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航空業界、大幅減便や人員削減が不可避に 各国の入国制限で

ロイター / 2020年3月16日 15時35分

 3月16日、新型コロナウイルスの感染拡大で各国が入国規制や渡航制限に動く中、世界中の航空会社で大幅減便に伴う人員削減が不可避となっており、公的支援を求める動きも予想される。写真はドイツで15日撮影(2020年 ロイター/KAI PFAFFENBACH)

[シドニー/シカゴ 16日 ロイター] - 新型コロナウイルスの感染拡大で各国が入国規制や渡航制限に動く中、世界中の航空会社で大幅減便に伴う人員削減が不可避となっており、公的支援を求める動きも予想される。アナリストからは、政府と業界が一体となって対応策を講じなければ、多くの航空会社に破綻の懸念が生じるとの指摘も聞かれる。

米ユナイテッド航空ホールディングス は、3月の収入が前年同月比15億ドル減になるとし、大幅減便を行っても、旅客便は夏までほぼ空席になるとした。また、役員給与の50%カットと、4─5月の輸送能力約50%削減を発表した。夏までに一段の減便を行う可能性もあるという。

新型ウイルス感染抑制のため、各国政府は一段と厳しい措置を打ち出しており、それとともに航空業界を取り巻く環境も深刻化している。

スペインは14日、15日間の非常事態を宣言し、全土で外出を原則禁止すると発表。米国は14日、入国禁止措置を大陸欧州などに加え英国とアイルランドにも拡大するとした。オーストラリアとニュージーランドは、入国者全員に14日間の自主隔離を義務付けると表明した。

米航空20社の客室乗務員5万人を代表する労働組合の代表は「議会とホワイトハウスに対し、米国労働者の健康と収入を守るため、全ての手段を取るよう要請する」と述べた。

航空関連の分析・コンサルティングを行うCAPAセンター・フォー・アビエーションは、「航空需要はかつてないほど干上がっている。正常化の時期は見えない」とし、壊滅的状況の回避に向けた政府・業界の協調的行動がなければ、5月末までに世界中で多くの航空会社が破綻すると危機感を示した。

英航空会社は政府に支援を要請した。スカンジナビア航空(SAS) などは大半の便を欠航すると発表。また、アイスランド航空 は減便に加え、給与コストの「大幅な」削減に向けて労働組合と協議に入っている、と発表した。

ニュージーランド(NZ)航空は、今後数カ月間、長距離路線の85%を削減するのに伴い、人員削減が必要になると述べた。同社株は18日まで売買停止となっている。

豪カンタス航空 も、前週発表した国際線の25%減便に加え、一段の定期便削減を検討している。

UBSのアナリストは、新たに導入された入国制限がカンタス航空の国際線に与える影響は甚大だと指摘。「国際線が通年で50%、国内線が同30%減便となるシナリオでは、1カ月に最大2億豪ドル(1億2360万米ドル)の現金が流出する可能性がある」と述べた。カンタス航空は通常、収入の約45%、利払い・税引き前利益の25%を国際線から得ている。

一方、国内線のウエートが高いヴァージン・オーストラリア・ホールディングス は、13日に減便や業績ガイダンスの保留、新規採用の凍結などを発表済み。入国制限措置の影響を精査している、とした。

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