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ドル106円半ば、日米中銀の緊急緩和でも動揺収まらず

ロイター / 2020年3月16日 15時21分

 3月16日、午後3時のドル/円は、前週末ニューヨーク市場の午後5時時点から円高の106円半ば。写真は2017年6月撮影(2020年 ロイター/THOMAS WHITE)

[東京 16日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前週末ニューヨーク市場の午後5時時点から円高の106円半ば。新型コロナウイルス感染拡大の報と日米など各中銀の対策発表が相次ぐ中、ドルは105円半ばから107円半ばを上下した。

週明けのドルは前週末終盤の水準から気配値を切り下げ、106円半ばで取引を開始。日本時間午前6時に米連邦準備理事会(FRB)が緊急利下げと量的緩和の再開、欧州中央銀行(ECB)や日銀など6中銀とドル・スワップ協定を通じた流動性供給を拡充すると発表すると、午前8時過ぎに105.74円まで一段安となった。

この時点では、米株先物が時間外取引で4%超下落したことで「利下げと流動性供給による市場安定期待よりも、FRBが一気に手持ちのカードを切ってしまったことが表す当局の焦りや、追加措置を講じることが困難になったことへの懸念などが先行した」(国内証券)形となった。

しかし、その後は昼にかけて107円半ばへ再びじり高。日銀が18日から開催する予定だった金融政策決定会合を前倒してきょう正午から緊急会合として行うと発表したことに加え、ドルの下値で国内投資家の買いが入ったとのうわさも、買い戻しの手掛かりとして話題となった。

日銀は午後2時過ぎ、 上場投資信託(ETF)の買入目標を年6兆円から12兆円へ、不動産投資信託(J-REIT)の購入目標を900億円から1800億円に倍増するなどの追加緩和を発表。事前に106円後半へ反落していたドルは、日経平均がプラス圏へ上昇したことでいったん107円台へ切り返すが、ほどなく株価がマイナス圏へ反落すると、106円半ばへ売られた。

市場では「感染拡大と政策対応に関連したニュースが週末から次々に飛び出しており、参加者の理解が追いついていない。消化にしばらく時間がかかりそう」(トレーダー)との声が出ている。「薄商いのアジア市場で方向感が決まるとは思えない」(外銀)として、続く欧米市場でも参加者の解釈が割れ、激しい上下動が続く可能性を見込む声もあった。

マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表の亀井幸一郎氏は、市場の激しい上下動を生み出している流動性の急速な低下について、その要因は「トランプ米大統領が欧州諸国と事前の協議もなしに一方的に入国禁止を言い渡したこと」にあると分析している。「トランプ政権の『米国第一主義』で国際協調の歯車は既に壊れた。リーマン・ショック時のような協調がスムーズに行えるかは疑わしい」という。

ドル/円   ユーロ/ドル   ユーロ/円

午後3時現在 106.47/49 1.1117/21 118.36/40

午前9時現在 106.49/51 1.1154/58 118.76/80

NY午後5時 107.91/94 1.1105/08 119.91/95

(為替マーケットチーム)

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