サッカー日本代表はなぜこんなに強いのか、解説者・福西崇史が注目する「ギリギリの勝負」ができる理由
読売新聞 / 2024年9月24日 10時0分
サッカー元日本代表でサッカー解説者の福西崇史さんが、読売新聞ポッドキャスト「ピッチサイド 日本サッカーここだけの話」に出演した。収録は2026年にアメリカ、カナダ、メキシコの3か国共催で開催されるワールドカップ(W杯)のアジア最終予選で、日本代表が初戦の中国戦に7―0で大勝した翌日に行われた。番組MCの元日本代表・槙野智章さんと日本代表の戦いを振り返り、「すごくたくましくなったのが第一印象」と手放しで評価した。
アジア予選は「盤石」
最終予選には日本を含め18チームが参加。6チームずつ3組に分かれ、ホーム・アウェー方式で、計10試合を戦う。各組上位2チームがW杯の切符を手にする。さらに、3、4位のチームは2組に分かれてプレーオフを行い、各組上位1チームもW杯への出場権を得る。
W杯本大会の出場チーム数は、2026年の大会から16チーム増え、48チームに拡大する。そのため、アジアの出場枠も4・5から8・5に大きく増える。W杯ベスト8以上を目指す日本にとって、出場権の獲得は「当たり前」という雰囲気が大勢だ。
「8・5になったんだから確率は高くなる。当たり前感は強くなるとは思ってます。ただ、その中に厳しさはある」
福西さんにとって、現役時代に経験したアジア最終予選は「苦しい」思い出が残っている。ジーコジャパンの一員として戦った2006年ドイツ大会のアジア最終予選は、初戦の北朝鮮に大苦戦した。
2005年2月9日、埼玉スタジアム。試合は後半ロスタイムまで1―1。引き分けを覚悟したが、途中出場した大黒将志さんの決勝点で辛くも勝利した。
また、MCの槙野さんが出場した2018年W杯ロシア大会。2016年に行われたアジア最終予選の初戦・アラブ首長国連邦(UAE)戦は1―2で落としている。
福西さんはアジア予選の難しさを認めつつも、「(最終的な)目標は優勝だけど、ベスト8という目標があるわけで、そこに到達するためのアジア予選にしなきゃいけない」とし、今の代表チームにとってアジア予選は「盤石」だと語る。
3バックの安定感
簡単ではないアジア最終予選の初戦だったが、日本は7―0の大勝スタートを切った。
「すごく強くなったというのが第一印象。初戦、しかもホームで期待を背負って『勝って当たり前』って思われてる中でプレーする。緊張もあり、手堅く試合に入るかなって思っていたが、余裕でプレーして、すごくたくましくなった」
プレッシャーのかかる試合で実力が発揮できた。福西さんは「個」と「組織」の両面で高く評価する。
「まず個人がしっかり自信をつけている。個々の海外意識が強く、個人がレベルアップをしている。加えて、森保監督が(チーム内の)競争を積み上げてきて、新たな若い選手も入れながら組織力も上がっている」
中国戦からMF伊東純也(スタッド・ランス)が代表に復帰した。
「めちゃくちゃ武器を手に入れてるということ。攻撃では、スピードで突破して個人で打開ができるのが非常に大きい。守備では、まずピンチを切ってくれるところがかなり大きい。(選手間では)ポジション争いの緩みがなくなるわけで、非常に大きいかなと思います。(サポーターの)期待は大きいのではないか」
そういった7得点の攻撃陣にスポットが当たりがちだが、福西さんは守備陣の安定感に目を見張る。
「3バックの安定感がすごいな。谷口彰悟(シントトロイデン)がうまくカバーしてるから、板倉滉(ボルシアMG)とか町田浩樹(サンジロワーズ)がギリギリの勝負ができる。いいところで取れるから中盤の選手も楽になる。ボランチは特に楽になる」と称賛。
槙野さんも「攻撃陣が注目されがちですけど、攻撃を生かすのも後ろの安定感」と共感した。
プロフィル
福西崇史(ふくにし・たかし)
サッカー解説者。高校を卒業後、Jリーグ加盟2年目のジュビロ磐田に入団。ハンス・オフト監督(当時)にボランチへのコンバートを勧められ、同じ年に入団したブラジル代表キャプテンの「鬼軍曹」ドゥンガとプレー。日本代表ではW杯の日韓大会、ドイツ大会に出場。2022年に早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に進み、翌年大学院を修了した。1976年生まれ。愛媛県出身。
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