【日韓経済戦争 番外編】「トランプの物真似」「朝鮮半島への野望の血脈」...... 韓国紙「安倍研究」を読み解く

J-CAST会社ウォッチ / 2019年7月28日 8時0分

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安倍晋三首相は「5つの勘違い」をしている!?

日韓経済戦争は長期戦の様相を呈してきた。韓国社会の反日感情が高まりを見せるなか、韓国メディアの間で「これほどの強硬姿勢を貫く安倍晋三首相とはいかなる人物か?」という「安倍研究」の記事が増えている。

その中で目立つのが、「傍若無人の振る舞いで世界をかき回すトランプ米大統領を真似ている」という見方と、「ルーツは朝鮮半島侵略の血脈にある」という指摘だ。いったいどういうことか、韓国紙から読み解くと――。

「トランプは堂々と『報復』を宣言するが、安倍は隠す」

日本批判の急先鋒、ハンギョレは2019年7月23日付で「トランプを真似た安倍の5つの『勘違い』 文在寅政府をやり込めようとし、激しいグローバル逆風を招く」という長文の記事を掲載した。

まず前置きに、

「日本政府が右往左往している間に、韓国では不買運動が激しく起きるなど『反日隊伍』が固まり、国際世論は日本に批判的に動き始めた。このような展開は、安倍晋三首相をはじめとする日本首脳部の判断に誤りがあることを示している。安倍首相がどのような『勘違い』から『経済空襲』を断行したのかを考えてみるのは、今回の事態の展望を探るのに役立つ」

として、安倍首相の5つの「勘違い」を列挙している。

(1)安倍はトランプではない。

「日本の輸出規制は、気に入らない文在寅(ムン・ジェイン)政府に思い知らせてやるという意図が一番大きい。韓国政府を揺さぶり、その後に日本にとって馬の合う韓国の保守勢力に政権が交代するのにひと役買うのならなおさらよい。問題は政治外交懸案に対し貿易報復という『経済的武器』を使った点だ。強制徴用問題などで信頼が損なわれたと明らかにしておきながら、輸出規制が報復ではないという。韓国のホワイト国からの除外が『恩恵をなくしただけだから原状復帰にすぎない』という主張も同じ脈絡だ。ナイフで刺したが傷害を負わせたわけではないというようなものだ」

つまり、日本側の主張は「報復」というホンネを隠しているため支離滅裂だというのだ。一方、トランプ大統領は堂々と「報復」を宣言しており、それなりに筋が通っているとして、こう指摘する。

「同じやり方で『華為(ファーウェイ)封鎖』に出たトランプ大統領は、貿易報復を公然と騒ぎ立てる。全面的に貿易戦争を繰り広げ、一貫して力で相手を屈服させてきた。しかし、安倍氏はそうではない。彼は大阪でのG20首脳会議でも自由貿易を強調した。トランプ氏の真似をして力を誇示しながらも、苦しい弁解をせざるを得ない。それが安倍氏とトランプ氏の決定的な違いだ」

(2)日本は米国ではない。

「トランプ氏が国際秩序を曇らせる『ならず者』のように行動できるのは、米国が覇権国だからだ。米国が好き勝手に振る舞っても、国際社会が制御するのは難しい。日本は米国と『体格のクラス』が違う。世界貿易の規範を破ってもびくともしない国は、米国と中国ぐらいだ。日本が貿易報復をカードとして使いづらいのはそのためだ」

安倍首相がいくらトランプ氏のモノマネをしても、決定的に力不足だと揶揄する。さらに日本は経済的な条件面でも分が悪いという。

「日本は韓国に劣らず、国家経済に占める輸出の割合が大きい国だ。一方、米国は慢性的な貿易赤字国だ。米国は最大の輸入国であるため、いつでも報復関税という『実弾』をぶちまけることができる。米国が中国との貿易戦争でも余裕を見せるのはそのためだ。一方、日本は貿易戦争をするほど武器が十分にあるわけでもない」

