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ええっ! 最恐「オミクロン株」が株価上昇の追い風になるってホント? エコノミストの分析は...

J-CAST会社ウォッチ / 2021年11月29日 20時15分

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「オミクロン株」が感染拡大しても株価は上昇する?(写真はイメージ)

新型コロナウイルスの最恐変異株、「オミクロン株」の脅威が世界の金融市場を揺さぶっている。2021年11月26日、日米欧など世界の株式市場が軒並み大幅下落した。

パンデミックが再び世界を覆い、経済を凍り付かせるのだろうか――。

ところが、エコノミストたちの分析を見ると、意外にも「株価上昇の追い風になるかもしれない」とみる人が少なくない。いったい、どうして?

米投資家「株式市場にとっては強材料だ」

米国の投資家の間では、今回のオミクロン・ショックをチャンスとみる人が少なくないようだ。

ブルームバーグ(11月29日付)によると、米ヘッジファンド運営会社パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントの創業者で資産家のビル・アックマン氏は11月28日、自らのツイッターにこう投稿した。

「オミクロン株の感染力が他の変異株よりも強かったとしても、軽度から中程度の症状にとどまると分かった場合には、株式市場にとっては強材料だろう」

同氏は投稿で、初期の報告データはオミクロン株感染による症状は軽度から中程度だと示唆していると述べたうえで、

「これが本当なら、市場にとって強気材料であり弱気材料ではない。(ただし)強気材料は株に関してで、債券にとっては弱気材料になる」

と説明したのだった。

ロイター(11月28日付)もオミクロン・ショックによる株価下落をチャンスと受け止める投資家の動きを、こう伝える。

「一部の投資家は、株式を買うチャンスだと受け止めている。急速な相場回復を期待したもので、実際、今年は何度かの下落を経ながらも、過去最高の水準まで上昇してきた。スミード・キャピタル・マネジメントの創設者、ビル・スミード氏は、投資家向けメモで『これまで景気楽観論が打撃を受けたことは何度もあった。それらは、いずれも良い買い場だった』と述べている」

スミード氏が推奨した銘柄の中には、石油・ガス大手オキシデンタル・ペトロリアムと不動産投資信託(REIT)のマセリッチがあり、11月26日はそれぞれ7.2%、5.2%下げた。買い漁るチャンスというわけだ。

原油価格の予想外の下落が「神風」を呼び込んだ

日本ではどう見ているのか。エコノミストの中には、「オミクロン株」の登場が、世界経済の脅威になるどころか、むしろ株価の追い風になるかもしれない、と見る人が少なくない。野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト木内登英氏もその一人だ。「変異株出現でグローバル金融市場のインフレ・利上げモードが一変」(11月29日付)で、こう指摘する。

「『オミクロン株』の出現は、世界の金融市場を大きく動揺させ、そのモードを一変させた。直前までインフレ懸念と米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ(政策金利引き上げ)前倒し観測に金融市場は支配されていた感が強いが、それが一日にして吹き飛んだ感じである。
1987年10月に起こった株価急落、いわゆるブラックマンデーは、世界にくすぶっていたインフレ懸念と主要国での金融引き締め観測を一気に沈静化させたが、それと似た構図である」

と、世界的な大暴落を引き起こした「ブラックマンデー」と比較する。しかし、今回はさほどの大混乱は起こっていない。それは高騰していた原油価格が予想外に下落したためだ。

「市場の動きで非常に注目したいのは、原油価格の急落である。11月26日のWTI原油価格は、1バレル78ドル台から68ドル台まで10ドル程度も一気に下落する劇的な展開となった。変異株(オミクロン株)により経済活動が打撃を受け、原油需要が落ち込むとの見方が強まったためだ。これによって、金融市場のインフレ懸念はかなり抑えられることになった。日本では同時に円高も進んだことから、悪い円安懸念、物価高懸念も後退しただろう」

現在、FRBがインフレを懸念し、いつテーパリング(量的緩和の段階的縮小)を加速させるか、市場は注目していた。しかし今回、図らずもオミクロン株の恐怖によって原油価格が急落した結果、一気にインフレ懸念が遠ざかり、FRBは利上げを急がない可能性が高まったというわけだ。

木内氏はこう続ける。

「オミクロン株の出現を受け、(FRBが利上げに踏み切る)時期は後ずれするとの観測が、今後金融市場では強まる可能性が考えられる。その過程で、長期金利の低下とドル安円高が進むだろう。ちなみに筆者は、FRBの利上げ開始時期は2023年と考えている。
オミクロン株が感染リスクを大きく高める可能性が高まれば、世界的に株価は一段と下落しよう。当面はそうした動きが予想される。しかし、変異株への強い警戒が次第に薄れていく一方、インフレ懸念が従来ほどには高まらない場合には、FRBの利上げ先送り観測が市場に定着し、それが株価に追い風となる可能性も考えられる。
世界的にインフレ懸念が高まり、FRBの利上げが早まる方向となれば、世界的に株価に顕著な下落圧力となる可能性があった。この点から、今回の金融市場の大きな調整は、株価にとってはむしろ安定材料となる『良い調整(good correction)』であった可能性もあるだろう」

ちょうど世界的に株価が下落しそうな時期に、オミクロン・ショックが「神風」のように吹いた。その結果、株価は安定するし、日本経済にとっても「悪い円安」がなくなり、「いいことづくめ」になりそうだというのだ。

「政府の対応がよければ株価上昇も期待できる」

ソニーフィナンシャルグループのシニアエコノミスト渡辺浩志氏も、ヤフーニュースのヤフコメ欄で、オミクロン株が想像以上に感染拡大しなければという条件付きだが、「オミクロン・ショック」が追い風になるかもしれないと指摘する。

