世界中で嘲笑?! メディアに「眉つばモノ」「押し売り」と評された「イソジン吉村」知事の残念すぎる海外デビュー(井津川倫子)

J-CAST会社ウォッチ / 2020年8月7日 7時0分

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残念すぎる!? 大阪府の吉村洋文知事の海外デビュー(2019年撮影)

「うそみたいな本当の話をさせていただきたい」――。大阪府の吉村洋文知事が突然開いた記者会見で、ポビドンヨードを使ったうがい薬で「コロナの陽性者が減っていく」という驚きの研究結果を発表しました。

あまりの反響の大きさに、翌日あわてて「うがい薬は予防薬でも治療薬でもない」と釈明しましたが、すでに後の祭り。うがい薬は買い占められ、ネットでは高値で「転売」の大混乱。国内では「イソジン吉村」がすっかり定着したようですが、果たして、海外メディアの「吉村評」はどうだったのでしょうか?

米通信社は「そんなうまい話、あるわけないだろう!?」

それにしても、今回の「イソジン騒動」は、「まさか、こんなことが?」という驚きの連続でした。最初は「まさか、うがい薬がコロナに効くなんて!」という疑問に近い驚き。次に、「まさか、うがい薬を買い占める人たちがいるなんて!」。さらに、「まさか、速攻で『コロナに効くとは言っていない』と否定するなんて!」と。メディアの評価や判断も二転三転とめまぐるしい展開でしたが、海外メディアは一貫して批判的なトーンで報じていました。

Too Good to Be True? Osaka Says Gargling Formula Can Beat Virus
(話がうますぎる? 大阪府は、うがいがコロナウイルスをやっつける処方薬だと発表した:ブルームバーグ通信)
gargling:うがい

真っ先に報じたのが、米国のブルームバーグ通信でした。この記事、何と言っても「Too Good to Be True?」という見出しが秀逸です。直訳すると「good」すぎて「本当かどうか疑わしい」という意味ですが、「できすぎた話」「眉つばモノ」とも訳されます。

「そんなうまい話があるのか?(あるわけないだろう)」といったところでしょうか。

記事では「眉つばモノ」とする根拠として、「たった41人という限られた実験データに基づいた見解」にすぎず、「広範囲でランダムに実験したデータに基づいて判断する」という「the gold standard (黄金ルール)」を欠いたものだと批判しています。

よりストレートに、政治家の介入を批判したのが米紙ワシントンポストです。AP通信が発した記事を引用して、次のように述べています。

Japan governor touts gargling product for virus.
(日本の政治家が、コロナウイルス対策としてうがい薬を押し売りしている:米ワシントンポスト紙)
tout:押し売りする、しつこく売り込む

「tout」「うるさく勧誘する」という動詞で、「ダフ屋をやる」とか「転売する」という意味もあるそうです。

記事では「日本の政治家が、コロナ対策にうがい薬を『押し売り』して疑わしいという批判を招いている」と伝えています。政治家が、特に医療に関わる分野で特定の商品(や薬)の使用を推奨することの違和感をハッキリと伝えていて、その危険さを想定させる内容です。

「イソジン騒動」をめぐる報道では、玉石混合の内容が飛び交った日本国内と比べて、終始一貫して批判的なトーンで報じた海外メディアとの違いが印象的でした。

「レモネード」「ガソリン」に並ぶ世界の「トンデモ」ネタ入り?

今回の「イソジン騒動」は、コロナ禍がどんどん拡大するなかで、「何か処方薬はないのか」という切実な思いや不安を反映していると思います。ブルームバーグは、「パンデミックの拡大を抑える方法を見つけたいという『焦り』が、有効なデータが示されないままに世界中で歓迎されてきた」として、トランプ米大統領が推奨した「抗マラリア剤」や安倍晋三首相の「アビガン」を例としてあげています。

じつは、世界を見回すと、「レモネードでコロナは治る」としたジンバブエの大統領や、「マスクをガソリンで消毒すると良い」と主張するフィリピンのドゥテルテ大統領など、「とんでもない」コロナ対応策を推奨する首長たちが存在しています。

そんななか、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が、新型コロナウイルスについて「特効薬は現時点でなく、今後も存在しない可能性がある」と述べて、世界中に失望が広がりました。

WHO warns there may never be a 'silver bullet' for COVID-19
(WHOは、新型コロナウイルスの特効薬は今後も存在しない可能性があると警告した: ABC News)
silver bullet:問題を解決するための確実な方法、特効薬

「silver bullet」は直訳すると「銀の弾丸」です。「銀の弾丸」は、西洋の信仰で狼男や悪魔などを撃退できるとされていて、ある種「お守り」のような意味合いがあるようです。WHOの見解では、一発で悪魔を仕留める「特効薬」は残念ながらコロナ対策には存在しないとのこと。それにしても「今後も存在しないかもしれない」とは、この先、光が見えない日々が続くのでしょうか?

人類の英知を結集して、一日も早く「silver bullet」を見つけてほしいと願うのみです。

それでは、「今週のニュースな英語」は、ブルームバーグの見出しから「Too good to be true」を取り上げます。類似表現も合わせて覚えておくと便利です。

It's too good to be true
(話がうますぎるな)

It sounds too good to be true
(話がうますぎるように聞こえるよ)

That offer sounds too good to be true
(話がうますぎて信じがたい提案だ)

実際、「本当」だったことが判明した時は......。

It's almost too good to be true, but it is true
(話がうますぎるように聞こえたが、実際、本当だった)

「イソジン事件」も、「実際は本当だった(効き目があった)」となって欲しいと思うものの、海外の報道を見る限り「眉つばモノ」扱いです。これまであまり海外メディアで話題にされなかった吉村知事ですが、「レモネード」や「ガソリン」といった「世界トンデモ」ネタと同等に扱われたとすれば、あまりにも残念な海外デビューではないでしょうか。(井津川倫子)

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