【日韓経済戦争】ルビコン川を渡った安倍首相に韓国どう出る? すでにユニクロ閉店、ビール6割減

J-CAST会社ウォッチ / 2019年8月2日 19時15分

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文在寅大統領は「怒り」の記者会見を開いたが……

日韓経済戦争は2019年8月2日、最大のヤマ場を迎えた。日本政府が「韓国のホワイト国除外」を閣議決定すると、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「極めて無謀な決定。全責任は日本にあると警告する」と怒りの記者会見を行なった。

韓国はいかなる対抗措置に出るのか。韓国の日本製不買運動はさらに過熱するのか。韓国紙から読み解くと――。

2度の謝罪もムダだった 宅配労組がユニクロ配送拒否

韓国に進出する日本企業にとって衝撃的なニュースが飛び込んできた。朝鮮日報(2019年8月1日付)「日本不買運動の直撃弾? ユニクロ鐘路3街店が閉店手続き」がこう伝える。

「ソウルの中心街のビルで、ユニクロの入居しているフロアが売りに出され、日本製品不買運動の直撃弾を浴びたのではないかとの憶測が流れている。1日、インターネットのあるコミュニティーサイトに、ユニクロ鐘路3街店が入居しているビルの外壁の両端に『賃貸 1、2、3階 207坪』と書かれた懸垂幕が掛かっている写真が投稿された。ビルの1~3階にはユニクロ鐘路3街店が10年前から入居している」
「懸垂幕は、10月末でビルの賃貸契約が満了となるため、ユニクロ側が閉店を決定したと分かった。しかし、ユニクロ側は『不買運動とは関係なく、ビルのオーナー、本社との協議の結果、賃貸契約の延長をせずに閉店することにした』と述べ、不買運動との関係を否定した」

ユニクロが反日運動の標的になっていることは、J-CASTニュース会社ウォッチでも2019年7月24日付「ユニクロ、韓国の日本製不買運動のヤリ玉に 『誠意が足りない!』と二度の謝罪」という記事で報じた。ユニクロの日本本社役員が「日本製品の不買運動は長く続かないだろう」と発言したことが命とりになったのだ。聯合ニュース(2019年8月1日付)は、閉店に追い込まれたとみられる事情をこう伝えている。

「(ユニクロは)2度にわたり謝罪した。だが、韓国消費者の怒りは収まらず、韓国の全国宅配労組の組合員らが記者会見を開き、ユニクロの商品の配送拒否を宣言するなどの事態に発展した」

不動の1位から7位に転落したアサヒビール

さて、これからますます反日運動は激しくなりそうだが、現在、日本製品に与えている影響はどうなっているのか。聯合ニュース(8月1日付)「日本製品の不買運動が異例の長期化 対象範囲も拡大」で、ざっとおさらいすると――。

「日本製品の不買運動が始まってから約1か月になるが、沈静化する兆しを見せずにいる。流通業界や地方自治体にまで拡散して、対象製品もビールや衣料、化粧品、自動車、医薬品など範囲を広めている。最も打撃を受けたのはビールだ。7月の日本ビールの売り上げは、コンビニ大手CUで前年同期比49.0%減、GS25では40.1%減少した」
「GS25によると、500ミリリットル缶で不動の1位だったアサヒビールは、韓国ビールCASSにトップの座を譲り渡し、7位まで順位を下げた。7位だったキリンと同9位だったサッポロは、トップ10から脱落した。スーパー大手のイーマートでも7月の日本ビールの売り上げが前月比62.7%減少し、日本の即席めんは同52.6%減、調味料は同32.9%減となった」

つまり、ビールは5~6割、即席めんは5割以上も落ち込んだというわけだ。影響はユニクロ以外のブランドや、化粧品にまで及んでいる。

「ある百貨店では7月、SK2や資生堂など日本の化粧品ブランドの売り上げが前年同期比約20%、コムデギャルソン、イッセイミヤケなど日本のファッションブランドは同10%以上それぞれ減少した。日本車にも影響が出ている。レクサスを壊すパフォーマンスなどが行われた影響で、契約を取り消したり、日本車を売ったりするケースが出ている」

