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焦点:防衛増税、埋められなかった空欄 経済情勢次第で先送りも

ロイター / 2022年12月16日 14時23分

 自民、公明両党は防衛財源を巡り法人、所得、たばこの3税目から広く徴税する方針を打ち出したが、実施時期については判断を見送った。写真は海上自衛隊創設70周年記念行事で、護衛艦「いずも」を視察する岸田首相。相模湾で11月6日撮影(2022年 ロイター/Issei Kato)

[東京 16日 ロイター] - 防衛財源を巡り自民、公明両党は法人、所得、たばこの3税目から広く徴税する方針を打ち出したが、実施時期については判断を見送った。土壇場でも埋まらない空欄をにらみながら議論が空転、法案化を伴う協議は来年に持ち越す。今後の政治、経済情勢次第で増税を先送りする余地を残した格好となり、結論を得るまでの曲折も予想される。

新たな防衛力整備計画初年度となる23年度の与党税制改正大綱では、広く税負担を求めることで、27年度以降必要となる1兆円強の防衛財源に道筋をつけた。

増税する3税目のうち、法人税については東日本大震災後の付加方式を参考に4―4.5%の税率を上乗せし、所得税では「復興特別所得税」を1%引き下げたうえ、別枠で税率1%の付加税を課す。たばこ税は1本あたり3円の引き上げを段階的に実施する。

複数の政府、与党関係者によると、大綱決定に先立つ11月下旬の防衛有識者による報告書では、原案の前段階となる調整文書で法人税を「財源の一つ」と記した。

ただ、特定税目の決め打ちを回避するため原案で削除。「10%を超える付加税にすれば税目1本でいけたが、法人税だけでは理解を得られない」(与党筋)との判断に傾き、税目を広げることで防衛財源の大枠を固めた。

もっとも実施時期に関して「24年以降の適切な時期」とあいまいな表現にとどめたことで、政府、与党内では「無回答に等しく、(増税は)先送り含み」との声もくすぶる。

防衛力強化に伴う税財源について、8日の政府与党政策懇談会で「税目、方式、施行時期を含め検討いただきたい」と要請した岸田文雄首相の意向に対し、「総理指示に答えたとは言えない」と、政府関係者の1人は語る。

関係者2人によると、大綱決定に先立つ14日に、これらの3税目を防衛財源とすることを確認。空欄となっている税率、実施時期を埋める段取りを描いていた。

ロイターが確認した資料では、それぞれ「法人税額に〇%の付加税。令和〇年4月1日以降に適用」「復興所得税率を〇%引き下げるとともに、課税期間を〇年間延長。令和〇年1月1日から適用」、たばこ税については「〇円/1本相当の引き上げを令和〇年1月1日から段階的に実施」とあったが、着地できたのは税率にとどまった。

当初決定日に置いていた15日も継続協議としたが、「もともと、このスケジュールで来年の通常国会に法案を提出する精度の高い(税制改正)大綱を書くのは難しいと思っていた」と、自民税制調査会の宮沢洋一会長自身も振り返る。

首相周辺は「与党大綱での合意は重い。税目、税率まで決まっていれば(想定する財源確保は)問題ない」と語るが、子ども予算倍増に伴う財源確保など積み残した課題も少なくない。

増税そのものに対する反発が根強く残る中、防衛財源の再協議と重複すれば、税収の上振れ分から生じる決算剰余金頼みの「綱渡りの財源確保」(前出の政府関係者)となる懸念は拭えない。

(山口貴也、杉山健太郎 編集 橋本浩)

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