被害を可視化「痴漢レーダー」アプリに注目 開発者に現状を聞いてみた

J-CASTニュース / 2020年6月23日 20時16分

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小島慶子さんツイートでアプリに注目

元TBSアナウンサーの小島慶子さん(47)が、加害状況を可視化できるとした「痴漢レーダー」アプリをツイッターで紹介し、話題になっている。

痴漢を巡っては、被害者にも問題があるとする意見などが一部であり、現在でも被害を訴えにくい状況があるという。アプリの開発企業に話を聞いた。

助けてもらえなかった経験から、アプリで性加害の可視化を訴え

20年前の高校時代は、東京都内の電車内で痴漢の被害を受け続け、体液をかけられて泣きながら洗う友人もいた――ある女性ライターが2020年6月21日に痴漢の実態を知らない人向けにこんな内容のツイートをすると、小島慶子さんは、リツイートしたうえで、こう反応した。

「そうか、朝夕電車で痴漢に遭うことは全員の現実で、精液かけられたりスカート切られる話も全くまーったく珍しくなかった私たち90年代(おそらくその前後の世代も)の東京の女子高生の日常を、大袈裟な作り話だとしか思わない人もいるのだな。目撃した人は沢山いたはずだよ。だけど見て見ぬ振りでね」

小島さんは、自らも痴漢に遭って助けを求め、周りに大人の男性がいても助けてくれなかったとして、「しーんとしてしらんぷり。その顔一生忘れないわ」とぼやいた。

そして、「いまはこういうアプリもある」として、痴漢レーダーを紹介し、「性加害を可視化しよう」と呼びかけている。

小島さんの最初のツイートは、2万件以上も「いいね」が付いており、反響を集めている。一方で、ツイッター上では、過度に露出した服を着る人が悪い、痴漢冤罪になる方が怖い、といった意見も一部で出た。これに対し、小島さんは、「『いや自分は痴漢なんかしないがその被害者ガー』と書くエネルギーを『どうしたら痴漢被害をなくせるのだろう?』に割いたら世の中はもっとマシになる」「男をみんな痴漢扱いするな!!とお怒りの方はぜひその怒りを私ではなく、痴漢に向けてください」などとつぶやいていた。

「新型コロナ警戒下の電車内でも、向かいの席から盗撮」

小島さんが利用を呼びかけた「痴漢レーダー」は旧称で、現在は「Radar-z」という名前のアプリだ。

2019年5月に安全ピンを使って撃退する方法がネット上で論議になり、文具大手のシヤチハタが特殊なインクを使った迷惑行為防止スタンプを出した。Radar-zは、こうした動きを受けて、IT企業「RadarLab」が開発し、同年8月からサービスを始めた。このほかの痴漢対策アプリには、別のIT企業が開発し、SOSマークを押すと周辺の利用者にメッセージが届く「Don't Worry」などがある。

Radar-zの最大の特徴は、痴漢に遭ったり痴漢を見たりしたときに、通知ボタンを押すと、利用者に注意喚起できることだ。例えば、最近のケースでは、横浜市内のJR港南台駅で「痴漢」を見たとの通知があり、「携帯をむけられいやらしい目付きで撮影された。見ず知らずの通行人」と投稿されていた。「盗撮」「不快行為」などの通知も受け付けている。

アプリを運営するRadarLabは、ヤフー知恵袋の開発者の女性らが2年前に立ち上げた。Radar-z企画担当の片山玲文(れもん)さんもその1人で、最近の特徴について6月23日、J-CASTニュースの取材にこう答えた。

「新型コロナウイルスの影響で、以前より全体の数は減っていますが、空いている電車でも、向かいの席から盗撮するといったケースが目立っていますね。自粛期間でも、露出狂といった街中の被害は相変わらず続いていました。今後は、加害者がストレスを溜めて、痴漢などの被害が増えないか心配しています」

アプリでは、加害者を特定できないなどの限界はあるものの、通知ボタンを押すことで勇気が出たと気持ちの変化を明かす女性もいるそうだ。サービス開始から1年弱で、累計のユニークユーザーが7万人ほどに達したとも明かした。

今でも根強い被害者への風当たりについては、こう話した。

「痴漢については、なぜか『自衛が足りない』『冤罪が心配だ』といった声が出がちです。しかし、薄着の多い夏に被害件数が減っていたという研究者の報告があります。スカートが短いからといった理由は、メディアで作り上げた幻想では。むしろ、制服を規則通り着ていたり、髪を染めていなかったりする子は、従順な証拠だとして狙われやすくなっています。すきがあるから痴漢されるのではなく、弱そうな子がターゲットにされているわけです。日本の恥部だと認識を改めて、痴漢はよくないと考え直すべきだと思っています」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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