24時間、ダンスOK! 風営法改正が促すナイトタイムエコノミーの活性化(気になるビジネス本)

J-CAST会社ウォッチ / 2019年5月21日 11時45分

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風営法改正で、街の経済活動は昼間ばかりでなく、夜間にも活性化するとみられている

クラブなど「客にダンスをさせる営業」は風俗営業に指定され、営業時間などで風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)による厳しい規制を受けていたが、2016年6月の法改正で、一定の基準を満たすことを条件に風俗営業から外された。

クラブは24時間営業が可能になり、これをきっかけに夜間の観光市場の創出がさまざまに考えられているという。

「ルールメイキング ナイトタイムエコノミーで実践した社会を変える方法論」 (齋藤貴弘著) 学芸出版社

古い法規制がイノベーションのボトルネック

本書は風営法改正までのさまざまなプロセスを解説し、改正運動がその後、夜間の観光市場の活性化を促す効果につながっていることを具体的に述べた。著者の齋藤貴弘さんは、風営法の改正運動のけん引役を担った弁護士で、法改正を受けての「ナイトタイムエコノミー」政策の推進にも深くかかわる。

風営法は「風俗営業等取締法」として戦後間もない1948年に制定されたもの。「客にダンスをさせる営業」は、売春につながる可能性があり、その予防のため営業時間が制限されたとみられる。現代では明らかに時代遅れの法律でありながらオリジナルのまま存在し、ダンス文化、音楽文化の発展を阻害。そればかりか、欧州の各国では経済成長の一部を担っているナイトタイムエコノミーの芽をも摘んでいる。そのアップデートは喫緊の課題だったにもかかわらず、業者らはヤブヘビを怖れてひっそり違法営業を行っていた。

風営法のクラブ規制、それによる副作用をみて齋藤さんは、現代ではさまざまに起きているイノベーションのボトルネックは、時代遅れの法規制であることを実感。風営法改正で経験し学んだことをたたき台にして、現代に必要な「ルールメイキング」について問題提起したのが本書の内容だ。

齋藤さんは、イノベーションについて「それまでの前提を変え、常識や価値観さえも覆し、質的にも転換してしまう」展開であり「既存フレームの外で起きる」ことと定義。現状での典型例としてシェアリングエコノミーを挙げる。サービス業では、ホテルと宿泊客、タクシーと乗客、飲食店と客―など、事業者と消費者は別々の枠でくくられ固定され、いわゆるB to Cのビジネスモデルであるが、シェアリングエコノミーではこれをC to Cに大きく転換し「事業者と消費者の壁を壊して流動化させる」。

既存のフレームでは、既存の法規制が既存産業あるいは既存ビジネスを対象に設計されており、フレームの外で起きるイノベーションは、構造的に既存の法規制に適合しない場合が多く、ルールがないがためにせっかくのイノベーションが使われないまま廃れ、市場の成長チャンスを逃してしまう。「本来イノベーションはルールメイキングとセットで検討されなければならない関係にある」と、齋藤さんは言う。

シェアリングエコノミーのフル導入でも困難が見込まれるが、本書によると、風営法改正でもいくつものハードルを乗り越え実現させてきた。一般国民の間での認知度向上、従来の陳情活動を洗練化、アップデート化した「ロビイング2.0」の開発、政治家らの支持を得て実現できる政策アジェンダ化など。政治家の支持を得るにあたって、改正によりもたらされるナイトタイムエコノミーの成長見込みが説得材料になり、改正実現後には、改正運動が夜間市場成長を図る動きにリフレーミングされた。拡大するインバウンドや東京五輪の機会を生かした成長戦略が考えられている。

版元の学芸出版社は京都市に本社がある。音楽家の坂本龍一さんや、クリエイターのいとうせいこうさんらが呼びかけ人となって発足し、風営法改正運動の母体となった「レッツダンス署名推進委員会」は、京都で2012年5月に組織化された。齋藤さんは同委員会の共同代表を務めた。

『ルールメイキング ナイトタイムエコノミーで実践した社会を変える方法論』 齋藤貴弘著
学芸出版社
税別2200円

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