コロナ禍の2020年 企業倒産は意外にも記録的低水準、そのワケは?

J-CAST会社ウォッチ / 2021年1月17日 17時45分

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経営の重荷になったコロナ禍だが……

2020年の企業の倒産件数は8000件の大台を下回るなど、意外なことに記録的な低水準だったことがわかった。

企業信用情報の帝国データバンクによると前年(8354件)比6.5%減の7809件。東京商工リサーチも、前年(8383件)比7.2%減の7773件と、両社とも2年ぶりに前年を下回った。いずれも、2021年1月13日の発表。東京商工リサーチによると、8000件を下回るのは1990年(6468件)以来30年ぶり。記録的低水準のワケは......。

宿泊業は前年比76%増加

帝国データバンクによると、2020年の負債総額は1兆1810億5600万円。最少だった前年(1兆4135億8500万円)から16.4%減とさらに下回り、2000年以降では2番目の低水準だった。

東京商工リサーチのまとめでは、2020年の負債総額は1兆2200億円。前年(1兆4232億3800万円)と比べて14.2%減となり、この50年間でみると1971年(7125億5440万円)に次いで4番目の低水準だった。

トータルの倒産件数、負債総額では記録的な低水準だった2020年だが、産業別・業種別などでデータをみると、コロナ禍の影響が及んでいることがわかる。

コロナ禍で続いている消費低迷の影響を、最も影響を受けているのは飲食業や観光・宿泊業。帝国データバンクによると、飲食店の2020年の倒産件数は前年比6.6%増の780件で過去最多。また宿泊業は127件で、前年比76.4%増と大幅に増えた。東京商工リサーチのまとめでは、飲食業の倒産は前年比5.4%増の842件。宿泊業は同57%増の118件。いずれも、飲食店と宿泊業の倒産件数が突出していた。

資金繰り支援策が奏功

いまだ感染拡大が止まず、企業経営の影響が懸念されるなか、倒産件数を抑え込めたのはなぜか――。それは政府や公的機関が支援体制を整え、また金融機関の資金繰り支援策が奏功したことが大きな要因。金融機関は実質無利子・無担保で、融資などを実行した。

帝国データバンクによると、日本銀行の「貸出・預金動向」の速報から、2020年12月時点の銀行・信金の貸出平残(日々の残高合計を対象期間内の日数で除したもの)は、前年同月比6.2%増の577兆6393億円と過去最高で、金額ベースでは34兆円近く増加している。

また、「貸出金、劣後ローンなどの資本性資金、2021年1月11日までに経済産業省により約402万件実行(給付額5兆3000億円)された持続化給付金など、国をあげた支援策が、総じて多くの企業の資金繰りを支え倒産の歯止めとして奏功した」とみている。

観光・宿泊産業、飲食業にとっては、支援策である「Go To キャンペーン」が一定の需要を喚起したが、感染の再拡大で中断。各種資金繰り支援策が追い付かなかった。

政府は2020年12月、新型コロナウイルスの感染拡大防止やポストコロナに向けた経済構造の転換を目的に、事業規模73兆円にのぼる追加経済対策を閣議決定。また、中小企業向けに業態変更や事業再構築を促す補助事業など新たな支援策を用意している。

しかし、2020年11月の就業者数が8か月連続で前年同月比減少(総務省の労働力調査)したことや、企業の3割超で冬季賞与が減少した調査結果などを合わせ、帝国データバンクでは、個人消費の下振れ懸念を指摘。こうしたことによる企業業績が落ち込み、各種支援策が追い付かないケースなどが考えられ、倒産が増加局面に移る可能性は否定できないという。

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