国連で「未来のための協定」採択…安保理改革の必要性、AIの国際管理強化など盛り込む
読売新聞 / 2024年9月23日 18時3分
【ニューヨーク=金子靖志】米ニューヨークの国連本部で22日、各国首脳らが地球規模の課題について話し合う「未来サミット」が2日間の日程で開幕した。安全保障理事会の改革の必要性や人工知能(AI)の国際管理強化、核廃絶を目指す方針を盛り込んだ成果文書「未来のための協定」を初日に採択した。
開催を主導した国連のアントニオ・グテレス事務総長は22日の演説で、「歴史的な合意だ。多国間主義への飛躍的な一歩になる」と協定採択を歓迎した。国際社会の課題解決に向けた指針になるとして各国に協力を呼びかけた。
協定では安保理を巡り、首脳レベルで初めて、理事国枠の拡大や常任理事国に認められている拒否権などについて「緊急の改革が必要」と提起された。
安保理ではウクライナ侵略やパレスチナ自治区ガザの戦闘を巡り、常任理事国1か国の反対で一致した対応をとれず、機能不全が指摘されていた。しかし、拒否権を制限するなどの改革を実現するには米英仏露中の常任理事国全ての承認が必要となる。常任理事国には影響力低下への懸念があり、実現は見通せない。
AIについては、AIのリスクなどを分析・提言する専門家で構成する「国際科学パネル」を国連内に設置し、途上国への技術支援を行うと明記した。安全保障に関しては、「核戦争が人類全体に壊滅的な影響をもたらす」と警鐘を鳴らし、「核兵器のない世界に向け前進する」と強調した。
温暖化対策では、再生可能エネルギーの最大発電量を2030年までに世界全体で3倍にする目標を掲げ、国際的な協力を通じて富裕層への公平な課税を実現すると表明した。
ロシアは採択前、「協定案は西側諸国が主導し、特定の国が優先される内容だ」と異論を唱えて修正案を提案した。しかし、支持したのは北朝鮮やベラルーシなど一部にとどまり、修正案は採決されなかった。
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