メディアにはびこる「FAX文化」 時代はペーパーレスなのに...なぜ?

J-CASTニュース / 2019年7月16日 7時0分

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1週間に届いたファクス

マスコミをはじめとするメディア各社の元には、毎日大量のファクスが届く。企業やPR会社からプレスリリースと呼ばれる、新商品やサービスなどに関する情報が書かれた紙だ。多くはメールと併せて送られてくる。

デジタル化とペーパーレスが進む中、ウェブメディアの記者としては「メールで済むのになぜ紙」と疑問も。広報関係者や新聞記者に聞くと、止められない事情が見えてきた。

リリース送付手段は主に5つ

「期間限定イベント開催のお知らせ」「【本日16:00情報解禁】芸能人の○○を起用したテレビCMを放送します」――。J-CASTニュース編集部にも、毎日数多くのリリースが届く。

主な受け取り手段は手渡し、郵送、ファクス(FAX)、メールで、電話での案内もある。送り手は一般的に複数の手段を組み合わせ、メディア露出を狙う。

記者がふと疑問に感じたのは、さまざまな業界で業務のペーパーレス化が叫ばれる中、なぜメディア業界では「紙」が根強いのかだ。リリース送付の標準がメールになれば省資源化につながり、用紙代やインク代、仕分け・廃棄コストの削減といった経営上のメリットもある。

PR会社や企業広報などの業界団体、日本パブリックリレーションズ協会の福家慎一常務理事に疑問をぶつけると、同協会では「ファクス文化」について、会員から疑問が寄せられたことはないという。

ただ、「私がPR会社で働いていた時は、いくつかのメディアから『ファクスでのリリースはやめて欲しい』との要望がありました」と振り返る。さらに「ファクスを使ったリリースの是非を一概に語ることはできないが、ファクス送信する場合には、送り手と受け手の間の信頼関係が重要だと思います」としている。

「メディア都合」でファクス止められず

『【小さな会社】逆襲の広報PR術』(すばる舎)の著書を持つ野澤直人さんは、ファクスの利点を次のように説明する。

「メディア関係者の手元に届いた時に、リリースのタイトルと1ページ目の内容がダイレクトに目に入ることがファクスのメリットです。郵送の場合は開封しないとリリースの内容がわかりませんし、メール添付の場合は、メールの件名は見られますが、それ以上の情報を見るには最低でもワンクリック必要です」

野澤さんは「ファクスで大量のリリースをやりとりするのは、紙という資源の無駄遣いですので、本当はやめたほうがいいのかもしれませんが...」としつつ、メディア側の事情もあって"紙離れ"は難しいと見る。

「特に新聞や雑誌といったメディア側はファクスでの送付を受け入れています。理由を想像しますと、(1)新聞や雑誌など紙媒体の方々は、普段から紙に接する機会が多いので、紙で受け取るファクスのリリースが感覚的にしっくりくる(2)昔からずっとファクスでリリースを受け取っているので、そのやり方に慣れている。違和感を覚えない。やり方を変えるのが面倒――が考えられます」

全国紙、ブロック紙、スポーツ紙の元記者に事情を聞くと、いずれもファクスは学生アルバイトか新人記者が取りまとめ、必ずデスクが目を通す。あるスポーツ紙では、ファクスは一日に「とてつもない量」届き、通信社からの記事や"特ダネ"も紛れているため、こまめに確認する必要があるという。

一方、ウェブメディアなどを展開する「アイティメディア」は13年に、ファクスでのリリースの受け取りを廃止し、メールでの一本化に踏み切った。

当時の発表文では、「FAXは1通あたりA4用紙3枚以上必要なものがほとんどな上、複数の担当者宛に同じ内容のものが社内で10通以上届くことも珍しくない。そのため、印刷されるFAXの多くが使われず、ゴミになってしまうという実情があった」などと説明している。

最近では、受信したファクスをメールやチャットで受け取れる複合機も登場している。アイティメディアと"同憂の士"であるJ-CASTも、そろそろファクス文化を点検するタイミングかもしれない。

(J-CASTニュース編集部 谷本陵)

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