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全盲の35歳富田宇宙、大学生のような練習重ね400m「銅」…ラスト50は全選手最速

読売新聞 / 2024年8月31日 19時53分

男子400メートル自由形で銅メダルを獲得した富田宇宙(30日、パリ郊外で)=木佐貫冬星撮影

 30日に行われたパラリンピックの競泳男子100メートル自由形(運動機能障害S4)決勝で、鈴木孝幸(ゴールドウイン)が1分21秒71をマークして今大会2個目のメダルとなる銀メダルを手にした。パラ通算では12個目のメダル獲得。男子400メートル自由形(視覚障害S11)決勝では富田宇宙(EY Japan)が4分32秒33で銅メダルに輝いた。

 男子400メートル自由形の表彰台に上った富田は右手を高く掲げて大観衆を盛り上げた。「これだけの応援のおかげで力を出せた。それに応えたくて」。初めての有観客のパラリンピックの雰囲気を満喫しつつ、泳ぎでも存在感を見せた。

 自身のレース前には、鈴木が後半に巻き返す泳ぎで銀メダルを獲得。その試合運びに感化された富田は「大舞台ではみんな気持ちが上がって前半から攻めてしまう。こういう展開が鍵になる」と、同じように後半勝負に徹すると決めた。

 前半ははやる気持ちを抑え、4番手の位置で力を温存。後半に入るとギアを上げ、250メートルを過ぎてからペースダウンした中国選手を一気に追い抜いた。2位には届かなかったが、終盤の追い上げで前回大会の銀に続くメダルは死守した。

 16歳で網膜色素変性症が判明し、現在泳ぐのは全盲クラス。35歳で迎えた今大会は、持久力が求められる過酷な400メートル種目の出場は控えるつもりだった。しかし、昨年の世界選手権で自分よりも若い選手たちが躍動する姿に刺激され、「どこまで追いつけるか」と再挑戦を決意。1年前から本格的に練習を再開し、大学生のようなハードな練習にも耐えながらスタミナを再び磨いてきた。

 3位ながら、スタミナ勝負のラスト50メートルは全8選手の中で最速だった。「ここまで泳げるようになるとは。自分の可能性に気づけたし、閉じた殻をもう一回、開けた感じ。頑張るおじさんの姿は見せられたかな」。銅メダルを手に、笑顔がはじけた。(森井智史)

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