焦点:ブラジル大統領選、劣勢の左派候補の巻き返しはあるか

ロイター / 2018年10月10日 10時27分

10月8日、ブラジル大統領選の第1回投票で、極右のジャイル・ボルソナロ下院議員(左)と左派のフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長の上位2人が28日の決選投票に進むことが決まった。ボルソナロ氏はリオデジャネイロで、アダジ氏はサンパウロで7日撮影(2018年 ロイター/Ricardo Moraes/Paulo Whitaker)

[サンパウロ 8日 ロイター] - ブラジル大統領選の第1回投票で、極右のジャイル・ボルソナロ下院議員と左派のフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長の上位2人が28日の決選投票に進むことが決まった。ただ得票率で大きく水を開けられたアダジ氏が逆転勝利を収めるには、非常に思い切った変わり身が求められる。

専門家によると、具体的には政治姿勢をすぐさま中道寄りに軌道修正し、元大統領で「師匠筋」ながら収監中のルラ被告とは距離を置くとともに、自身が所属する労働党(PT)が政権を握っていた2003─16年にはびこった汚職を断固として否定してみせることが必要だ。

アダジ氏がPTの候補になったのはわずか1カ月前、ルラ被告が有罪判決を理由に出馬を禁止された後だった。それまで大統領選候補者の支持率でトップを保ってきたルラ被告が、アダジ氏を自らの代わりに起用した。

ルラ被告は03─10年の大統領在職中に貧困問題に精力的に取り組んだため、今なお低所得層の間で根強い人気がある。ただ右派からは、政治汚職で主導的な役割を演じたと批判されるなど反発を受ける面も持つ人物だ。

それでもPTは7日の第1回投票までの選挙戦で「アダジはルラ、ルラはアダジ」というスローガンを掲げてきた。こうしたメッセージは、アダジ氏の政策に含まれる中道的要素や学者出身という経歴を必ずしも全面的に受け入れていなかった左派の支持をつなぎ止める上で不可欠だった。

ただ決選投票でボルソナロ氏に打ち勝つには、これでは物足りないだろう。第1回投票の得票率はボルソナロ氏が46%、アダジ氏は29%だった。

治安回復や汚職撲滅を掲げて支持率を急上昇させてきたボルソナロ氏は、差別的な言辞などで物議を醸しながらも、トランプ米大統領のようにそれが既成政治の打破を望む支持者を引き付けている面がある。

ジェトゥリオ・バルガス財団大学の政治研究者セルジオ・プラッサ氏は「アダジ氏は方針転換しなければ破滅する。ルラ被告が政治的な事情で収監されたとの言い回しも撤回しないと、勝利は覚束ない」と指摘する。

アダジ氏は7日夜の演説で、ボルソナロ氏を巡って軍政復活の懸念が生じていることなどを念頭に、民主主義の原則で国内の団結を図ると発言。また8日には収監中のルラ被告を訪問し、支持してくれたことを感謝した。

しかしアダジ氏の口から「汚職」という言葉は一度も出てきていない。

サンパウロのインスペル大学の政治研究者カルロス・メロ氏は「アダジ氏は国民に対して、PTは重大な間違いを犯したと伝えなければならない。第1回投票の選挙中にはそれをやらなかった。今アダジ氏に勢いはなく、今後なぜ同氏に投票すべきかを説明し、PTを政権に戻すために必死に汗をかかなければならない」と述べた。

(Brad Brooks記者)

ロイター

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