ラグビーW杯、日本代表は8強に届くのか? レジェンド3人が読む「予選プール」の展開

J-CASTニュース / 2019年6月14日 18時0分

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スマホで昔の写真を交換する永友洋司さん(左)と今泉清さん

ラグビー元日本代表の今泉清さん、永友洋司さん、坂田正彰さんによる「レジェンド座談会」(前回:ラグビー界のレジェンド3人が語るW杯 日本代表はいかに戦うべきか?)。

日本代表は「8強」、またはそれ以上という目標を掲げ、日々、研鑽(けんさん)を積んでいる。初の自国開催、初の「8強」以上は成し得るのか?

(聞き手・構成/J-CASTニュース 山田大介)

ラグビーは「番狂わせ」起こりにくいスポーツ

まず、2019年6月現在の世界ランキング(予選プール同組のみ)を見てみよう。

・アイルランド=3位
・スコットランド=7位
・日本=11位
・サモア=17位
・ロシア=20位

ラグビーというスポーツは「真正面からのぶつかり合い」である。そのため、サッカーとは異なり「たまたま、ゴールに入った」または「オウンゴール」といった「偶然性」が少ないのも特徴だ。つまり「番狂わせ」が起こりにくく、基本的には「ランキング=試合結果」となるケースが多い。

予選プールを通過できるのは、上位2カ国のみ。つまり「番狂わせ」が起こりにくいと仮定すると、下位のサモア、ロシアに勝ったとしても、上位のアイルランド、スコットランドのどちらかに勝たなければ「2位=8強」は確保できない。ただし、これも上位が下位に負けるケースもあるため「絶対」ではない。

初戦はロシアより、アイルランドかスコットランドがよかった?

実際、2015W杯イングランド大会では、日本は南アから「歴史的大勝利」を奪い、次戦のスコットランドには大敗。そのスコットランドは南アに敗れる...という、ラグビーでは珍しい「三つ巴」となった。結果、南アとスコットランドが決勝トーナメントに進出している。

永友さんは、

「スポーツに『たら、れば』はないけれど、初戦は(格上の)アイルランドがよかった。弱いチームって、強いチームにターゲットを絞っていくじゃない? だから、初戦はアイルランドだとよかったかな」

今泉さんも同じ意見で、

「ロシアじゃなかったよな。先にアイルランドか、スコットランドかに当たっておいた方がよかった」

坂田さんも、

「W杯でもTL(トップリーグ)でも、初戦の戦い方は非常に大事。そこで格上のチームに勝ったり、同等の試合ができれば、他のチームにプレッシャーをかけられる」

日程の「幸運」は日本代表への追い風、一方で試合順の「妙」

次に、下記の日本代表試合日程をご覧いただこう。

・9月20日(金)=日本―ロシア(東京スタジアム)
・9月28日(土)=日本―アイルランド(静岡・エコパスタジアム)
・10月5日(土)=日本―サモア(愛知・豊田スタジアム)
・10月13日(日)=日本―スコットランド(横浜国際総合競技場)

何を言いたいのか? というと、曜日を見てほしい。きれいに1週間が空いている、ということだ。読者の方も経験があるだろうが、打ち身や打撲というのは、1週間あっても回復するかどうか微妙だろう。ところが、ラグビーは40分×2=80分(前後半)で、ハードな当たりの連続である。試合翌日などは、だいたい「全身打撲」「満身創痍」の状態で、ベッドから起き上がることも、ままならない。

事実、2015イングランド大会では、南アに勝ったものの、次戦のスコットランドは移動込みの「中3日」。この時、スコットランドは大会初戦だった。

記者は、同大会で一世を風靡(ふうび)した元日本代表の五郎丸歩選手に「体はきつくなかった?」と質問をぶつけたことがあった。しかし、五郎丸選手は「体は問題なかった。(スコットランド戦で敗れたのは)自分たちの準備が足りなかっただけ」と返してきた。さすがは「桜のジャージ」に袖を通した男だけある...とは思ったが、常識で考えても「リカバリー(回復)」の時間が、あまりにも短すぎた気がしてならない。

今泉さんも、

「最低でも『中5日』は必要かな。選手の体はもちろん、HC(ヘッドコーチ)も『誰の状態がどうなのか?』を把握する時間がなきゃいけない」

と話す。

「最終戦にスコットランドがいるっていうのが、一番、面倒くさい」

自国開催でのファンの応援、試合会場の環境を熟知、日程の幸運...。日本代表には、さまざまな追い風が吹くことになりそうだが、3氏とも「問題は最終戦のスコットランド」だという。

坂田さんは、

「まず、ロシア戦。体も大きく、非常にタフな相手だが、現在の日本代表の実力を持ってすれば、よっぽど下手しないかぎりは大丈夫だろう」

と分析する。

問題は第2戦目のアイルランドだが、世界ランキング3位。2015年の南ア(当時世界3位)戦の奇跡を再現したいところだが、事象が「奇跡」だっただけに、その再現となると、なかなか厳しいものがありそうだ。

FWの核として活躍した坂田さんは、

「アイルランドのパターンにはまらないことが重要。相手は、FWでゴリゴリ来る。でも、そんなにトリッキーなことはしてこないチーム」

と話す。

続くサモアも、格下とはいえ、個々のフィジカルや南半球独特の独創的なプレーは侮れない。だが3氏とも「2015年を経験し、選手の経験値も我々とは比較にならないほど持っている。普通にやれれば、問題ないだろう」。

そして問題なのが、最終のスコットランド戦だ。スコットランドは9月22日(横浜国際総合競技場)で、アイルランドと対戦する。自力ではアイルランドが上。ここでスコットランドが敗れた場合、最終戦で「予選プール突破」をかけて、日本代表と対戦する...という構図が予想される。

坂田さんは、

「最終戦にスコットランドがいるっていうのが、一番、面倒くさい。ここで『8強』が決まる公算が高いから」

「番狂わせ」の少ないラグビーにおいて、日程や試合順は極めて重要である。今回のW杯では、それが日本代表にどう働くか。

さて、W杯に向けて「ラグビー熱」が高まりつつある日本だが、気になるのは「その後」だ。最終回となる次回では、この問題を中心に3氏に語っていただく。

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