ブラジル議会襲撃、軍がボルソナロ氏支持者の拠点撤去 約1500人拘束

１月９日、 ブラジルの首都ブラジリアで右派ボルソナロ前大統領の支持者らが８日に議会や大統領府などを襲撃したことを受け、ブラジル軍と警察は、ボルソナロ氏支持者が軍本部付近に構えていた拠点を撤去し、約１０００人を拘束した。写真は９日、ブラジリアの大統領府の割れた窓ガラスに映る国旗（２０２３年　ロイター/Ueslei Marcelino）

[ブラジリア　９日 ロイター] - ブラジルの首都ブラジリアで右派ボルソナロ前大統領の支持者らが８日に議会や大統領府などを襲撃したことを受け、ブラジル軍と警察は９日、ボルソナロ氏支持者が軍本部付近に構えていた拠点を撤去し、約１２００人を拘束した。前日と合わせ拘束者は約１５００人となった。

ルラ大統領は暴力行為を行った者の責任を問うと強調。大統領府に戻り、国防相や軍司令官らと襲撃事件について協議した。

バイデン米大統領ら各国首脳からは襲撃を非難する声が相次いだ。一方、米フロリダ州に滞在しているボルソナロ氏は自身が支持者をあおったとの見方を否定し、暴徒らは「一線を越えた」と述べた。

ボルソナロ氏のミシェル夫人はインスタグラムで、同氏がフロリダ州で入院したと明らかにした。２０１８年の選挙運動中に腹部を刺された後遺症に関係しているという。医師は腸閉塞で深刻なものではないとした。

ボルソナロ氏を巡っては複数の案件がブラジル最高裁で審理されているほか、米国の入国に国家元首や外交官に発給されるビザ（査証）を使用したため、滞在に支障が生じる可能性がある。[nL4N33U2ZA]

米議会下院のホアキン・カストロ民主党議員はＣＮＮで、ボルソナロ氏はブラジル国内でテロをあおった独裁主義者だと批判し、ブラジルに送還すべきと主張した。

米政府はボルソナロ氏のビザについて直接のコメントを控えたが、国務省のプライス報道官は、政府代表に発給するビザで入国した場合は３０日以内に米国を出国するか、公務がなければ入国資格の変更を申請する義務があると説明した。

一方、バイデン大統領はルラ大統領と電話会談し、２月初旬のワシントン訪問を招請した。

数週間にわたり高速道路に混乱をもたらしてきたボルソナロ氏支持派のトラック運転手は夜中も抗議活動を続けた。大統領府報道官は「道路を封鎖し、石油精製所へのアクセスを遮断しようとしている人々がまだいる」と記者団に述べた。国営石油会社ペトロブラスは、製油所の操業や燃料供給に影響は出ていないとしている。

こうした中、最高裁判所は８日、ブラジリアの知事を治安対応の不備を理由に９０日間職務停止とした。また、交流サイト（ＳＮＳ）のフェイスブック、ツイッター、ＴｉｋＴｏｋ（ティックトック）に対し、反民主主義的なプロパガンダを拡散するアカウントをブロックするよう命令。フェイスブックの親会社メタとグーグル傘下の動画共有サイト「ユーチューブ」は９日、議会などの襲撃を支持または称賛する投稿を削除していると発表した。

ブラジル金融市場では通貨レアルが下落したものの、安値からは切り返し、株価指数のボベスパは上昇した。一部のアナリストは襲撃事件がルラ氏の政治的立場を強め、同国の政策に影響する可能性があるとみている。