W杯後、日本ラグビーが「祭りのあと」にならないためには?

J-CASTニュース / 2019年6月15日 18時0分

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直筆サイン入りジャージを手にする坂田正彰さん

元日本代表の今泉清さん、永友洋司さん、坂田正彰さんによる「レジェンド座談会」も、第3弾(前々回、前回)。

開幕前、そして開催期間中は大いに盛り上がることは間違いない。しかし、大会終了後は...と考えると、ラグビーファンとしては、一抹の不安を覚える。日本が、真の「ラグビー大国」になるためには、どうしたらいいのだろうか?

(聞き手・構成/J-CASTニュース 山田大介)

1980年代~90年代は「早明戦」チケット獲得に徹夜組も出た

今泉さんが早稲田大、永友さんが明治大、坂田さんが法政大だった1980年代~90年代、大学ラグビーは空前の盛り上がりを見せた。特に、毎年12月第1日曜日に行われる「早明戦」(当時は国立競技場で開催)は、真冬にもかかわらず、当日券を求めるために「徹夜組」まで出るほどだった。

ハーフタイムには、誰言うともなく、スタンドの観客がウェーブを始めた。当時、高校生だった筆者も「ウェ~イ!」と、立ち上がったことを記憶している。

現在も早慶戦、早明戦などはスタンドが満員になるのだが、一方でトップリーグ(TL)は空席が目立つ。

考えてみると、これは実に不思議な現象だ。ラグビーのレベルとしては「大学<TL」なのに、観客数としては「大学>TL」ということになる。野球に例えれば「大学>プロ」、サッカーなら「大学>Jリーグ」という図式だ。

もちろん、すべての大学ラグビーに当てはまるわけではない。しかし、こと「早慶戦」「早明戦」においては、観客数が激増する。一般的には「早慶戦」「早明戦」と言うが、慶応義塾大の学生やOBは「慶早戦」、明大の学生やOBは「明早戦」と呼ぶ人も少なくない。

こと「早慶明」の3校は、常にライバル関係。私見だが、その優劣をつける最も分かりやすいスポーツが、ラグビーだったのではないだろうか。

「総合スポーツクラブ化」という道

少々、話が脱線したが、永友さんは、

「学生ラグビーにもう1度、フォーカスしたいよね。(将来的に)『やりたい』って子、絶対に出てくる。絶対、増える。間違いなく増える。普及や育成は、そういった(子どもに興味を持ってもらう)ことから」

と語気を強める。

今泉さんも

「(日本代表が8強以上を目指すというような)上を高くするためには、下を広げないと」

と、普及や育成の重要さを指摘する。

一方で海外留学経験のある今泉さんからは、ユニークな話が飛び出した。

「少子高齢化の昨今、ラグビーだけでやろうとしても無理だと思う。例えば、ニュージーランドなんかは、いろんなスポーツと一緒になって、その中にサッカー、ラグビー、バレーボール、バスケットボールなんかがあって『今日、ラグビーの試合があるから行こうぜ!』『明日はサッカーが試合だから応援しよう!』って感じ。これからの人口減少、コミュニティー化っていう時代には、大切だと思う」

永友さんは、

「『部活動』っていう考え方が、そもそも古いのかもしれませんね」
「そうそう。ダメな監督やコーチがいたら、よそのチームに移るとか。海外では、当たり前だもん」

と、今泉さんも同調する。

元日本代表3氏をしても「日本にラグビーをいかに根付かせるか?」という結論は、なかなか出なかった。

座談会が始まる前の「こぼれ話」

ところで、同座談会は、東京都内の居酒屋個室で開催した。最初に入店したのは「末っ子」坂田さん。

「そりゃ、先輩を待たせたらマズいでしょ」

ほどなくして「次兄」永友さんから、坂田さんに連絡が入った。

  
「坂田? 場所、分からへん。っていうか、(今泉)清さん、来てる?」

と、先輩に気を使いながら入店した。

最後に「長兄」今泉さんが、

「おう、久しぶり。待たせたな」

と言って入店。

坂田さんは、

「清さん、罰金ですよ!」

と冗談が飛び交った。

高校や大学ラグビー界には、かつて「しぼり」と呼ばれる伝統行事?があった(現在では、ほとんど行われていない)。だらしないプレー、練習環境の整備不良、生活面で粗相をした下級生に対して行われていたもので、例えば大学では、

・4年生=しぼり決定権

・3年生=しぼり実行権

・2年生=1年生の監督不行き届き、連帯責任でしぼられる

・1年生=果てしなく、しぼられる

ヘロヘロになるまで練習した後、さらに「星が出るまで(または、夜が明けるまで)走らされる」というものだ。

大学も違うアラフィフ(50歳前後)の3氏でも、いまだにその関係が受け継がれているのか...と思うと、何だかおかしくなってしまった。

J-CASTニュースでは引き続きラグビーを追っていきます

今泉さん、永友さん、坂田さんの熱い「ラグビー談義」は、夜遅くまで続いた。

話を聞きながら感じたことは、ラガーマンとは「強い相手」「高い壁」「難しい局面」...困難に立ち向かえば立ち向かうほど、それを打破するために頭で考え、エネルギーを発揮していく「人間たち」だということだ。

J-CASTニュースでは、3氏にコメンテーターとしてご協力いただき、2019W杯、2020五輪7人制、そして、その後...と、引き続きラグビーを追っていく。

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