米エアビー、第3四半期は黒字転換 コスト削減が寄与
ロイター / 2020年11月17日 11時27分
[16日 ロイター] - 米民泊仲介大手エアビーアンドビーが16日に開示した新規株式公開(IPO)の申請書類によると、第3・四半期は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)にもかかわらず、純損益が黒字に転じた。
新型コロナ流行で中核事業が大きな打撃を受けた上期から劇的な回復となった。
第3・四半期の純利益は約2億1900万ドル。主にコスト削減が寄与した。売上高は18%減の13億4000万ドルだった。事業への影響は米国内よりも海外で大きく、欧州各地で導入された新型コロナ感染抑制に向けたロックダウン(都市封鎖)が打撃を与えたことを示した。
エアビーは「第2、第3・四半期の回復はゲストの旅行意欲改善、ホストの強固さ、比較的強い当社の事業モデルによるものだ」とした。
1─9月は減収となり、新型コロナウイルス流行の影響で中核事業の成長が減速したことが示された。
エアビーの上場申請書類「S1」によると、1─9月の売上高は25億2000万ドルと、前年同期の37億ドルから減少。純損失は6億9700万ドルと、前年の3億2300万ドルから拡大した。
同社はコロナの世界的大流行が売上高の伸びに深刻な影響を与えたとし、今後も伸びが鈍化するとの見通しを示した。
同社は2008年の設立以降、年間で黒字を達成していないが、今年もこの状況は続く見込みだとした。第4・四半期について、予約の減少とキャンセルの増加を予想した。
同社は5月に、全従業員の25%の人員削減とマーケティング活動の年内停止のほか、プライベートエクイティ(PE)会社のシルバーレイクやシックス・ストリート・パートナーズなどの投資家からの緊急資金調達を決めた。
それ以来、コロナ流行下で需要のある大都市から離れた地域での民泊提供にシフトすることで事業を回復させた。
また同社によると、共同創業者で最高経営責任者(CEO)のブライアン・チェスキー氏が、コスト削減の一環として、基本給の11万ドルから1ドルへの減額に応じたという。
同社はその見返りとして同氏に対し、譲渡制限付き株式ユニットを付与した。期間は10年間で、株価が一定水準に達した場合、1億2000万ドル相当となる可能性がある。
チェスキー氏はこの報酬制度から得た利益をコミュニティーや慈善事業に寄付する意向という。
<IPO>
同社のIPOはここ数年で最も注目度が高い上場案件の1つとなっている。
上場は12月と見込まれている。今年下半期は金融・財政両面の大規模刺激策を背景とする株高を受けてIPOが活発化した。
同社はナスダック上場を計画しており、チッカーシンボルは「ABNB」。
モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスがIPOの引受主幹事を務める。
ロイターは10月、エアビーアンドビーがIPOを通して約30億ドルの資金調達を目指していると報じた。企業価値評価額は300億ドル超に達する可能性があるという。
*内容を追加します。
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