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西村大臣の発言を「金融」を学んでいる学生はどう見たのか!?【馬医金満のマネー通信】

J-CAST会社ウォッチ / 2021年7月17日 11時45分

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「西村発言」に金融機関も激怒したというけれど……

みなさん、こんにちは。馬医金満です。

コロナ禍のなか、東京五輪・パラリンピックが2021年7月23日に開幕する一方で、東京都を含む1都3県に4度目の緊急事態宣言が発令されました。飲食店はまたも厳しい事態に追い込まれます。酒類の提供を続ける飲食店に、政府はあれこれとプレッシャーをかけようとしました。

そんな「悪代官」、西村康稔経済再生担当相の発言を、金融業界について勉強している人の観点で見てみました。

金融機関の「働きかけ」は独禁法違反!

西村康稔経済再生担当相は7月8日、新型コロナウイルスの感施防止策の一環として、酒類の提供停止に応じない飲食店に対して取引金融機関から順守を働きかけてもらうように求める方針を明らかにしました。

ただ、この方針は飲食店に「脅し」とも受け取られかねません。金融機関が融資の打ち切りをチラつかせ、休業要請に応じない飲食店を従わせるよう政府から求められたように映ってしまったため、大きな批判を浴びることになりました。政府は翌日に、この方針を撤回しています。

今回はこの政策の良し悪しや効力の見込みなどを議論せず、金融機関の持つ「優越的地位の濫用」という概念について考えてみようと思います。

「優越的地位の濫用」は金融業界の用語ではありません。私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)の第19条(不公正な取引方法の禁止)及び一般指定第14号(優越的地位の濫用)に含まれています。

もう少しかみ砕いていうと、自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、通常の商習慣の範疇を超えた要請を行うことをいいます。

金融機関の優越的地位の濫用に限れば、公正取引委員会が2001年7月発表した「金融機関と企業の取引慣行に関する調査報告書」の中で、金融機関における独占禁止法違反例は、融資に関する不利益な取引条件の設定・変更、自己の提供する金融商品・サービスの購入要請、関連会社などの取引の強要、競争者との取引の制限、融資先企業の事業活動への関与等が抵触すると、定められています。

つまり、今回の西村大臣の「金融機関からの『働きかけ』」発言は、この独禁法の優越的地位の濫用という観点から、違法なのではないかといえるのではないかと感じているのです。

金融機関はかえって仕事しづらくなった?

一方、金融機関としては、貸したお金は返してもらわなければなりません。返してもらえなくなれば、不良債権となって貸し倒れが発生します。1990年代後半~2000年代初めの金融危機の時代。多くの金融機関がこの不良債権の処理に苦しみました。潰れないと言われていた銀行が経営破たん。「銀行神話」が崩壊したのです。

現実問題として、コロナ禍で経営が行き詰まり、経営破たんした企業はジワジワと増えています。「コロナ倒産」です。こういった企業に貸したお金は、その多くが返ってきません。

倒産したくない企業は、金融機関に追加融資をお願いしたり、返済を待ってもらったりします。もちろん、倒産したら金融機関にとっても大打撃ですから、そうならないようになんとか支えようとします。西村発言に金融機関が「激怒」したことが報じられているのは、そのためと考えられます。

とはいえ、半面、債権(貸したお金)の取り立ても厳しくなります。自分たちが生き残るため、経営の厳しい飲食店などから資金を引き揚げたり、貸し渋ったり。そんなことが起こる可能性が出てくるのです。TVドラマ「半沢直樹」にもありました、「銀行は雨の日に傘を取り上げる......」というシーンです。

そうです。政府の「要請」があろうとなかろうと、経営が厳しくなった企業にプレッシャーをかけるのが金融機関なのです。コロナ禍は変異ウイルスが猛威を振るって、いまだ経済の見通しが立ちません。西村大臣があのようなことを言わなくても、おそらくは金融機関が自分自身の生き残りのために「プレッシャー」をかけることは、そう遠くないかもしれません。

では、また!(馬医金満)

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