そして、不買運動は流通業界全体や地方自治体にまで広がっている。

「コンビニ業界は輸入ビールの割引イベントで日本の酒類を対象外にした。ロッテ百貨店はギフトセットから日本製品を除外した。韓国各地の52の自治体でつくる『日本輸出規制共同対応地方政府連合』は、市民の日本製品不買運動や日本旅行自粛を積極的に支持すると表明した。一部の自治体は公務員の日本出張や研修を取り消し、日本製品の購入を中止した」

というありさまだ。

日本人ばかりか、韓国人にまでトバッチリを食う人が出ている。聯合ニュース(8月1日付)「不買運動 日本料理店にも打撃」によるとこうだ。

「実質的に日本と関係のない日本料理店や居酒屋もしわ寄せを受けている。経営者や店員が韓国人で、主に韓国産の食材を使っている店でも、日本の料理や酒を出しているという理由で売り上げ減少などに見舞われている」

日本旅行ボイコット運動で大打撃の航空会社

特に影響を受けているのが旅行業界だ。中央日報(7月31日付)「7月中旬から急減 日本行き航空旅客どれだけ減ったか」は、こう伝えている。

「『日本旅行拒否運動』の拡散とともに航空旅客数も急減したことがわかった。国土交通部が7月31日に明らかにした。7月16~30日の半月間に仁川空港を利用して日本旅行に行った旅客は46万7249人で、夏休みシーズンを控えた1か月前の6月16~30日の53万9660人と比較して13.4%の7万2411人も減少した」

夏休みに入ったというのに、休み前の6月より大幅に減ったというのだ。

「日本旅行拒否運動が長期化する兆しを見せ、航空業界の路線縮小の動きも早まっている。大韓航空は9月3日から釜山~札幌便の運航を中断し、他の日本路線でも投入する航空機を小型機に転換し座席供給を減らすことを検討している。アシアナ航空も9月中旬から仁川発の福岡、関西、那覇便に投入する航空機をこれまでのエアバスから小型機に変更し座席供給を縮小する。エアプサンやティーウェイ航空など格安航空(LCC)は日本路線の供給過剰と旅行客減少などを理由に日本路線の運航を縮小した」

韓国からの旅行者減という思わぬしっぺ返しをくらい、日本政府が大慌てをしているとして、中央日報(8月1日付)「韓国の旅行ボイコットに驚いた日本、中国観光ビザ簡素化へ」は溜飲を下げるかのように伝えている。

「韓国で激しい日本旅行ボイコット運動が持続する中、日本政府も対策準備に忙しい様子だ。韓国旅行客の減少にも『大きな影響はない』という日本は観光市場への打撃が避けられない状況に置かれると、観光ビザ手続きの簡素化で中国人観光客の誘致に力を注いでいる」

じつは、日本の外務省は5月下旬から、中国人を対象にビザのオンライン申請のテスト運用を行っており、7月30日から正式に開始するのは既定路線だ。来年の東京五輪に向けてインバウンドをさらに増やす方策の1つなのだが、中央日報は中国メディアの記事を引用しつつ、面白おかしくこう書いている。

「中国の毎日経済新聞は、日本政府の措置が韓国人の日本旅行ボイコットに関連しているかどうかをめぐりオンラインで論争になったと伝えた。同紙によると、『韓国人が日本旅行をボイコットしたので、中国観光客のことが思い浮かんだのだ。とにかく中国人口は韓国の27倍だからな』と、韓国と関連づける反応もあった」

高校生が日本大使館前で「不買宣言」

不買運動は高校生にも広がっているようだ。聯合ニュース(7月26日付)「『日本製品は使いません』 高校生も不買運動参加」が、抗議の高校生の写真を大きく掲載しながらこう伝えている=写真参照

「高校生たちも不買運動への参加を宣言した。ソウル近郊、京畿道議政府市内の高校など6校の生徒からなる学生連合は、ソウル・日本大使館付近で記者会見を開き、『日本が経済報復を撤回し、謝罪と反省をするまで日本製品を使わない』と表明した。生徒18人は『20年後、30年後に私たちが大人世代になったとき、韓日が親しい隣国同士であることを願う』としながら、両国の未来までも葛藤と対立の場にする安倍首相は考えを改めるべきだと指摘した」

