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アングル:企業の出張が様変わり、コロナ前には戻らず

ロイター / 2021年9月13日 7時15分

 9月9日、フランスのパリに住むシルビア・バーバリーさんは、人生の大半を出張に費やさずに済むようになって喜んでいる。写真は2009年4月、香港の空港で撮影(2021年 ロイター/Bobby Yip)

[ベルリン/ミラノ 9日 ロイター] - フランスのパリに住むシルビア・バーバリーさんは、人生の大半を出張に費やさずに済むようになって喜んでいる。「パンデミック(感染症の世界的大流行)のおかげで、これまで当たり前だと思っていた働き方を一歩引いて見直さざるを得なくなったのは良かった」――。

ペットフード大手、マース傘下のブランド、ロイヤルカナンで新興市場の地域責任者を務めるバーバリーさん。「自分の時間の80%を出張に費やす生活が戻って来ないのは非常にうれしい」と、パリの自宅オフィスから語った。

出張に疲れた世界中の会社員が今、バーバリーさんと同じ気持ちを味わっている。出張という実入りの良い事業に頼ってきた航空会社、ホテル、会議センターにとっては悪い知らせだ。

マースは今後とも、出張をパンデミック前の半分以下に抑え続けることを決めた。コスト削減に加え、環境、健康面を考慮した結果だという。利用する航空便は年間14万5000便減る計算だ。

同社の職場改革担当グローバル・バイスプレジデント、ニチ・ブッシュ氏は、出張が減れば家族を持つ従業員にとって上級職に就くことの魅力が増す可能性もあると言う。

かつての対面方式では、戦略や販売に関するイベントの出席者は100人程度だったが、オンラインなら700人が出席できると説明。「出張の必要性を、よりシビアに見極められるようになった」と述べた。

世界的な出張専門の旅行会社、CWTのニクラス・アンドリーン最高執行責任者は、ビジネス旅行業界がパンデミック前の水準に戻るには「何年もかかるだろう」と覚悟している。

CWTが実施した調査では58%の人が出張を再開したいと答えた。しかし予約は徐々にしか回復しておらず、国内出張が全体の80%を占める。パンデミック前の2019年にはこの割合が67%だった。

独ルフトハンザ航空のカルステン・シュポア最高経営責任者(CEO)は、ドイツ、オーストリア、スイス、ベルギー間の航空便の需要がここ数週間で15%、ドイツ国内便が30%、それぞれ増加したことを明らかにした。同社は今月、ビジネス用に便数を増やしたが、長期的に見ても需要はパンデミック前の90%までしか戻らないと予想している。

<コスト節減を維持>

航空会社はパンデミック前、利益の大きな部分をビジネス利用客から得ていた。企業の方が急に予約を入れることが多く、高い料金を払ってでも日程的に都合の良いチケットを購入してくれる可能性が高いからだ。

しかしデロイトの調査によると、今年第4・四半期の企業の出張支出は2019年水準の25─35%に抑えられ、1年後でも65─80%にとどまる見通しとなっている。

デロイトの米航空責任者、アンソニー・ジャクソン氏は「企業は将来を見据え、今回実現したコスト節減の一部をいかに持続させるかを考えている」と述べた。

<グリーンな出張>

企業は出張による炭素排出を削減することも検討している。デロイトの調査では、環境への影響を抑えるため、来年中に出張規約の調整を計画している、と答えた割合が約半分に達した。

ジャクソン氏は「私はかつて3、4人の社内会議のためにダラスからニューヨークに飛んでいた。そうした状態がすぐに戻ってくるとは思わない」と語った。

CWTのコンサルティング部門は企業に対し、コストと環境面のバランスを図る出張規約を提案している。例えば、より安価だが炭素排出の多い乗り継ぎ便よりも、直行便の中で最安値の便を選ぶなどの案だ。

<顧客とは対面で>

もっともCWTのアンドリーン氏によると、従業員や顧客が実際に顔を合わせることが依然として重要なケースもある。「お互いの目を見ずに取引を締結するのは難しい」

ロイヤルカナンのバーバリーさんも、意見を交換したり、従業員間の緊張を和らげるためには、今後とも対面方式の会議の方が良い場合もあると認める。「バーチャルだと相手が見せたいものしか見えない」からだ。

ただデロイトの調査によると、出張を再開すべき理由として最も多かったのは、やはり顧客と会う必要性だった。社内会議や研修の方が、今後もオンライン形式が維持される可能性が高いという。

(Emma Thomasson記者 Silvia Aloisi記者)

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