M&Aは中小企業の生き残り&成長の切り札!? 今こそ存続のために経営者が考えるとき

J-CAST会社ウォッチ / 2020年1月21日 18時0分

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日本の企業が関係する企業の合併・買収(M&A)は近年、件数で前の年を上回る状態が続いており、2019年まで3年連続で過去最多を更新している。デジタル時代ならではのICT(情報通信技術)やAI(人工知能)など技術革新に伴うベンチャー投資の増加もさることながら、後継者不足による事業承継案件が増えていることも大きな要因だ。

だが経営者らのあいだではまだ、手塩にかけた事業を他人の手に委ねることに抵抗が根強く、成長が見込めるにもかかわらず一代限りで会社をたたんでしまうケースも少なくないという。本書「M&Aで創業の志をつなぐ 日本の中小企業オーナーが読む本」(日経BP)は、後継者問題に悩む経営者らに向け、10社の実例を示して、M&Aによる事業承継のススメを説いた一冊。

「M&Aで創業の志をつなぐ 日本の中小企業オーナーが読む本」(中村悟著) 日経BP

懸念払しょくのため刊行

著者の中村悟さんは、主に小企業を対象にM&Aの助言・仲介を行う独立系の会社、M&Aキャピタルパートナーズ(東京都千代田区)の代表取締役。大手住宅メーカー勤務などを経て2005年に創業し、数多くのM&A案件を仲介してきた。中村さんによると、M&Aは企業にとって成長の可能性を広げるアクションなのだが、「合併」「買収」というとネガティブな響きがあるためか、「騙されるのではないか」「大事な事業と従業員が切り捨てられるのではないか」という懸念がなおつきまとっている。中村さんは、それらを払しょくするために、初の著作となる本書を刊行したという。

少子高齢化の影響で近年は、経営者の年齢も上がり続けている。本書で引用されている中小企業白書の統計では、1995年に「最も多い経営者の年齢」は47歳だったのに対し、その20年後、2015年の同年齢は66歳。つまりこの間、世代交代がほとんど進んでいないことを示している。経営手法の何もかもが世代や年齢と関係するわけでは、もちろんないが、技術や制度の進化や更新が加速化している現代では、こうした経営者らの企業ではほころびが生じる可能性が高いといえる。

M&Aにより、より先進的な企業のハンドリングに経営を預けることにより、それまではまったく無縁だったITを導入。インターネットやスマートフォンの活用で、それまで見えなかった道が開けることも考えられる。

10社の実例を紹介

経営者の高齢化に加え、後継者不在も深刻だ。60代で53%、70代で42%が「後継者が決まっていない」と回答。後進に道を譲り、事業をより時代に即したものにしたくてもできないのが実情といえる。中村さんは「事業承継でM&Aが常に最善とはいえないが、後継者候補がいないならば、M&Aを含めた第三者承継を検討し、自らがいなくなった後について準備すべき」と述べる。会社を存続させ従業員らに対する責任を果たすという意味でも重要だ。

後継候補がいる経営者のあいだでも、最近では「従業員に雇用の維持」や「事業の成長・発展」を重視し、M&Aを検討する動きもみられるようになっているという。

中小企業庁の試算によると、2025年には6割以上の経営者が70歳を超え、全体の約3分の1にあたる127万社が後継者不在。累計650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる危機に直面するとされる。「M&Aは中小企業経営者にとって事業承継の選択肢のうちの1つであり、譲渡側にとっても譲受側にとってもメリットが多い手法であることから提案活動を続けている」と中村さん。

M&Aキャピタルパートナーズは、2005年に創業ののち、13年に東証マザーズに、14年には東証1部に上場した。いまでは年間140組以上の案件を仲介する。本書ではこれまでかかわった数多くの案件のなかから、同社のサポートでM&Aを決断したという10社の事例を紹介している。事業承継を考えている経営者にとっては参考になる内容だ。

たとえば、石川県羽咋市の鍛造品製造会社、羽咋金属。1968年の創業から50年後の2018年に長年の取引先だった大手ベアリングメーカーの傘下に入った。リーマン・ショックで130億円あった売上高が10分の1まで激減したが、それによる経営危機は乗り越えたものの譲渡を決めた。グローバル化のなか、中小企業単独での成長に限界を感じたためだ。M&Aによりフィールドを広げ、いまではサウジアラビアでの工場建設、中国進出の計画を進めている。

大手企業を相手にしたM&Aだけでなく、株式の譲渡先として投資ファンドを選んだケースも3件紹介している。

「M&Aで創業の志をつなぐ 日本の中小企業オーナーが読む本」
中村悟著
日経BP
税別1500円

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