能登大雨で災害ボランティアが活動開始、仮設住宅浸水の男性「自分だけではどうしようもない」
読売新聞 / 2024年9月24日 12時23分
石川県の能登半島を襲った記録的な大雨からの復旧に向け、大きな被害を受けた地域でボランティアが本格的に活動を始めた。元日に発生した大地震の片付け作業が振り出しに戻った形で、被災した住民からは感謝の声が上がった。
ボランティアは、県が大雨の被災地に向けて派遣した。24日朝、40人が金沢市から被災地に向け出発し、午前11時頃、輪島市宅田町の「宅田第2仮設住宅」に到着した。近くの川の氾濫で142棟のほとんどが床上浸水の被害を受けており、ボランティアは2日かけ、災害廃棄物(災害ごみ)の運び出しや土砂の除去に取り組む予定だ。
住人の茶平政昭さん(67)は元日の地震で同市河井町にあった自宅が全壊し、7月にこの仮設住宅に夫妻で入居した。今回の大雨では、テレビや寝具、衣類が泥水にまみれる被害にあった。「2度目の被災でみんな疲れ果てている。自分だけではどうしようもなく、手伝いに来てもらえるのは本当にありがたい」と喜んだ。
愛知県から参加した警察官の男性(41)は、これまでに珠洲市と志賀町で3回ボランティアを行った。男性は「生活が戻り始めたところの被災で本当につらいと思う。少しでも励ましや助けになりたい」と語った。
ボランティアの派遣を担う県生活環境部女性活躍・県民協働課の担当者は「元日の地震に加えて大雨の被害も発生し、多くの人手が必要だ。これまで以上に強く、参加を呼びかけていきたい」と語った。輪島市以外の市町へもニーズを把握でき次第、ボランティアを派遣する考えだ。
珠洲市では24日、地元のボランティア団体「ボランティアキャンプすず」が募り、全国各地から集まったボランティア約20人が活動していた。被災した市内3か所の家屋などで、片付けや泥かきにあたった。
同市正院町の新谷ふさ子さん(74)宅では、土砂が流入した畑から災害ごみを運び出していった。新谷さんは「1人では手が回らない。ボランティアに来てもらって大助かりだ」と話した。
ボランティアの千葉県市川市の男性(66)は「被災された方々は大変だと思うが、一段落するまで活動を続けたい」と力強く語った。
大雨で近くを流れる川が氾濫した輪島市町野町鈴屋では23日から、ボランティアらが泥の撤去作業を進めていた。近所の歯科医師広江雄幸さん(72)は、地震で診療所が大規模半壊した。11月の開業を目指して建設中だった新しい診療所は床上180センチほどが浸水し、親戚やボランティアらと、泥や流木の撤去作業にあたった。「地震と水害は全く被害が違う。ボランティアは本当に助かる」と話していた。
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