「FRBはインフレ長期化への警戒から、量的緩和の縮小加速や利上げ前倒しを検討中。米債券市場では金融政策の影響を受けやすい短期金利が上昇し、金融環境は幾分タイト化しています。もっとも、米金利は依然として低く金融緩和的であるため、米景気の回復と業績主導の株高が続く見込みです。
オミクロン株の感染拡大で世界景気が停滞すれば業績相場の株高は上値が重くなりますが、原油高やインフレ、早期の金融正常化リスクが後退すれば、金融相場的な株高が再び勢い付く可能性があります。
セクター選別は再びシビアになるでしょう。低金利やDXをテーマにハイテク株に資金が流入しやすい半面、行動制限が再び強まれば旅行・外食・レジャー・空運等のサービス産業にはネガティブ。閉じかけていたK字型の二極化相場が再拡大する可能性もあります」

一方、オミクロン株が日本で感染拡大をしても、政府が適切に対応すれば株価には影響を与えないだろう、とみるのは三井住友DSアセットマネジメントの チーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏だ。「新たなコロナ変異株が検出~日本株への影響を考える」(11月26日付)で、「空運業、非鉄金属、鉄鋼などが大きく下落するかもしれないが、昨年の実例で確認されたとおり、政策の対応次第では株価上昇も想定される」として、昨年のコロナの感染者数と日経平均株価の動きを比較した図表を紹介している。

これを見ると、2020年暮れから今年正月にかけて感染が急拡大した時期も含めて、株価は一貫して上昇し続けていることがわかる。市川雅浩氏は、こう述べている。

「昨年の実例から、コロナの感染が拡大しても、緩和的な金融政策、積極的な財政政策、感染抑制対策が打ち出されていれば、株価は上昇することが確認されています。これは、政策対応によって足元で感染が拡大しても、先行きの景気や企業業績は回復するという期待が市場に形成されるためです。そのため、仮に今回、新たな変異株による感染が拡大した場合でも、政策対応次第で株価は上昇することも考えられます」

「今こそチャンス!冷静に下値を拾っては...」

野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏も「あわてる必要はない」という立場だ。「世界的な株価急落と今後の見通し」(11月29日付)で、米ニューヨーク証券取引所のS&P500種株価指数(代表的な500銘柄の株価指数)と世界の新型コロナウイルスの感染者数を比較したグラフを紹介し、感染者数に関係なく一貫して株価が上昇し続けていることを示した。

石黒英之氏はこう述べている。

「11月26日に世界的に株安の動きとなりました。新たな変異株が見つかったことをきっかけに、世界景気が減速するとの見方から、リスク回避姿勢が強まった形です。ただ、新型コロナの懸念からリスクオフの動きが強まる場面はこれまで何度かありましたが、影響は短期的なものに留まってきました。昨年から今年にかけて世界のコロナ新規感染者数が大幅に増加した局面をみても、S&P500種株価指数は上昇トレンドを維持してきました =上図参照。新たな変異株について、 過度に悲観視せず冷静に対応することも重要です」

そして、こうアドバイスするのだった。

「不安心理が高まった場面は冷静に。11月26日現在、米実質金利はマイナス1.1%となっており、リスク資産に資金が向かいやすい地合いであることに変わりはありません。待機資金とみられている米MMF(マネー・マーケット・ファンド)残高は直近で約4.6兆米ドルと高水準に積み上がっています。今回の新たな変異株出現を受けて『恐怖指数』の異名をとる米VIXは11月26日に28.62まで上昇しました。
VIXの水準別の1年後株価上昇確率をみると、25以上で投資した場合、1年後に株価が上昇している確率は2009年以降で100%となっています。不安心理が高まった場面は複数回に分け、冷静に下値を拾うのも一手と考えられます」

株価上昇はサプライチェーン問題がネックに

オミクロン・ショックの今こそチャンスだ、というわけだ。

そもそも、11月26日のニューヨーク証券取引所の大暴落は、必ずしもオミクロン・ショックによるものだけではない、と指摘するのは第一生命経済研究所の主任エコノミスト藤代宏一氏だ。「オミクロン・ショック その他3つの要因も重要」(11月29日付)(で、株価の下落を招いた3つの要素をこう説明する。

(1)ちょうど米国の休日「感謝祭」の時期で、取引市場の参加者が少なく、株価下落圧力を増幅させた可能性がある。

(2)直前にギリギリまで引き上げられていた強気ポジションが巻き戻された可能性がある。米の機関投資家のポジション動向を示すNAAIMインデックス(投資家に強気度と弱気度を聞いて比較した指数)が直前に高止まりしていた。この指数は100を超えると、「やりすぎ」とみられ、過去の経験から一気に巻き戻されて株価が下落するが、ちょうど100で高止まりしていた。

(3)FBRに「テーパリング加速」の動きがあり、最近のFBR高官が揃ってタカ派色を強めているため、引き締めようとする動きが残存し、株価に下落圧力をかけ続けた可能性がある。

というのだ。つまり、3つの偶然が重なったのではないかというわけだ。

しかし、藤代氏は最後にこう指摘し、オミクロン株の感染拡大に警告を発している。

「オミクロン株の感染拡大によって経済活動が落ち込んだ場合、サプライチェーン問題の長期化につながる恐れがあることに注意したい。サプライチェーン問題が表面化する以前ならば、 感染再拡大に対する懸念を、政策期待(緩和長期化)が凌駕することで株価上昇に繋がるとの見方も可能だったが、今やそうした連想は成立しにくくなっている。サプライチェーン問題の長期化に伴うインフレ圧力の増大は、金融政策の予見可能性を低下させ金融市場の波乱要素となる。オミクロン株に対して既存のワクチンと治療薬の有効性が確認されるまで金融市場は波乱含みとなるだろう」

(福田和郎)

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