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アングル:自動車各社の野心的EV目標、今年は厳しい現実に直面

ロイター / 2023年12月15日 18時26分

 2023年は、全車両電動化の目標に向けしのぎを削る自動車業界が厳しい現実を突きつけられた一年となった。写真は米フォード・モーターの電気自動車(EV)「マスタング・マッハE」。11月10日、スペイン北部ビルバオで撮影(2023年 ロイター/Vincent West)

Joseph White

[デトロイト 11日 ロイター] - 2023年は、全車両電動化の目標に向けしのぎを削る自動車業界が厳しい現実を突きつけられた一年となった。

ロイターの分析によると、自動車メーカーは電気自動車(EV)をニッチ製品から量産モデルに変える戦略について、30年までに1兆2000億ドルを投資する心構えで23年を迎えた。

しかし、年終盤となり、既存メーカーもテスラ、リビアンのような新興メーカーも投資を抑制し、製品戦略を練り直している。既存メーカーはコスト負担の大きいEV移行への補助金を増額するよう当局に働きかけている。

世界的に消費者のEV需要は増えているが、EV普及は米国をはじめとして業界幹部らが想定したほど速くは進んでおらず、期待されたほどの収益も出ていない。

高金利によってEVの多くは中間所得層にとって手が届かないものとなった。また充電インフラの不足は、数分のガソリン補給で数百キロ走行できる環境に慣れたドライバーにとっては難点だ。

自動車ディーラー大手オートネーションのジェフ・パラント最高執行責任者(COO)は「EVが乗用車事業の未来だ」と強調するが、価格や充電設備への懸念が原因で「今後3─4年は紆余(うよ)曲折があるだろう」と予想した。

業界トップらは35年までに全車両を電動化する目標についてリスクヘッジする動きを鮮明にしている。

米ゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は今月、35年までの全車両電動化を依然として目指しているか問われ、「顧客の状況に合わせて調整する」と答えた。

<高い期待とその後の失望>

米フォードの電動ピックアップトラック「F─150ライトニング」は強気見通しの修正を余儀なくされた好例だ。

当初の強い需要を受け、同社は8月、ミシガン州の組み立て工場で年間生産ペースを3倍の15万台にするため、新たに3番目の交代シフトを組んだ。

しかし、10月にはこのシフトを早速廃止。F─150の需要が生産ペースを維持するのに十分なほど伸びていなかったためで、約700人の従業員が一時帰休となった。

EVの主要市場である中国、欧州、米国では、EV需要は依然として自動車全体の需要を上回るペースで伸びている。

オートフォーキャスト・ソリューションズによると、世界のEV生産台数は30年までに3倍増の3340万台に達する見込み。

<2つの課題>

業界幹部はEV普及には将来的に2つの課題があると指摘する。それは手頃な価格と充電インフラへのアクセスだ。

充電インフラの整備が遅々として進まないため、主要な既存メーカーは今年、EV大手テスラと提携し、自社製EVの購入者がテスラの高速充電器「スーパーチャージャー」のネットワークを利用できるようにした。

コンサルティング会社アリックスパートナーズの自動車担当幹部、マーク・ウェイクフィールド氏は「自動車メーカー各社が(テスラの)規格を受け入れたのは、充電に対する懸念が需要を抑制していることに気づいている明確なシグナルだ」と指摘。

「手頃な価格」とは主要顧客である中間所得層に、高い生産コストをカバーして利益も出せる価格設定を納得のいく額だと認めてもらうことだと業界では理解されている。

大半の既存メーカーは現時点で手頃な価格が達成不能となっている。

EVで利益を出しているテスラですら、中国と米国で組み立てラインをフル稼働させるために値下げを余儀なくされている。

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