香港最高裁の豪州国籍判事が辞任、国安法への懸念で
ロイター / 2020年9月18日 20時2分
香港最高裁の外国人裁判官14人のうちの1人である豪州国籍のジェームス・スピーゲルマン判事は、中国が施行した香港国家安全維持法への懸念を理由に辞任した。香港政府庁舎前の監視カメラ、7月撮影。(2020年 ロイター/Tyrone Siu)
[香港/シドニー 18日 ロイター] - 香港の終審法院(最高裁)の外国人裁判官14人のうちの1人で豪州国籍のジェームス・スピーゲルマン判事が、中国が施行した香港国家安全維持法(国安法)への懸念を理由に辞任した。豪公共放送ABCが18日伝えた。
香港行政長官事務所は同判事の辞任を確認したものの、理由には言及しなかった。
中国政府による香港の統制を強める国安法を公然と批判し、辞任した香港の高位の裁判官は初めて。ポーランド出身のスピーゲルマン氏は豪ニューサウスウェールズ州の元首席裁判官だ。
同氏はABCに対し、「国安法の内容に関連した」理由により辞任したと語った。これ以上の詳細については言及しなかった。
ロイターは同氏にコメントを求めているが、今のところ回答は得られていない。
同氏は昨年、香港最高裁判事として再任(任期3年)されていた。
香港のミニ憲法「基本法」は、立法、司法、行政の三権分立をうたっており、外国人裁判官は長らく司法独立のシンボルとされていた。
しかし国安法では、同法にかかる事案の判事の任命権は林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官にあるほか、重大な事案は本土の裁判所にかけられる可能性がある。
ラム長官など香港政府の高官は数週間前から香港に三権分立はなく、三権は中国中央政府にあると強調している。
香港大学法科大学院のサイモン・ヤング教授は18日、国安法関連事案を扱える判事を任命し、外国人裁判官は歓迎されていないという憶測を払拭するよう香港政府に求めた。教授は「政府が最高裁の外国人裁判官制度を引き続き支持していると市民に安心してもらうという点で、ボールは今明らかに政府の側にある」と述べた。
*内容を追加しました。
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