３７歳の鈴木孝幸、すずしく静かに連日のメダル喜ぶ「ベストを尽くして取れた『色』」

男子１００メートル自由形で銀メダルを獲得し、プールサイドで笑顔を見せる鈴木孝幸（３０日、パリ郊外で）＝木佐貫冬星撮影

　３０日に行われたパリパラリンピック競泳の男子１００メートル自由形（運動機能障害Ｓ４）決勝で、鈴木孝幸（ゴールドウイン）が１分２１秒７１をマークして今大会２個目のメダルとなる銀メダルを手にした。パラ通算では１２個目のメダル獲得。男子４００メートル自由形（視覚障害Ｓ１１）決勝では富田宇宙（ＥＹ　Ｊａｐａｎ）が４分３２秒３３で銅メダル。女子１００メートル平泳ぎ（運動機能障害ＳＢ８）決勝は宇津木美都（大体大）が５位、福田果音（福岡・小倉西高）が７位に入った。男子１００メートル自由形（運動機能障害Ｓ５）決勝の田中映伍（東洋大）は８位だった。

　前夜に平泳ぎの金メダルを獲得したばかりで連日のレースには疲労も残っていた。それでも、鈴木は「分かった上で取り組んでいる」とすずしい顔。３７歳のベテランは１００メートル自由形でも強かった。

　浮き上がりから後方に位置し、５０メートルの折り返しも４番手。やや抑えたような泳ぎに見えたが、後半は一気にスピードに乗った。全身を使った泳ぎで徐々に上位との差をつめ、ゴール直前で２位に浮上。この種目の連覇は逃したものの、「ベストを尽くして取れた『色』なので」と、静かな口調でメダルへの喜びを語った。

　年齢を重ねて疲労は抜けにくくなり、練習の強度も若い頃と全く同じとはいかない。しかし、「その中でもしっかりと積み重ねてきた」という手応えがある。この日の記録（１分２１秒７１）も自己ベストとほぼ同タイム。自信に満ちた表情が、充実ぶりを示している。（森井智史）