「サムスンは華為のように『一人ぼっち』ではない」

(3)サムスンは華為ではない。

「米国と日本の輸出規制の共通点は、主要な技術や材料・部品の供給を遮断し、相手国の主要企業を強打することだ。自国企業にもかなりの損失が避けられない『自害』方式だ。最先端5世代通信(5G)のトップランナーに浮上した華為に対し米国が感じる危機感と不快感は、半導体とディスプレイ市場を掌握したサムスンに対し感じる日本の感情と変わらない」
「しかし、サムスンは華為に比べるとまだ余裕がある。華為の封鎖には他国の主な企業も参加した。サムスンは事情が違う。最も影響の大きいエッチングガス(高純度フッ化水素)にしても時間がかかるだけで、日本以外から代替材を調達するのは不可能ではない。華為が世界経済で占める割合はサムスンとは比べものにならない。サムスンの生産の支障は直ちに世界市場の不安要素として働く。サムスンを叩けばそれらも一緒に被害を受ける。サムスンは華為のように『一人ぼっち』ではない」

(4)計算が違った。

「日本の内外で、今回の輸出規制が墓穴を掘る行為だという指摘が出ている。英誌エコノミストや米紙ニューヨークタイムズが、日本の輸出規制は『経済的に近視眼的』であり、『無謀な自害行為だ』と非難したのが代表的だ。安倍氏は、国際世論戦ですでに敗北した状態だ。日本政府がそのような負担を抱えて韓日貿易戦争を長引かせるのは容易ではない」

国際世論は韓国の味方だというのだ。そして、今回の措置は日本経済にも大きな打撃を与えると警告する。

「次は実利的な計算だ。サムスンの被害は一時的な生産支障に過ぎない。サムスンの供給遅延で『ドミノ被害』を被るアップル、アマゾン、グーグルなど世界IT企業の非難は、日本政府に向かう。日本の半導体専門家である湯之上隆・微細加工研究所所長は『対韓輸出規制により、日本の多くの企業のビジネスが毀損され、競争力が削がれる。日本政府は墓穴を掘った。もう二度と日韓の関係は元に戻らないだろう』と警告した。サムスンなど韓国企業が『不安な取引先』である日本に完全に依存することは、もう再びあり得ないということだ」

「華麗に咲いて散る『桜文化』の日本人は長期戦に弱い」

(5)韓国はそれほど甘くない。

「日本は、文在寅政府がすぐに降参するだろうと『誤判断』した。韓国の不買運動は長続きしないだろうと言ったユニクロの役員の主張も似た脈絡だ。こうした戦略は、華麗に咲いては散る日本の『桜文化』とも無関係ではない。日本は清・露との戦争で短期的な集中攻撃で勝利を収めた。しかし、日中戦争のように長期化の段階に入れば、状況は正反対に変わる」

そして、韓国人は今回の措置を「経済侵略」として、かつて植民地化した日本の侵略同様に受け止めていると、こう結んでいる。

「今がそのようなありさまだ。熱しやすく冷めやすくもあるが、一度感情に火がつけばどの国民よりも強力なエネルギーを発するのが韓国人だ。政治外交と歴史の問題を経済的圧迫で解決しようとした安倍首相の『火遊び』が成功するのは難しく危険だというのはそのような背景からだ」

ルーツは征韓論の吉田松陰以来の「朝鮮侵略」

一方、中央日報(7月25日)の長文コラム「安倍―韓半島(朝鮮半島)の悪縁とトランプの平坦でない世界」は、まず安倍首相のルーツと朝鮮半島の因縁から説き起こす。

1894年に李王朝に反乱した農民を鎮圧することを口実に朝鮮に居座り、その後の植民地化の礎を築いた日本軍の指揮官に大島義昌少将がいる。この大島少将とはどんな人物か。

