「26歳の女性」が日本で一番孤独!? その意外な理由は......

J-CAST会社ウォッチ / 2018年12月13日 16時45分

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意外に孤独な20代女性

日本人の中でもっとも孤独を感じているのは、どの年代の人だろう――。「それはもちろん、一人暮らしのお年寄りでしょう」と思う人が少なくないだろう。

ところが高齢者ではなく、「26歳の女性」という調査が発表された。研究者に聞くと、意外な理由が......。

高齢者が孤独なんてウソ、若い人ほど悩んでいる

調査をまとめたのは三菱総合研究所研究員の劉瀟瀟(リュウ・ショウショウ)さんだ。機関誌「MRIマンスリーレビュー」の2018年12月号に、「若者 26歳の女性が日本で一番孤独」というタイトルで発表した。

孤独は、世界的に注目される社会問題になっている。英国では孤独がタバコを1日に15本吸うのと同じ健康被害を与え、国家経済に年間約4.9兆円もの損失を与えているという研究があるほどだ。そのため、メイ首相は2018年1月、内閣に孤独問題の担当大臣を置くと発表。長年孤独解消の運動に取り組んできたトレイシー・クラウチ下院議員が初代孤独大臣に任命された。

日本では、「孤独=高齢者」という見方が一般的だが、実際はどうなのだろう。劉さんは、同研究所の「生活者市場予測システム(mif)のデータを使って調べた。これは、生活者のあらゆる価値観から消費・生活までの状況を把握するために、2011年から毎年1回全国の3万人(20~89歳の男女)に、1人2000問のアンケート調査を実施するもの。

質問項目は、「ライフスタイル」(食、飲酒、飲料、ファッション、住、家事・家電、健康、美容、レジャー)から、「教育・学習」「仕事」「家族」「恋愛・結婚」「老後」「情報リテラシー・通信」「エコ」「金融」(銀行、保険、証券等)など19分野に及ぶ。

今回、20~69歳の男女3万人を対象に「孤独を感じる時があるか」をテーマに細かく聞いた。すると、男女とも若い人ほど孤独を感じる度合いが高くなり、年をとるほど低くなることがわかった=図表参照。実際に最も孤独を感じているのは20代で、「とても孤独を感じる」「孤独を感じる」という回答割合が男女ともほかの世代を引き離した。最多の26歳女性では、33.9%に達した。ちなみに60代は男女とも10%以下である。

結婚してもしなくても20歳女性はビミョー

花も実もある26歳の女性は、青春を楽しんでいるように見えるのに、なぜ? J-CAST会社ウォッチ編集部の取材に応じた劉さんは、こう説明した。

「26歳の女性が孤独を感じやすいのは、ライフコースの転換期に当たるためだと思います。厚生労働省の人口動態調査によると、日本人女性の初婚年齢で一番多いのが26、27歳です。つまり、26歳になると、結婚、出産する同級生が増えて、シングルの女性は『自分だけが取り残されている』という焦りが高まります。そして、友だちが子どもや夫の話をすると、『私にはまだ決まった人どころか、付き合っている人もいない』と、いいなあと思うのと同時に寂しさを感じるのです」

回答のコメント欄では、そんな寂しさをこう表現していた。

「(子どもの)ゲームの話とか、私がわからない話で盛り上っていると、置いてけぼりにされている孤独感があります」(20代シングル)
「(孤独は)毎日ふんわり感じていますが、ずしん!と来るのは月に2、3回くらい」(20代シングル)
「冬の凍てつく寒さが続くと人恋しくなる。お正月の国民的なビッグイベントの際は考え込んでしまいます」(20代シングル)

とはいえ、「26歳女性」は結婚適齢期の疎外感からだけ寂しさを覚えるわけではない。結婚しても孤独になることがあると、劉さんは、

「結婚・出産した女性でも、家庭で夫の理解が得られず家事をしてくれないと寂しさに襲われます。また初産のための経験不足から一人で育児に向き合い、誰も相談に乗ってくれる人がいない場合、落ち込んでしまう人もいます。夫が仕事で泊まりの時、夜中に赤ちゃんが泣きやまないと孤独を感じたり、夫と同じ家にいるのに、別々の部屋で寝ていると寂しくなったりするという回答もありました」

と指摘する。

また、「26歳」は職場でも微妙な年齢に差しかかっている。劉さんが説明する。

「職場では、新人でもなくベテランでもない『中途半端』の年齢です。自分の能力、進路を考えるとモヤモヤした気持ちになり、相談できる人がいないと、寂しく感じます。また、上司、同僚との人間関係を悩む女性も多いです。(産休・育休後に)職場復帰したら、自分がいない間に新しい関係ができあがっていて、自分の居場所がないように感じると答えた人もいました」

SNS上の「何でも相談」や「仮面カフェ」で孤独を吐きだそう

それにしても、逆に年をとるほど「孤独」を感じる人が少なくなるのはどういうわけだろう。よく高齢者の「孤独死」が問題になるではないか――。

劉さんはおもしろい見方を示した。

「若者というと、いつもワイワイしているとか、学校や会社、家庭というつながりがあるので寂しくはないだろうと思われがちです。しかし、じつは相談相手がいなかったり、まだ一人で向き合うことに未熟だったりするので孤独なのだと思います。その点、高齢者ほど人生の経験を積み、無駄に悩まなくなりますから、若者ほど余計な孤独を感じることが少ないのです。よく『孤独死』がいわれますが、それは『一人で死んだ』と定義される死に方であって、生きていた時に本当に孤独であったかどうかは、わかりません。特に60代女性は、介護、育児を終えて、人生を楽しんでいる人がとても多いです」

そういえば最近、高齢者を中心に「孤独」をポジティブに受けとめて勧める本が人気を集めている。下重暁子『極上の孤独』(幻冬舎新書)、斎藤孝『孤独のチカラ』(新潮文庫)、五木寛之『孤独のすすめ』(中公新書)...などだ。そもそも孤独でいる人は、周りに自分を合わせるくらいなら一人でいる方が楽しいという、円熟の境地に達した人間であるという前向きに書かれた本ばかりだ。

しかし、26歳女性がその境地に達するのは何十年も先だろう。

劉さんは、アイデアを提案している。

「最近、一人カラオケや一人焼肉のように、孤独を受けとめるビジネスが徐々に充実してきてはいますが、若い女性の健康と幸福感を向上させるには、きちんと孤独感自体を解消させるサービスが大切です。たとえば、SNS上の気軽な『何でも相談』や、仮面をつけてお互いにツッコミを入れて、寂しさを存分に吐き出させるリアルな『仮面カフェ』などいかがでしょうか。こうしたカフェに、カウンセラーがさりげなく相談に乗ることができれば効果的だと思います」

(福田和郎)

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