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能楽・歌舞伎に撮影タイム、SNSで「推し活」期待…片山九郎右衛門さん「拡散希望します」

読売新聞 / 2024年9月24日 15時30分

終演後に再現された一場面を撮影する観客ら(京都市左京区で)=畝河内星麗撮影

 能楽や歌舞伎など伝統芸能で、終演後に、観客がスマートフォンで舞台や役者を撮影できる「撮影タイム」が関西で広がりつつある。公演中の撮影は禁止されているが、伝統芸能になじみのない人が多い中で、若者らにSNSで発信してもらい、裾野を広げる狙いがある。(京都総局 畝河内星麗)

見せ場を再現

 8月下旬、京都市左京区の能楽堂で開かれた京都観世会の定期公演。楊貴妃や葵上など全演目の終了後、狂言師が舞台に現れ、観客にこれから撮影タイムが始まると告げた。

囃子 はやし 方が太鼓や笛を鳴らすと、葵上の主人公・ 六条御息所 ろくじょうのみやすどころと、行者が橋掛かりの揚げ幕から勢いよく登場。行者が数珠をすり合わせ、嫉妬で鬼女と化した六条御息所を祈り伏せる見せ場を再現し、スマホを掲げた観客らが思い思いに撮影した。

 京都観世会の定期公演では初めての試みで、会長の片山九郎右衛門さん(59)は「SNSに流れることで能がどこまで知ってもらえるか挑戦してみたい。拡散を希望します」と舞台から協力を呼びかけた。

観客の減少懸念

 きっかけは5月の台湾公演だった。東アジアで信仰される道教の女神「 媽祖 まそ」を題材にした自作演目に挑んだ。

 海外の演劇では、カーテンコールでの撮影が認められているケースが多く、九郎右衛門さんらは初日の全演目終了後、撮影用に再構築した約7分の小作品を演じた。

 観客がその様子を「感激した」「素晴らしい」などの言葉とともにSNSに投稿。評判となり、残り2公演も満席になった。

 著作権が舞台美術や脚本など、それぞれの作家に帰属する演劇やミュージカルの世界で、観客による撮影はハードルが高い。九郎右衛門さんによると、能楽は、神事や儀式としても行われてきた側面があり、観客による撮影を許可することは考えてこなかったという。

 それでも、新たな試みに挑んだのは観客の高齢化や減少に対する懸念からだ。文化庁が昨年実施した世論調査によると、1年以内に能・狂言や歌舞伎、人形浄瑠璃などの伝統芸能を見に行ったことがある人は2・7%にとどまった。

「推し活」に

 歌舞伎では、一足先にスマホ解禁が進んでいる。

 京都・南座の三月花形歌舞伎では2021年から、役者の発案で撮影タイムを設けている。画像は、SNS上で、ひいきの役者を熱心に応援する「推し活」に使われ、「革新的」「うれしかった」と好評という。

 三月花形歌舞伎では、舞台の幕を閉じた上で、花道の役者を撮影してもらうことで、背景の舞台美術などがスマホに映りこまないように工夫した。

 通常、20~30歳代の観客は2、3割という歌舞伎公演だが、三月花形歌舞伎は半数近くを占める日も。南座の担当者は「撮影の可否の線引きをきちんとしながら、時代に合った楽しみ方を提供できれば」と話す。

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