中国人民銀、予想外の資金吸収 国債の売り膨らむ
ロイター / 2020年5月14日 19時3分
[上海 14日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は14日、市場の予想に反し、中期貸出制度(MLF)を通じた資金供給を見送った。銀行システムから流動性を吸収した形で、市場では中国国債の売りが一段と膨らんだ。
中国当局はここ数日、新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた企業をさらに支援し、流動性を支える方針を示していたため、市場関係者の間には困惑が広がっている。
ただ一部の市場関係者は、人民銀行があす資金を供給することを決めた可能性があると指摘。景気の先行きは不透明で、債券の強気相場が終わったと判断するのは時期尚早だとの見方を示している。
14日は2000億元(約282億ドル)の1年物MLF融資が満期を迎えるため、市場では人民銀行がMLFを通じた資金供給を実施し、MLF金利も引き下げるとの見方が浮上していた。[nL4N2CW09X]
ところが人民銀行は14日発表した声明で、公開市場操作は行わないと表明。銀行システムの流動性は「適度に潤沢だ」との認識を示し、MLFには言及しなかった。
リフィニティブのデータによると、14日午後の10年国債利回り
中国国債利回りは、経済ファンダメンタルズの悪化と金融緩和を背景に、湖北省武漢で封鎖措置が導入された1月23日から、4月29日までに55bp低下した。
ただその後、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が5月22日に開幕すると発表されると、政府が感染拡大の最悪期を脱したと判断したとの見方が広がり、債券価格の上昇に歯止めがかかった。
また4月の輸出統計が予想を上回ったことを受けて、景気回復に対する期待も浮上。スタンダード・チャータードのストラテジストが今週、5月の政府債発行が1兆6000億元と記録的な高水準に達する可能性を指摘したこともあり、債券価格は一段と下落している。
ただ、国債利回りの上昇は長続きしないとの見方も多い。
江海証券のチーフエコノミストはリポートで「最近の内需回復は、商品券の配布など異例の景気刺激策に負うところが大きい。こうした措置は持続不可能だ」と指摘。人民銀行の最近の経済予測も市場の予測より大幅に悲観的だとの見方を示した。
その上で「金利の転換点はまだ到来していない。短期的な調整であり、中期的な低下トレンドは変わっていない」と述べた。
ロイターのエコノミスト調査によると、中国経済は第1・四半期に記録したマイナス成長から緩やかに回復する見通しだが、世界的な新型コロナの流行で状況が再び悪化すれば、景気後退に陥る可能性もある。
*見出しと内容を更新しました。
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