人体にやさしい「イオンレス」次亜塩素酸水を開発 噴霧に最適、医療機関で導入進む

J-CAST会社ウォッチ / 2021年2月4日 16時45分

写真

オンライン会見であいさつするニプロの佐野嘉彦社長

新型コロナウイルスの感染拡大で、ますます求められている消毒の励行。そのツールの一つである次亜塩素酸水で、噴霧などに使っても人にも環境にも優しい製品、「イオンレス」次亜塩素酸水の「シーエルファイン」を医療機器、医薬品大手のニプロ株式会社(大阪市)が開発した。

従来品に比べて、不純物が少なく長期保存にも適しており、すでに全国1000か所以上の医療機関で導入されているという。

「イオンレス」 従来品との違いを明確化

2020年9月に、医療機関向けに販売を開始。改めて商品の安全性などを啓蒙するため、佐野嘉彦社長らが2021年1月29日にオンラインで記者会見を開き、専門家を交えて、この「新しい次亜塩素酸水」の独自技術や製法について説明した。

ニプロは、「シーエルファイン」の製品化にあたって、従来の次亜塩素酸水との違いがわかりやすく、ひと目で識別できるように製品名のほか、イオンをほとんど含まないことを表す「イオンレス」というワードを使った。

次亜塩素酸水は電解水であり、生成の過程でイオンを含有するが、イオンを含む次亜塩素酸水は変質しやすく物質として不安定なことがある。

会見の席に並んだニプロ執行役員で埼玉研究所の川村尚久所長によると、次亜塩素酸水の不安定な性質を改善するためにイオンを少なくすることが必要で、「3室型電解水生成装置を活用した逆浸透膜ろ過法」という方法で「イオンレス」を実現した。

「シーエルファイン」は不純物量も少ない。イオンや不純物の低減化によって、川村所長は「主に3つのメリットを実現した」と説明する。

「一つは、消毒に必要な『有効塩素濃度』の低下が抑えられ、長期保存が可能になったこと。二つ目は、金属腐食作用が水道水以下になるほど低下したこと。三つ目は、塩素濃度の低下抑制、金属腐食作用の低下で、これまでのイオンが多い次亜塩素酸水より空間噴霧に適した素材を得られたことです」

それにより、それぞれの医療施設の使用環境、たとえば広さや換気の状況、患者がいる場合と予防的に噴霧するケースなどでも、次亜塩素酸水の空間濃度(空間塩素濃度)を安定化させることが可能になったという。

水道水のトリハロメタンなどの基準もクリア。佐野社長は、「こうした特性を生かして、空間噴霧や口腔衛生に貢献できる方法を提案したい」意向を表明。世界中がコロナ禍に見舞われており、グローバルな市場が考えられ、とくに宗教上の理由からアルコール消毒を使用できないイスラム圏では、次亜塩素酸水がアルコールに代わる消毒手段として受け入れられるのではないかとみている。

次亜塩素酸水と酸性化次亜水とは別もの

一方、次亜塩素酸水の噴霧をめぐっては、新型コロナウイルスの感染拡大で消毒方法として注目された際に、安全性について懸念されたことがあった。しかし、それは次亜塩素酸ナトリウムを用いた酸性化次亜塩素酸ナトリウム希釈水(酸性化次亜水)のことで、世界保健機関(WHO)の見解などによると、次亜塩素酸水はこれには当たらないとされた。

参考リンク:新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)

会見に同席した機能水研究振興財団の堀田國元理事長によると、次亜塩素酸水は電解水生成装置で作られ、除菌や食品添加物としても使われるが、新型コロナウイルスの感染拡大で、次亜塩素酸ナトリウムに塩酸などを加えて希釈した酸性化次亜水が流通したことで混同され、「本来の次亜塩素酸水が誤解されているという状況がある」と説明した。

酸性化次亜水には金属腐食作用があり、人体に悪影響を及ぼしかねないにもかかわらず、濃度規制などがない。一方、次亜塩素酸水はさまざまな試験を重ねて「人の健康を害する怖れがない」と判定されている。 川村所長は、

「シーエルファインは第三者機関を通じて、その殺菌料としての食品添加物に認定される基準を上回る安全性検証を積んでおり、毒性学的に異常のない結果を確認している」

と、その安全性を強調した。

ニプロは、医療機関や介護施設ばかりではなく、今後は用途の広がりが見込めることから、「市場規模も現在考えている規模をはるかに越えたものになると考えています」という。生産量を、月10万リットルから100万リットルに引き上げ、2021年3月期の売上高で12億円を目指している。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング