ECB、政策変更見送り ラガルド総裁「ユーロ高の影響注視」
ロイター / 2020年9月11日 3時58分
欧州中央銀行(ECB)は10日の定例理事会で主要な政策変更を見送った。景気回復が勢いを失い、ユーロ高がインフレ期待を弱めていることから、刺激策を今後拡大するとみられる。フランクフルトのECB本部で2018年4月撮影(2020年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
[フランクフルト 10日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は10日の定例理事会で主要な政策変更を見送った。ラガルド総裁は新型コロナウイルス禍からの景気回復を巡りやや前向きな見方を示した。また、焦点となっているユーロ高については影響を注意深く見守ると述べるにとどめ、踏み込んだ発言を控えた。
3月に開始したパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い取り枠は1兆3500億ユーロに維持。買い入れ期間は少なくとも来年6月末までとし、2022年末まで再投資を継続することを確認した。
資産買い取りプログラム(APP)については、月額200億ユーロ規模での債券買い取りに加え、追加で1200億ユーロの資産買い取りを年末まで継続する。
ECBは「インフレ率が目標に向かって持続的に推移することを確実にするため、対称性へのコミットメントに沿って、引き続き全ての手段を適切に調整する用意がある」と述べた。
ラガルド総裁は理事会後の会見で、ECBはユーロを注意深く見守っているとしながらも「為替レートを目標にしているわけではない」と強調。また、8月に2016年以来初めてマイナスに転じたユーロ圏のインフレ率がユーロ高の影響を受けていることにも言及した。
その上で「ユーロ高が物価にマイナスの圧力になるほどなら、注意深く監視しなければならないことは明らかで、理事会で広範囲に議論した」と述べた。
ユーロの水準についてはコメントしないとし、ECBの既存の予想にはデフレリスクは含まれていないと語った。
ラガルド氏が一段と踏み込んだ発言を控えたことで、ユーロ
プリンシパル・グローバル・インベストメンツのチーフストラテジスト、シーマ・シャー氏は「ECBがユーロ高への対応で実際には打つ手がほとんどないことを市場は見抜いている。金利はほぼ限りなく低く、種々の資産購入・融資プログラムはすでに相当な規模に膨らんでいる」と述べた。
こうした中、複数の関係筋によると、理事会ではユーロの上昇が経済ファンダメンタルズとおおむね整合的と判断したほか、米国との「通貨戦争」が発生しないよう、ユーロ高を現時点では看過することで一致。1ユーロ=1.20ドルという水準は、現時点で均衡為替レートに近く、ECBが行動を起こすきっかけにはならないとの声もあったという。
ラガルド総裁は経済に関して、コロナ感染の第2波が「逆風」となるものの、経済活動は力強く持ち直しているとし、今年の成長見通しをやや上方修正した。インフレ率は今年の見通しを0.3%に据え置く一方、来年は6月時点の0.8%から1%に引き上げた。
政策変更の可能性については、既存の措置が「効率的かつ効果的」で、1兆3500億ユーロのPEPPは「現在の状況の下、全額利用される可能性が高い」と指摘。PEPPの変更は議論されなかったとした。刺激策の将来的な拡大には一切触れなかった。
ピクテ・ウェルス・マネジメントのストラテジスト、フレデリック・デュクロゼ氏は、ECBが直ちに金融緩和に踏み切る兆候は見られないが、「脆弱な成長とディスインフレ圧力に伴い、ECBは12月にもPEPPを5000億ユーロ増額せざるを得ないだろう」と予想した。
ラガルド総裁はデジタル通貨について、利点と問題点の双方を検討しており、向こう数週間以内に結果を公表すると明らかにした。
*内容を追加しました。
この記事に関連するニュース
-
アングル:ECB金融政策、実際にはFRBが左右か
ロイター / 2024年4月12日 11時12分
-
FRB当局者、利下げ急がず インフレ懸念高まり受け
ロイター / 2024年4月12日 8時16分
-
ECB、金利据え置き 声明で利下げ示唆
ロイター / 2024年4月12日 3時15分
-
ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨
ロイター / 2024年4月11日 23時31分
-
日本株式市場は「上昇する」と予想 ~マーケットの振り返りと見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月2日 14時50分
ランキング
-
1格安スマホの利用者は約4割 実際に支払っている月額利用料金の2位は「2000円台」、1位は?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月19日 17時15分
-
2グーグルの「クチコミ」削除が難しい深刻な事情 主観的な感想だからこそ、高いハードルがある
東洋経済オンライン / 2024年4月20日 11時0分
-
3“金”価格高騰の背景に「中国による爆買い」も? ものすごい勢いで保有量を増やす理由とは…
Finasee / 2024年4月20日 11時0分
-
4年金制度の落とし穴…配偶者が亡くなっても〈遺族年金〉をもらえない!? 妻を亡くした54歳夫の悲劇【お金のプロが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月20日 11時15分
-
5グリコ「チルド食品」出荷再開→再停止…システム障害で 乳製品・洋生菓子など、5月中旬の再開目指す【全文】
ORICON NEWS / 2024年4月19日 18時57分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください