「シェアリング」ビジネスはなぜ成長するのか―― 日本市場が有望なワケを現場から解説

J-CAST会社ウォッチ / 2019年11月7日 11時45分

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自転車シェアリングは街の風景の一つになってきた

「シェアリング」は「サブスクリプション」とともに、デジタル時代の主要ビジネスモデルになるという。「シェア」の概念は昔からあり、それをデジタル時代と結びつけるのは難しそうだが、進化したテクノロジーにより、その幅も範囲も利用者も大幅に拡大し、ますます成長が見込まれる領域なのだ。

現代では様変わりした「シェア」の姿を詳しく解説したのが、本書「いまこそ知りたいシェアリングエコノミー」。なぜ今後の主要ビジネスモデルたり得るかが理解できる一冊。

「いまこそ知りたいシェアリングエコノミー」(長田英知著) ディスカヴァー・トゥエンティワン

将来の主要ビジネスの一つ

シェアリングビジネスの先駆けは、ライドシェアや民泊。前者は米国のウーバーやリフトが、後者ではやはり米国生まれのエアビーアンドビーが知られている。これまでのシェアリングについての本は研究者らによるものだが、著者の長田英知さんはエアビーアンドビー日本法人の執行役員。いわば内側からの見方が述べられており、類書とは違った観点が添えられている。

日本では有償ライドシェアが禁止されており、民泊利用はインバウンドの外国人の間では盛んなようだが日本人向けのプロモーションはあまりみかけない。シェアリングというと、街角で利用できる自動車や自転車のレンタルサービスが目立つ程度で、「デジタルトランスフォーメーション」のなかで生まれてきた本格サービスの一般への浸透度は米国や中国とかなりの差がありそうだ。

だが、5G(第5世代移動通信システム)の実用化、AI(人工知能)などテクノロジーの進化の一方、2025年に「人口の5人に1人が75歳以上となる」など、社会の高齢化がますます進むため、シェアリングエコノミーは将来の主要ビジネスの一つになる見込まれると著者。その割には浸透度がはかばかしくないと感じて本書の刊行になったという。

企業によるシェアリングサービスは、CDやビデオ、DVDのレンタルなどがかつて盛んだったこともあったが、レンタカーが好調なのとは対照的に、ほとんど姿を消した。それは音楽、映像の提供が、オンラインでのシェアリングが主要サービスになったから。時間や手間をかけてショップに行く人はいなくなった。今後、自動運転が実用化され、オンラインで配車が可能になれば、レンタカー業にも影響があるかもしれない。

デジタル時代の新しいシェアは、オンライン上のプラットフォームでのサービスだ。エアビーアンドビーを例にとると、宿泊のための場所を探している人と、その場所を提供し(対価を得)たい人とを仲介するサービスを提供している。オンライン決済、24時間対応カスタマーセンター、相互レビュー、保険による賠償責任など、システムをしっかり整えている。

デジタル時代のシェアビジネスでは、安心と安全を担保する信頼のデザインが欠かせないという。エアビーアンドビーは、約10年の間に、提供する側・受ける側から信頼を勝ち取り、191か国にサービスを拡大。累計で5億人以上の利用者の滞在を実現させている。

個人スキルのシェア

世界ではライドシェア、民泊のほかにもさまざまなシェアリングサービスが行われているが、日本で、有望とみられるサービスの一つが個人スキルのシェアという。クラウドソーシングサービスを含め、すでにいくつかのサービスが稼働中。なかには、クラウドワークスのように、創業3年でマザーズ上場を果たし、7年後に黒字転換を果たした企業もある。クラウドワークスでは、ホームページやアプリ制作、ライターなど場所や時間を選ばずにできる仕事が200以上のカテゴリー別に選べるようになっている。

「スキルの共用サービスが日本で大きく発展している背景には、高齢化社会に伴う社会保障制度の行き詰まりや、企業の従来型の雇用制度の崩壊と働き方改革が大きく影響していると考えられる」と著者。「限られた労働力を共用することで価値を生み出していくことは、これから日本社会が目指すべき、一つの方向性だと思う」と述べている。

「いまこそ知りたいシェアリングエコノミー」
長田英知著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
税別1500円

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