当たらない」と強調した。
このほか、中絶、安楽死、死刑を改めて非難した。人間の尊厳を脅かす問題として性的虐待やインターネット上のいじめを挙げ、性的虐待についてはカトリック教会内を含め「社会に蔓延している」と指摘した。
LGBTQのカトリック信者の擁護団体「ニュー・ウェイズ・ミニストリー」は、新文書を「時代遅れの神学」が非異性愛者に対して続く差別を助長すると批判した。
新文書は修正を重ねつつ5年の歳月をかけて作成された。先月、フランシスコ教皇が「貧困、移民の状況、女性に対する暴力、人身売買、戦争などのテーマ」にも言及するよう指示した上で承認したという。
教皇庁は昨年12月に同性カップルへの「祝福」は可能との見解を発表し、アフリカを中心に保守派信者から批判を浴びていた。
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