パナソニック、自動補正機能を搭載したミリ波ギガビット無線チップを開発

JCN Newswire / 2013年2月20日 13時58分

モバイル機器向け超高速無線伝送の実用化を加速、次世代高速無線通信規格WiGig[1]とIEEE802.11ad[2]の両規格に対応

Osaka, Feb 20, 2013 - (JCN Newswire) - パナソニック株式会社は、次世代高速無線通信として60GHz帯を用いるミリ波ギガビット無線チップの量産化に向け、安定して無線回路性能を最大に引き出す技術を開発しました。さらに、この無線チップを10mm角のアンテナ一体小型モジュールに集積化したことで、モバイル機器への搭載をより容易にし、超高速無線伝送ネットワーク実現に貢献します。

効果

無線チップに自動的にばらつきを補正する機能を搭載することで、無線で搬送可能な形に信号変調する精度を1.5倍以上に高めて、動作マージンが少ない設計を可能とし、1W以下の低消費電力で安定した通信性能が得られるようになりました。また、この無線チップを小型モジュールに集積化したことにより、モバイル機器に搭載することで、高精細な画像データや大容量ファイルの送受信を容易にします。

特長

本開発は以下の特長を有しています。
1. ミリ波無線回路の性能を最大限に発揮させる、ばらつき自動補正機能を無線チップ自体に搭載。
2. 受信信号の劣化を補償しつつ、消費電力を50%以上削減する信号処理回路を内蔵。
3. 無線チップと送受信アンテナを小型モジュールに集積化(サイズ:10mm角)。

内容

本開発は以下の要素技術により実現しました。
(1) ばらつき補正に必要となる複数の回路ブロックを共通化した自立型送受キャリブレーション技術。
(2) 新たな演算処理アルゴリズムを適用し、回路規模を大幅に削減した超低消費電力周波数領域等化技術。

内容の詳細説明

(1) ばらつき補正に必要となる複数の回路ブロックを共通化した自立型送受キャリブレーション技術:
電源投入時に送信無線回路の周波数偏差を自動検出し、ベースバンド信号処理により補正する送信周波数偏差キャリブレーションや、送受の変調波特性を劣化させる直交誤差[3]の自動キャリブレーション、送信電力誤差の自動キャリブレーションなどを搭載しました。これにより、量産時に課題となるチップ間の性能バラツキや電源電圧変動による性能劣化を、外付け部品の付加なくチップ内で完結して抑えることに成功しました。種々のキャリブレーションに用いる回路は、他の回路ブロックと共用することで、チップ面積の増加を抑えました。この技術により、量産時の歩留まりが向上し、チップセットの低コスト化が可能となります。

(2) 新たな演算処理アルゴリズムを適用し、回路規模を大幅に削減した超低消費電力周波数領域等化技術:
多重伝搬[4]によって発生する周波数歪みを、伝搬路推定を行ってベースバンド信号処理で等化[5]します。従来、膨大な信号処理が必要なためモバイル機器への搭載が困難でしたが、当社では、新たな演算処理アルゴリズムを適用し、必要となるFFTやIFFT[6]のサイズを小さくすることで演算量を大幅に削減。さらに動作ブロックの最適制御アルゴリズムと組み合わせることにより、従来技術に比べて約50%の低消費電力化に成功しました。

従来例

従来のミリ波無線回路では、性能ばらつきを補うために動作マージンをとった設計が必要で、モバイル機器向けに消費電力を低減した実用例がこれまでありませんでした。そのため、薄型テレビにおけるチューナとの間での無線通信など、据え置き機器に用途が限定されていました。

備考

本研究開発は、総務省平成24年度(2012年度)「超高速近距離無線伝送技術等の研究開発」の成果の一環です。本技術成果の一部はIEEE International Solid-State Circuits Conference 2013(サンフランシスコ)にて2月19日に発表、併せて高速ファイル転送のデモンストレーションを実施しました。

特許
国内 48件、海外 46件(出願中含む)

本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
http://panasonic.co.jp/corp/topics.html

[1] WiGig(Wireless Gigabit Alliance)
60GHz帯を活用し、1ギガビットを超える高速無線技術や相互接続を検証するための技術仕様を策定することを目的としてパーソナルコンピュータ、家電製品、モバイル端末、半導体等の代表的な企業が集い、2009年5月に発足した業界団体で、IEEE802.11ad規格の策定にも貢献。当社はボードメンバーとして参画。( http://wirelessgigabitalliance.org/ )
[2] IEEE802.11ad
IEEE(アイトリプルイ-:米国電気電子学会)が策定する標準規格のうちローカルエリアネットワークを規定する委員会で、特に無線LANの規格を策定する作業部会がIEEE802.11です。この作業部会傘下で60GHz帯の周波数を活用し、1ギガビットを超える次世代の高速無線LAN技術の仕様を策定する技術部会が、IEEE802.11ad規格の作成作業を進めており、2012年12月に仕様書を発行。
[3] 直交誤差
デジタル信号の変復調に使用される、90度の位相差をもつ2つの信号の振幅誤差と位相誤差のこと。
[4] 多重伝播(マルチパス)
無線信号が空間を伝搬する際に、壁や床などで反射することによって、2つ以上の経路を持つこと。
[5] 等化
伝搬路の特性によって変化を受けた受信信号をもとの信号に戻すこと。
[6] FFT、IFFT
FFTとは、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)の略称で、デジタル信号を時間領域から周波数領域に高速に変換するための重要なアルゴリズム。逆変換はIFFT(Inverse FFT)と呼ばれる。使用するデータのサイズが大きくなるに従って演算量が急激に増大する。

パナソニック株式会社

パナソニックは、部品から家庭用電子機器、電化製品、FA 機器、情報通信機器、および住宅関連機器等に至るまでの生産、販売、サービスを行う総合エレクトロニクスメーカーです。

パナソニックは、2018 年の創業100 周年に向けて、エレクトロニクスNo.1 の「環境革新企業」を目指します。全事業活動の基軸に「環境」を置き、世界中の次の世代の人たちのために、全世界で起こりつつある「グリーン革命」を、先頭に立って推進してまいります。

当社に関するさらなる情報は、 http://panasonic.co.jp をご覧下さい。



Source: パナソニック株式会社

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E-mail: crdpress@ml.jp.panasonic.com 
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