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テレワークに思わぬ「落とし穴」! コロナ禍後も継続する企業は1割?【テレワークに役立つ一冊】

J-CAST会社ウォッチ / 2021年11月8日 11時45分

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テレワークには「落とし穴」がある!?(写真はイメージ)

11月は総務省の「テレワーク月間」。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、一気にテレワークが浸透したが、新規感染者の減少とともに再び職場に通勤する人が増えてきた。しかし、テレワークの大きな流れは止まらないと見られる。今月は、テレワークや電話、コミュニケーションに関連する本を紹介しよう。

本書「テレワークの『落とし穴』とその対策」は、テレワークを導入した結果、会社・上司と社員がそれぞれはまる「落とし穴」とその対策をまとめた本だ。

テレワークを推奨する本かと思ったら、意外と厳しい見方をしており、新型コロナウイルスの終息後もテレワークを継続する企業は全体の1割という専門家の予測を紹介している。一方、厚労省、総務省などのテレワーク導入の手引きも多数掲載しているので、導入を考えている企業にはガイドブックとして利用できるだろう。

「テレワークの『落とし穴』とその対策」(小林剛著)大空書房

米国ではテレワークを疑問視する企業も

著者の小林剛さんは元毎日新聞記者。大阪、東京の経済部、週刊「エコノミスト」編集部などで勤務。現在はライター。本書はほぼネットに公表された情報をもとに書いているというから、本書自体もテレワークの賜物と言えよう。

第1章がいきなり、テレワークに水をかけるようなタイトルだ。「米IBM、米ヤフーは在宅勤務を廃止していた」。米国ではテレワークを疑問視する企業があるというのだ。導入後に会社の業績が悪化したりすれば、逆戻りすることもある。テレワークのパイオニア的存在だった両社で何かあったのか?

米IBMのリモートワーク(テレワークと同じ意味)は数十年続いており、従業員の40%以上が会社の外で働いていたと自慢していたほどだ。ところが2017年5月、突然、米国内の数千人のIBMリモートワーカーに対し、「自宅の仕事スペースを放棄して地域のオフィスに移るか、さもなければ会社を辞めてもらいたい」と迫ったのだ。

会社で、対面で仕事をしたほうが協働の効果を得やすいという説明だったが、当時、業績が悪化していたので、「密かなレイオフ」という見方もあった。今回の新型コロナ感染拡大で、社員に家にとどまるよう要請しているが、過去の在宅勤務プログラムを復活させたわけではないという。

米ヤフーの在宅勤務禁止令は、2013年2月のことだ。6月までに転居してでもオフィスに出勤できるようにせよという厳しいもので、社員は反発、メディアからも批判された。「集団になったほうがイノベーティブになる」と会社は説明したが、業績は完全には回復せず、2017年6月、中核事業を米大手通信会社、ベライゾンに売却、社名もアルタバに変更した。在宅勤務禁止が効果をもたらしたとは言えない結果に終わった。

小林さんは、日立製作所や富士通など日本の大企業がテレワークを継続する動きを紹介し、「週2~3日は在宅」という日立の選択には、「在宅勤務のメリットは捨てがたいので導入するものの、どうしても生じるデメリットは、オフィスでの勤務で解消しよう」という狙いがあるのでは、と推測している。

米調査、在宅勤務者の3人に1人が仕事中に飲酒

以降の章でそのデメリットを挙げている。まず、上司・会社の立場から。社員がサボる=勤怠管理が難しい、と書き出している。アメリカ依存症センターが、2020年3月に実施した調査を紹介、在宅勤務者のうち3人に1人が仕事中にお酒(最も多いのはビール)を飲んでいた。

日本でもTwitterに「断酒します」「昼酒は在宅勤務の特権」などの書き込みがあり、在宅勤務中の飲酒が少なくないことがわかる。

いくつかの監視ツールも紹介しているが、監視よりも成果を見る日立の新人事制度について詳しく解説している。「ジョブディスクリプション」(職務記述書)により、社員の仕事内容を明確化し、それによって賃金評価につなげる。「ジョブ型雇用」への転換だ。

日立は管理職レベルで2013年度からジョブ型への移行を始めた。全世界の管理職5万ポジションをランクづけした。現在、一般社員や新規採用へと広げている段階で、労使交渉での主要テーマになっているという。

このほかに、予想以上に導入にお金がかかること、不十分なセキュリティ対策による情報漏れ、期待どおりに生産性は向上しない、などの問題点とその対策を挙げている。

一方、社員側はどうか。一緒にいる時間が増えることでの夫婦危機、まさかの長時間労働、メンタル危機などの「落とし穴」を挙げている。

自宅にいるのになぜ長時間労働になるのか? 通勤時間がゼロになり、その分を仕事に回すこと、周囲から話しかけられることがなく、作業が中断されずオーバーワークになりやすいなどがその理由だ。始業・終業時間は必ず記録することが大切だ。

コロナ後もテレワークを続けたいというアンケート結果が多いが、専門家は否定的だ。テレワーク研究者で東京工業大学環境・社会理工学院の比嘉邦彦教授のこんな予測を紹介している。

「テレワークは3割弱くらいの企業で実施されているとみられるが、終息後にどのくらい残るかと言うと、私は1割弱くらいだろうと考えている。前々からやっている企業は継続するだろうが、(コロナ騒動で)慌てて導入した企業のうち続けるのは4~5%くらいではないか。個人的には、(実施企業のうち)全体の1割が残れば上出来だと思う」

また、メンバーシップ型雇用に慣れてきた日本では、テレワークの前提となるジョブ型雇用は根付かないという見方もあるようだ。

結論として小林さんは、多くの会社は従来のメンバーシップ型を続けながら、一部をテレワーク化する方向に向かうのではないか、と見ている。コロナの終息後こそが、テレワークの正念場になるかもしれない。(渡辺淳悦)

「テレワークの『落とし穴』とその対策」
小林剛著
大空書房
1100円(税込)

 

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