その19 「お客様は神様です」【こんなものいらない!?】 

J-CAST会社ウォッチ / 2017年6月19日 19時0分

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鉄道の駅には「STOP暴力」を訴えるポスターが貼られている。

数年前まで中国の大学や塾で日本語を教えていたが、その授業中、「日本ではお客様は神様と言ってね、スーパーマーケットなんかでは...... 」と、僕はよく自慢げに話していた。

日本のスーパーを褒め、一方で、中国のスーパーのサービスをこきおろしていたのである。

中国でスーパー店員は「謝謝」とさえ言わない

たとえば、中国のスーパーでは勘定のとき「謝謝」(ありがとう)とさえ言わない。おつりは投げて寄こす。そんなところが目立った。

「何々はどこにありますか」と店員に聞くと、おおむね「没有」(ありません)あるいは「不知道」(知りません)のひとこと。自分で探すと、すぐ近くにあったりする。

同じことを、僕が帰国時によく利用するスーパーで尋ねれば、店員は仕事の手を休め、その商品があるところまで連れて行ってくれる。レジにいる店員の丁寧な言葉は途切れることがない。「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」「〇〇円、お預かりいたします」「△△円、お返しいたします。お確かめください」「レジ袋はお入り用ですか」「また、お越しくださいませ」。

お客はおおむね無言である。「カネを払ってるんだ。愛想を言う必要はない」。そんな雰囲気が漂っている。買い手は売り手よりも偉いのだから当然である。しかし、僕はやがて自分の不明を恥じることになった。

同じ系列のスーパーで、店員が過労から亡くなったり、あるいは自殺したりして、新聞種になっていたのだ。過労死や自殺は客への手厚いサービスとどこかでつながっているはずである。サービス残業が多かったということも分かった。

「自分は神様だ!」というおごり

電通でも入社1年目の女性社員が過労から自殺した。ここもお客様は神様で、(もちろん、もうけ第一だろうけど)顧客のためなら休日出勤、徹夜もいとわず納期を守ろうとする。社員は睡眠時間を削るしかない。そこに問題があったと、弁護士に指摘されている。

「お客様は神様です」は、歌手の三波春夫(1923~2001年)の言葉である。ただ、彼にとっての「お客様」とは彼の歌を聴く「聴衆」のことであり、商店や飲食店などのお客のことではないし、営業先の顧客でもなかった。

それなのに、たとえば買い物客が「カネを払っているんだから、自分は神様だ。自分の言うことを聞け」というふうに解釈されるのは心外だったらしい。彼のマネジャーでもあった娘さんが「本人の真意」をネットで発表している。

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