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損保4社の加入者情報漏えいは250万件、一部は営業活動に使用される…金融庁は監督指針の改正へ

読売新聞 / 2024年8月31日 9時17分

金融行政方針について説明する鈴木金融相(30日、財務省で)

 自動車保険などの加入者情報が保険代理店を通じて他の損害保険会社に漏えいしていた問題で、損保大手4社は30日、金融庁に詳細な件数や再発防止策を盛り込んだ報告書を提出した。漏えいは4社で計約250万件に上り、情報の一部は営業活動に使われていたことも明らかになった。(橋爪新拓、遠藤雅)

徴求命令

 報告したのは、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の4社。いずれも7月に金融庁から、保険業法と個人情報保護法に基づく報告徴求命令を受けた。4社は事実関係とその原因、再発防止策を8月中に報告するよう求められていた。

 損保各社の発表によると、漏えいは東京海上が約420店舗・約96万件、損保ジャパンが440店舗・約99万1000件、三井住友海上が約300店舗・約33万6300件、あいおいが約160店舗・約21万7000件に上った。

大半はメール

 漏えいの大半は、メール送信を通じて発生した。自動車販売店など複数の拠点がある代理店の管理部門は、加入者情報を各拠点にメールで送る。この際、保険の加入先ではない別会社の担当者のメールアドレスも宛先に含めており、加入者の氏名や証券番号が他社に漏えいしていた。

 本来は損保会社ごとに契約者情報を切り分けて送るべきだが、担当者が作業を怠っていた。損保各社は原因について、代理店内では他社と情報共有することも多く、「個人情報保護法における問題はないと誤認していた」「他社情報の共有・取得へのリスク感度が低くなっていた」などと説明した。

 また、代理店に出向中の社員が、他の損保の契約者の情報を持ち出し、自社に流していたことも発覚した。契約の乗り換えに使用されたケースもある。理由について各社は「代理店におけるマーケットシェア(市場占有率)を確認するため」「契約の切り替えを推進するため」などと報告した。

 損保各社は再発防止策として、出向者の選定要件を見直すほか、出向の目的などを明確にすることなどを挙げた。東京海上は、廃止も含めて出向制度を見直す。損保ジャパンは出向者を統括する部門を新たに設置する。金融庁は4社の報告を精査し、行政処分するかどうか慎重に検討する。

生保も調査

 生保業界では、第一生命ホールディングスが今月、傘下の第一生命保険から代理店に出向中の社員が、他の保険会社の契約者情報約7万2000件を自社の子会社に流していたと発表した。

 金融庁は同様の漏えいがないかや、代理店への出向状況など、生保業界の調査にも着手している。結果次第では、生保各社にも損保と同様の報告徴求命令が下る可能性がある。

代理店の監督 強化へ…金融庁 法改正も視野

 損害保険業界で相次いだ不祥事を受け、金融庁は規模の大きい保険代理店に対する監督を強化する。30日、今後1年で重点的に取り組む「金融行政方針」を発表し、監督指針の改正に乗り出す方針を打ち出した。

 大規模代理店の質を第三者が評価する仕組みの導入や、自社商品を優先的に扱ってもらうことにつながる便宜供与の解消に向けた調査を行い、監督指針の改正を進める。大規模代理店の内部管理体制を強化する新規制の導入も検討し、保険業法改正を視野に議論を進める。

 金融行政方針ではこのほか、金融機関のリスク管理体制の監督を強化する方針も示した。「金利のある世界」の本格的な到来を受け、融資先の返済能力の低下や、保有債券の評価損といった影響が懸念されるためだ。金融持ち株会社の監督強化にも力を入れる。

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