だが、はたして大多数の若者はこうした反日運動をどう考えているのだろうか。中央日報(7月24日付)「韓国若者たち 日本のビールは飲まないが、日本人の友人とは仲良く過ごしている」は、様々な若者にインタビューをして声をすくいあげている。

「ワーキングホリデーで日本のホテルで1年間働いた経験のあるチョさん(26)は『日本ボイコット運動がここまで肌に感じるまでになったのは初めて』とし『政治的イシューに特に関心がなかった人々も不買運動に積極的に参加して、日本が大好きだった友人まで不買宣言をした』と話した。消極的に参加する20~30代も多い。会社員のキムさん(32)は『2次会でよく行った居酒屋に行かなくなったわけではないが、日本ビールを注文しないようになった』とし、『積極的に不買運動に参加するわけではないが、周囲の雰囲気もあるのでユニクロには行けなくなった』と話した」
「大学日本語日本文学科学生のユさん(24)は『校内に日本人留学生がいるが、何の問題もなく仲良く過ごしていて、交換学生数も減っていない』とし『政治的な問題で、友人間では反目し合うことはない』といった。一部の若者層からは不買運動や旅行キャンセルは行き過ぎだという意見も出ている。会社員のチョンさん(34)は『日本政府ではなく、日本人や日本文化そのものに反対する反日感情が大きく進めばどうなるのか。当然、日本も韓国に対して同じような感情を持つ』と話す」

必ずしも大多数の若者が、激しい不買運動に突っ走るわけではなく、かなり「冷静に対応」しているというのだ。

韓国政府は地方自治体の「暴走」を抑え始めたが...

その一方で、地方自治体を中心に、過熱する反日感情がスポーツ界の交流にも水を差している。友好都市間の少年サッカーなどの交流試合だけでなく、国の代表チームクラスにも広がっている。朝鮮日報(7月31日)「日本での国際大会に出るな」は、8月1日から北海道で始まっているカーリング国際大会に、招待されていた2つの女子チームが参加しないことを決めたと報じた。

「カーリングチームを運営する地方自治体が、最近の韓日関係の冷え込みを理由に大会不参加を決めた。しかし、この大会は、ほかの国際大会に出場するためのランキングポイントが付与される大会であるため、『政治的理由でカーリング選手たちの選手生活に被害が及んでいる』との指摘が出ている」

しかも、2チームのうちの1つは昨年の北海道大会の優勝チーム、もう1つは今年の最有力の優勝候補に挙げられていた。

こうした地方自治体の行き過ぎについて、一時は豊臣秀吉の朝鮮侵略を持ち出していた文在寅政権も、ここ数日はむしろ抑える側に回っていた。日本政府が「ホワイト国除外」を決めた8月2日、朴良雨(パク・ヤンウ)文化体育観光部長官はSNSで、スポーツ・文化交流を継続するよう発信したのだ。聯合ニュース(8月2日付)「韓国文化体育相『韓日関係困難でも交流継続を』 SNSで訴え」は、こう伝えている。

「朴良雨・文化体育観光部長官は自身のフェイスブックに『韓日関係が困難な状況だが、われわれの未来世代である若者たちは文化交流を続けている。このような時こそ文化・スポーツ分野の交流がさらに大切だ』と書き込み、7月31日に春川で開かれた青少年文化交流行事を報じた記事をシェアした。広島県から訪れた青少年11人は4日まで春川に滞在し、韓国文化を体験する予定だ」
「また、済州島で開かれる『韓日海峡沿岸市・道・県スポーツ交流大会』に参加する日本の青少年サッカー団も7月31日に済州空港に到着した。サッカー団は2泊3日間済州島に滞在、韓国の青少年サッカー団と親善試合を行う。このほか佐賀県の生徒ら41人は釜山で開かれる『国際青少年芸術祭』に参加するため、2日に釜山港に到着する予定だ...」

せっかく芽生え始めた文在寅政権内の「冷静な対応」に、一気に火をつける結果にならなければよいが......。

(福田和郎)

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