「大島は征韓論を主唱した吉田松陰の弟子の一人で、安倍晋三首相の高祖父にあたる。敗戦後の日本の保守勢力は大きく2つに分かれる。一つは平和憲法を受け入れて経済成長に集中した吉田茂首相系列だ。別の一方が岸信介首相系列だ。岸はA級戦犯だったが劇的に赦免された後、自民党の産婆役となった。征韓論の拠点だった山口県(長州)出身で、帝国日本の郷愁を忘れず絶えずアジアでの地位回復を狙う。その岸信介の孫が安倍首相だ」

つまり、安倍首相には朝鮮への野望の血が流れているというわけだ。

「こうした環境に囲まれた安倍氏には、韓半島(朝鮮半島)と改憲がDNAに深く刻まれているのかもしれない。安倍氏の裏面を暴いた本『安倍晋三、沈黙の仮面』(野上忠興著)によると、1993年に初当選した当時の国会登院の所感からほかの新米議員と違った。安倍氏は『憲法改正をするために議員になった。一刻も早く自主憲法を制定したい』と語った」

安倍氏と朝鮮半島の因縁は、小泉純一郎首相が2001年に電撃的に平壌(ピョンヤン)を訪問、日朝首脳会談を行ない、拉致被害者を連れ帰ったことでさらに深まる。

「官房副長官だった安倍氏は小泉首相に同行、日本人拉致問題を前に出しながら対北朝鮮強硬策を主導した。そのおかげで大衆的な人気とともに『拉致の安倍』というニックネームを得ながら華麗に自民党幹事長になった。そして2006年に小泉首相の後継者として52歳で首相に就任した」

「『韓国叩き』を長引かせて改憲に利用しようとしている」

安倍氏が若くして首相に上り詰めた背景に朝鮮半島があるというわけだ。逆に、そのことが今回の日韓経済戦争の解決を難しくしていると指摘する。

「韓日専門家の間で、今回の強制徴用問題は長引くという見方が出ている理由もここにある。安倍氏が改憲の野心のために韓日葛藤を利用する可能性があるからだ。来年7月の東京五輪前後に交渉局面に入るとしても、その後いつでも再発する余地がある」

「拉致の安倍」ではなく「韓国叩きの安倍」という人気を改憲に利用するために、日韓経済戦争を長引かせるのではないかと懸念しているのだ。そんな安倍氏が大胆に貿易報復をする背景には、トランプ米大統領がいるという。

「トランプ大統領の登場以降、平坦だった世界がでこぼこになっている。『攻撃的一方主義』と2国間交渉が支配する世の中に変わった。安倍氏はこうした変化を利用して韓国を苦しめている。当然、世界メディアも日本を非難している。『安倍晋三の望みのない貿易戦争』(ブルームバーグ通信)、『自由貿易の恩恵を受けてきた日本の偽善』(ファイナンシャルタイムズ)、『日本外交のトランプ化』(ウォールストリートジャーナル)......」

韓国の望みは米国の仲裁だが、

「すでに一方的貿易主義に向かったトランプ政権が積極的に動くかは疑問だ。米フォーリンポリシーは『トランプ大統領が仲裁する見返りに、米軍駐留費用や貿易協定でより多くの譲歩を要求する可能性もある』と分析した。不動産事業家出身らしい」

と、記事ではトランプ氏にさじをなげた形だ。

一方、安倍氏が「韓国叩き」で高い支持を得ようとしているのと同様、文在寅大統領も反日世論を利用しようとしている。日韓貿易戦争が始まって以来、文大統領の支持率は上昇傾向にあり、7月22日、ついに8か月ぶりに50%を超え、51.8%を記録した。もちろん、日本に対する強い姿勢を期待してのことだ。このことに関して、中央日報はこう警告して記事を結んだ。

「韓国政府が今回の摩擦を解決しようとすれば、韓半島問題を政治化させて長引かせようとする安倍首相、そしてトランプ大統領が変えた国際貿易秩序を勘案しなければいけない。理念や民族感情を下ろして徹底的に国益を問いただし、落ち着いて対応しなければいけない。竹槍や義兵、12隻の船(秀吉の朝鮮侵略を防いだ朝鮮水軍の亀甲船)ではなく、緻密な知恵と戦略が必要な時だ」

(福田和郎)

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