第4四半期中国GDPは1年半ぶり低水準:識者はこうみる
ロイター / 2022年1月17日 13時26分
中国国家統計局が17日発表した2021年第4・四半期の国内総生産(GDP)は前年比4.0%増加した。伸び率は市場予想を上回ったが、1年半ぶりの低水準となった。北京で昨年10月撮影(2022年 ロイター/Thomas Peter)
[17日 ロイター] - 中国国家統計局が17日発表した2021年第4・四半期の国内総生産(GDP)は前年比4.0%増加した。伸び率は市場予想を上回ったが、1年半ぶりの低水準となった。市場関係者の見方は以下の通り。
●今年も景気下押し圧力続く
<オックスフォード・エコノミクス(香港)のアジア経済担当責任者、ルイス・クイーズ氏>
今年も成長への下押し圧力は続くだろう。不動産市場は上半期も低迷が続き、下半期にやや回復する見通しだ。
また、中国政府がゼロコロナ政策を緩和するのは早くても今年終盤以降になるとみられ、今年は特に上半期に消費が伸び悩むだろう。
ただ、マクロ政策の緩和が景気を下支えする要因になるはずだ。今年の経済成長率が5%を大幅に割り込むことがないよう、前倒しで支援策を導入するとみられる。きょうの中期貸出制度(MLF)金利の引き下げもこの一環だ。今年は多額のインフラ投資、力強い信用の伸び、不動産市場の支援が予想される。
●オミクロンの影響、1─2月統計待つ必要
<UBPの(アジア担当シニアエコノミスト)、カルロス・カサノバ氏>
最も厳格なロックダウン(都市封鎖)が12月下旬から始まったことを踏まえると、新型コロナウイルスのオミクロン変異株によるリスクは1─2月を合わせたデータから完全に織り込まれ始めるだろう。オミクロン感染拡大が経済活動に与える影響をより理解するには、3月のデータまで待つ必要がある。
成長見通しを巡るリスク回避に向け、追加で100ベーシスポイント(bp)の預金準備率引き下げがあると予想している。中国は2025年の1人当たり国民総所得(GNI)目標を達成するため、22年に少なくとも5%の経済成長を成し遂げる必要がある。
●予想下回る、半導体不足で自動車分野に打撃
<ING(香港)のエコノミスト、アイリス・パン氏>
GDPは私の予想よりも悪かった。12月の小売売上高が前年比1.7%増にとどまったことはサプライズだ。自動車を除けば3%増だった。つまり、小売売上高全体を押し下げたのは自動車分野だ。
これは半導体不足が原因だろう。不足は解消されていないため、2022年もこの問題は続く可能性がある。今年後半には幾分改善されているかもしれないが、前半では改善されないだろう。
●LPRを段階的に引き下げへ
<華宝信託(上海)のエコノミスト、NIE WEN氏>
政府の今年最大の課題は、ゼロコロナ政策の下、経済をどう安定させるかだ。これまでのところ政府の意向は明確で、経済成長を5─5.5%に安定させることを目指している。
消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)は予想を下回り、政府のインフレ対策が効果を上げていることが明らかになった。これを受け、今朝の中期貸出制度(MLF)金利と7日物リバースレポ金利の引き下げが可能になった。
今後は、最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)も引き下げられる公算が大きい。小幅な引き下げから開始し、段階的に引き下げていくだろう。当局は過去1年、不動産市場の債務リスク削減を進めており、そうした取り組みの成果を無駄にしたくないはずだ。また米連邦準備理事会(FRB)の利上げが予想される中、資本流出の拡大などを招きたくないはずだ。
●今年も景気下押し圧力続く
<オックスフォード・エコノミクス(香港)のアジア経済担当責任者、ルイス・クイーズ氏>
今年も成長への下押し圧力は続くだろう。不動産市場は上半期も低迷が続き、下半期にやや回復する見通しだ。
また、中国政府がゼロコロナ政策を緩和するのは早くても今年終盤以降になるとみられ、今年は特に上半期に消費が伸び悩むだろう。
ただ、マクロ政策の緩和が景気を下支えする要因になるはずだ。今年の経済成長率が5%を大幅に割り込むことがないよう、前倒しで支援策を導入するとみられる。きょうの中期貸出制度(MLF)金利の引き下げもこの一環だ。今年は多額のインフラ投資、力強い信用の伸び、不動産市場の支援が予想される。
*内容を追加しました。
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