コロナの次は「世界最凶」バッタ大群がアフリカからインドに侵入!中国、そして日本は大丈夫か?(1)

J-CAST会社ウォッチ / 2020年7月31日 18時45分

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大飛行する黒色の姿に変貌したサバクトビバッタ(FAOの公式サイトより)

世界中で新型コロナウイルスが猛威をふるっているなか、勝るとも劣らない脅威が東アフリカと南アジアを襲っている。農作物を食い尽くす「世界最凶」といわれる昆虫、サバクトビバッタの大群だ。

古代エジプトの時代からたびたび大発生して人々を苦しめきたバッタだが、現在、大群がアフリカからアラビア半島を通過、イラン、パキスタンを経てインドに達している。行く先々で農作物や牧草を食い荒らすため、通過された国々は食糧危機に陥っている。

ニッセイ基礎研究所の研究員が「蝗害(こうがい=バッタの食害)がコロナに次ぐ新たなリスクに」という調査リポートをまとめた。いったい世界経済にどんな影響を与えるのか、バッタは日本にまでくるのか? J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部は研究員を取材した。

大群が1日150キロを飛行、あらゆる食糧を食べ尽くす

調査をまとめたのは、ニッセイ基礎研究所・経済研究部准主任研究員の斉藤誠さんだ。2020年7月14日に「インドにバッタの大群侵入、蝗害がコロナに続く新たなリスクに」というタイトルのリポートを発表した。

それによると、サバクトビバッタは体長約5センチで、通常は単独で行動する「孤独相」と呼ばれて人類の脅威にはならない。ところが世代交代が早い。3か月ごとに新しい世代となる。繁殖に適した条件(水やエサになる植生)が与えられると、半年で数が400倍に増え、1年後には16万倍までに増殖する場合がある。こうなると、手に負えない大群となる。

大群となったバッタは集団行動する「群生相」と呼ばれる体に変異するのだ。群生相となったバッタは、まるで別の種類の昆虫になったように体色が黒くなり、翅が長くなって遠くまで飛べるようになるなど見た目も変貌する。食欲も旺盛となって繁殖力が勢いを増す。群れは1日に最大 130~150キロメートル以上も飛行し、自身の体重(成虫は約2グラム)に相当する植物を食べる。

米国農務省によると、1平方キロメートルほどの小さな群れ(4000万匹以上)でも、1日に約 3万5000人分の食料と同じ量を食べる。野生の植物だけではなく、あらゆる農作物が食べ尽くされ、その地域の食料問題に壊滅的な影響をもたらす。

コロナと同じ、「第1波」を撃退しても「第2波」が襲来

今回のバッタ騒動は2018年5月と10月にアラビア半島、2019年12月にアフリカ東部をサイクロンが襲うなど、同地域でバッタの繁殖に適した環境が続いたことが爆発的増加のきっかけとなった。

バッタの大量繁殖を未然に防ぐには、発生地域を監視して卵や幼虫の時期から防除することが有効だが、アラビア半島ではイエメンが内戦状態にあり、東アフリカでは予算不足から十分に防除できなかったことが手遅れになった。

国連食糧農業機関(FAO)は、2020年1月以降に東アフリカとイエメンで行われた防除活動により推定5000億匹のバッタを駆除し、100万トンの作物を救ったと明らかにしたが、それでも今年、東アフリカで2500万人以上が食糧危機に直面すると予測されている。

インドや隣国パキスタンには2019 年5月、西部からサバクトビバッタの大群が侵入した。パキスタンでは、作物被害が1年間で最大 2.4 兆パキスタン・ルピー(主要穀物の75%に相当)もの損失が発生すると予測されている。インド政府がバッタとの戦いに打ち勝つことができるかが勝負のカギを握る。

インドでは今年3月に駆除に成功し、一たん落ち着きを取り戻したかに見えたが、4月にはイラン南部とパキスタン南西部で繁殖したバッタの大群が再び侵入した。コロナウイルスの「第2波」のようなものだ。6月には西部、中部の5州に広がり、首都デリー郊外の衛星都市グルグラムにもバッタの群れが侵入、高層マンションに大量のバッタが張り付く様子が世界に報道された。7月には一部の群れがインド西部から東や北へ移動しネパールに達したという。

幸い、インドの場合、バッタの「第2波」が侵入した今年4月にはすでに農作物の収穫が進んでいたことから致命的な被害には至らなかった。しかし、問題は雨季作(6~10月)だ。7月に孵化した幼虫が8月中旬には成虫となって群れが形成される。またインド気象局によると、今年の南西モンスーンによる降雨量は平年並みと予測され、作物が良く育つ一方、バッタの繁殖環境も良くなるのだ。

サバクトビバッタが大発生した場合の大群の活動範囲は、最大で約2900万平方キロメール(地球の地表面の20%以上)に達するという。だから、インドで制圧しないと、インドの食糧事情や経済が壊滅的な打撃を受けるばかりか、周辺諸国に被害がさらに広がる恐れがあるというわけだ。

(福田和郎)

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