ニトリが狙う「お値段以上」買収案件 島忠めぐるDCMとの争奪戦の行方

J-CASTニュース / 2020年11月5日 6時0分

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島忠の公式サイトより

家具・日用品大手のニトリホールディングス(HD)が、ホームセンター大手の島忠の買収に乗り出し、2020年10月29日付で株式の公開買い付け(TOB)を提案した。島忠には、同業のDCM・HDが完全子会社化を目指してTOBを実施中で、ニトリがこれに割り込んでの争奪戦に発展した。

DCMは10月5日から11月16日まで、島忠の賛同を得て1株4200円でTOBを実施している。これに対し、ニトリはDCMより3割高い1株5500円を提示した。ニトリの提案を受け、島忠は「慎重に検討して改めて当社の見解を公表する」と発表、特別委員会を開いて提案に賛同するか判断する見通しだ。ニトリは島忠の賛同が得られなくてもTOBを始めるとしており、島忠がニトリの提案を拒否すれば、敵対的買収に発展する。

それぞれの組み合わせの相性や効果は?

ニトリの買い付け総額は約2143億円となり、買い付けの下限は50%に設定した。ニトリはTOB発表会見で、友好的なTOBであることを強調。会員約4000万人というニトリの顧客基盤の活用のほか、プライベートブランド(PB)の共同開発などを検討する考えを示した。白井俊之・HD社長は「経営体制は取締役の派遣も選択肢にあるが、島忠との協議で決定する。従業員の雇用形態も変えない」と述べ、島忠の商号を変更する予定もないとした。

それぞれの組み合わせの相性や効果はどうだろうか。

DCMはホームセンター業界で僅差の2位、島忠は7位で、統合すれば年商は6000億円に近づき、1位に踊り出る。島忠が首都圏、関東圏を中心に約60店を擁するのに対し、DCMは首都圏の足場が弱く、地域補完のメリットが指摘される。

ニトリは割安感、値ごろ感を武器に2020年2月期まで33期連続増収増益と好調。全国約560店を展開し、直近の売上高6461億円で家具小売業界1位。ただ、純粋に家具だけの小売り業はなく、ニトリも売り上げの6割は日用品やインテリア関連商品が占め、逆に島忠はホームセンターとはいえ家具に強みがあり、ニトリは相乗効果が見込めるだろう。また、ニトリは郊外型の店舗が多く、出店余地の限られる大都市圏の都心型店舗が多い島忠を手中に収めれば新たな収益の拠点になると見られる。

どうなる島忠経営陣の判断

実は、島忠は、ニトリのキャッチコピーを借りて言えば「お値段以上」の割安案件とされる。DCMの買収価格(1株4200円)は最大1636億円。直近の株価に4割超上乗せしたが、島忠の純資産は8月末時点で1815億円あり、DCMが計画通り買収した場合、「負の暖簾(のれん)代」が200億円近く発生する計算になる。島忠は旧村上ファンド系の「もの言う株主」であるシティインデックスイレブンスが発行済み株式の約8%、英投資ファンドのシルチェスター・インターナショナル・インベスターズが約5%を保有しており、シティインデックスイレブンスは「買い手候補を広く募るべきだ」と批判してきた経緯もあり、ニトリが名乗りを上げたことを評価している。

他方、ニトリの買収金額は最大で約2100億円だが、手元資金が2300億円あり、財務的な余裕はある。

今後の展開では、まず島忠がニトリの提案にどう答えるかが注目点だ。経営者は株主への義務として最適な売却先を選ぶ必要があり、仮にDCMのTOBへの賛同を維持し、ニトリの提案に反対する場合は、合理的な説明が求められる。

その際、DCMのTOB価格を引き上げるかも焦点だ。株主は基本的に高額で買い取る先に売るだろうから、1株4200円のままで勝ち目はない。価格引き上げ合戦になった場合の「体力勝負」という点でも、現状ではニトリが有利といえそうだ。

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