勝ち組と負け組の格差拡大を止めるには!? 「自分でしかできないなにかを身につける」【2021年を占う】(小田切尚登)

J-CAST会社ウォッチ / 2021年1月10日 16時45分

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勝ち組と負け組の格差拡大を止めるには?

新型コロナウイルスに明け暮れた2020年が終わった。これほどまでに経済が大きく混乱すると、その時その時を凌ぐことに精一杯になってしまい、先を見通すことを疎かになりがちになる。

しかし、大きな岐路を迎えた今こそ、将来について真剣に考えていくべき時であろう。コロナ禍が経済面で我々に突き付けた最大の問題は、「勝ち組」と「負け組」の格差が広がってしまったことだ。

勝ち組の代表選手はIT業界

勝ち組の代表選手はIT業界である。人々がネットに頼るようになったため、アップルやアマゾンをはじめ、IT企業の多くは我が世の春を謳歌している。コロナによってITの力が再認識され、それがIT化のスピートを早めることにつながった。今後IT化がさらに進んでいくことは間違いない。

2020年の各業種の業績を見てみると、ホームセンターやドラッグストアなどの業種は自宅重視、健康重視の波に乗って好調だった。またブランド力が強い、いくつかの小売企業(マクドナルド、コストコなど)も良かった。

これには消費者がコロナ禍で、冒険せず少数の信頼するブランド店でまとめて買い物をするようになったことが影響している。

対照的に苦しいのは旅行やホテル、飲食、エンタメ、趣味やスポーツ、衣料品などの分野だ。その中でもよく見ると濃淡があって、たとえば衣料品や服飾品でも、LVMHやエルメスなどの高級ブランドのいくつかは富裕層の購買力が戻って絶好調である。

つまり、企業がどういう戦略をとるかで状況を打破できる可能性があるということだ。

一方、労働者間での格差拡大が起きている。いわゆる頭脳労働者はITを使って遠隔で仕事を比較的やりやすい環境にあるが、介護、販売、美容・理容、料理などの仕事は、主に人に直接サービスを提供する種類の仕事なので、IT化には限度がある。

そういう業務は一般的に賃金が低めであることも手伝って、新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの人が厳しい状況に置かれるようになってしまった。

英エコノミスト誌は2020年12月19日号で、次のように述べている。

「米国では年収10万ドル以上の仕事の60%は家でできるが、4万ドル以下の仕事のうち家でできるのは10%に過ぎない」

肉体労働や心を使う仕事が軽視される時代

男女間の格差も拡大している。女性は伝統的にサービス産業の対人関係の部分の多くを請け負ってきたが、コロナ禍でその分野の雇用がしぼんでしまった。このところ女性の失業率が特に上昇してしまい、大きな問題となっている。

業種間の格差と男女間の格差とは密接に関連している。

残念ながら今後コロナが収束しても格差が拡大していく流れは続いていくだろう。理由は単純だ。IT化により、知的労働の生産性がどんどん上がっていくのに対して、対人関係を中心とする仕事の効率改善には限界があるからだ。

100年前の美容師と今の美容師とでやっている仕事の内容は大差がない(誤解のないよう書き加えると、技術やセンスなどは年々向上していると思うが、ITの活用は進んでいない、という意味)。

デイビッド・グッドハートは近著「Head, Hand, Heart(頭、手、心)」の中で、現代は頭脳労働が非常に高く評価され、肉体労働や心(ハート)を使う仕事が軽視される時代である、と述べている。その傾向は、AI(人口知能)の本格的な導入によってますます強まっていくだろう。

いずれホワイトカラーの仕事の多くもAIに取って代わられることになり、人間に残されるのはAIに指示するような仕事か、さもなくば定型化に向かないもの、たとえばアートや音楽といったある種のパーソナルなサービスといったものに限定されてくるのかもしれない。

そこまで行くのにはまだまだ時間がかかるであろうが、我々は個人としては「自分にしかできない何か」を身に着けていくことが、今まで以上に大事になっていくことは間違いない。(小田切尚登)

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